ファクタリングFactoring

2025.01.27

ファクタリングで支払側にもたらされる3つのメリットと注意点

ファクタリングは、売掛金を早期に現金化する方法として注目されていますが、これは納入企業だけでなく支払側である発注企業にも多くのメリットをもたらします。手形発行が不要になることで事務作業が削減されるほか、印紙税を節約できるといったコスト削減の利点があります。本記事では、支払側が得られる具体的なメリットと、押さえておくべき注意点について見ていきましょう。

ファクタリングとは

ファクタリングとは、企業が持つ売掛債権(たとえば売掛金や受取手形など)を、ファクタリング会社に売却して現金化するサービスのことです。企業間取引では、掛け取引と呼ばれる支払いを後日に行う仕組みが一般的です。この場合、商品やサービスを提供してから、実際にお金が入金されるまでに数ヶ月かかることもあります。その間に現金が不足し、資金繰りが厳しくなる企業も少なくありません。

こうした状況を改善するために役立つのがファクタリングです。このサービスを利用すれば、売掛債権を早期に現金化できるため、キャッシュフローを安定させられます。また、ファクタリングは銀行融資とは異なり、売掛先企業の信用力を審査の基準とするため、自社が赤字や債務超過であっても利用可能です。さらに、担保や保証人を必要とせず、最短即日で資金を調達できる点も大きな特徴と言えるでしょう。

ファクタリングの種類

ファクタリングには2社間ファクタリングと3社間ファクタリングという2つの形式があります。それぞれの仕組みや特徴には違いがあり、自社の事情に応じて適切な方法を選ぶことが重要です。

2社間ファクタリング

2社間ファクタリングは、取引先に知られることなく売掛債権を現金化できるシンプルな形式です。この方法では、取引先を介さずにファクタリング会社と直接契約を結びます。手続きとしては、まずファクタリング会社に売掛債権を売却し、その対価として売掛金額から手数料を引いた金額を受け取ります。その後、取引先から入金された売掛金を、ファクタリング会社に支払う形で完了します。

この仕組みの最大のメリットは、取引先に知られることがなく、迅速に資金調達ができる点です。手続きは非常にスピーディーで、最短で即日資金化が可能です。一方で、リスクが高い分、3社間ファクタリングと比べて手数料が高く設定されるというデメリットもあります。

3社間ファクタリング

3社間ファクタリングは、取引先を含めた契約を行う形式です。この方法では、ファクタリング会社と売掛債権の売却契約を結ぶだけでなく、取引先にもその事実を通知し、売掛債権の支払いをファクタリング会社に対して直接行ってもらう必要があります。取引先の協力が不可欠であり、2社間ファクタリングよりも手続きに時間がかかる場合があります。

しかし、取引先が売掛金を直接ファクタリング会社に支払う仕組みのため、回収リスクが低減される点が大きな特徴です。その結果、手数料が2社間ファクタリングよりも低く抑えられるのがメリットと言えます。リスクの軽減とコストの削減を重視する場合には、3社間ファクタリングが適しているでしょう。

支払側のメリットとは

ファクタリングは納入企業だけでなく、支払側である発注企業にとっても多くのメリットがあります。この仕組みを利用することで、発注企業は手間やコストを削減し、信用力を高められるのです。ここでは、支払側にとっての具体的なメリットを3つご紹介します。

手形発行が不要

ファクタリングを利用することで、手形の発行が不要になります。従来、手形を利用した取引では、発行や管理に多くの手間がかかることが一般的でした。手形を作成するには、専用の帳票の準備、金額や期日の記載、関係者による確認など、煩雑な手続きが必要です。また、発行後はその手形を適切に管理しなければならず、紛失や盗難を防ぐための対策も必要でした。

しかし、ファクタリングを導入すれば、こうした手形の発行や管理が一切不要になります。これにより、事務作業の効率が大幅に向上し、手形の紛失リスクや管理コストを削減できるため、企業全体の業務効率が高まります。

印紙税削減ができる

手形を発行する際には、法律に基づき「印紙税」を納めなければなりません。手形の金額に応じて印紙税額も増えるため、高額な取引ではそれなりのコストが発生します。この印紙税は、頻繁に取引を行う企業にとって大きな負担となることもあります。ファクタリングを利用すれば、手形の代わりに売掛金を現金化する仕組みが適用されるため、手形そのものが不要となり、結果的に印紙税を支払う必要がなくなります。

信用度がある企業と証明できる

ファクタリングを利用することは、発注企業にとって自社の信用力を証明する手段にもなります。ファクタリング会社が取引の審査を行う際、売掛先企業(発注企業)の信用力が大きな基準です。つまり、ファクタリングが成立するということは、発注企業が「信用度の高い企業」であると評価されている証拠でもあります。

この評価は、取引先である納入企業にとっても大きな安心材料となります。納入企業は、発注企業が信頼に値する取引先であることを確信できるため、長期的なビジネス関係を築きやすくなるのです。また、発注企業自身も、信用力の高さを対外的にアピールできるため、他の取引先やビジネスパートナーからの信頼を得やすくなります。

支払側のデメリットとは

ファクタリングは支払側にとっても業務効率化や取引の円滑化などのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。ここでは、支払側が注意すべきポイントを2つ取り上げ、それぞれ詳しく見ていきましょう。

支払い期限が早くなる

ファクタリングを利用すると、手形取引に比べて支払い期限が早まるケースが一般的です。従来の手形取引では、支払いまでの猶予期間が120日程度と長く設定されることが多いですが、ファクタリングの場合、通常は30日から60日以内に支払う必要があります。

支払い期限が短縮されることにより、「手元に現金をできるだけ長く残したい」「支払いを少しでも遅らせたい」と考える企業にとっては、資金繰りの面で負担が大きくなる場合があります。また、短期的なキャッシュフローを見直す必要が出てくるため、支払側の財務管理にさらなる工夫が求められることもデメリットの一つです。

審査が必要になる

ファクタリングを導入する際には、支払側の企業も審査を受ける必要があります。ファクタリング会社は、納入企業から譲渡された売掛債権を確実に回収するため、支払企業の信用力や経営状況をチェックします。この審査では、財務状況や取引履歴、支払い能力が細かく確認されるため、自社の経営状態に問題がある場合には、審査が通らず取引が成立しないことも。

さらに、この審査過程は手間や時間がかかることもあり、支払側にとっては追加的な負担となります。また、自社の経営状況を外部のファクタリング会社に公開する必要があるため、情報管理や信用リスクを懸念する企業にとっては大きなハードルになる場合もあるでしょう。

ファクタリング会社を選ぶポイント

ファクタリング会社を選ぶ際には、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。ファクタリングは企業の資金繰りをスムーズにするための有効な手段ですが、選ぶ会社によって条件やサービス内容に大きな差があるため、自社に合った適切な会社を選ぶことが成功の鍵となります。ここでは、ファクタリング会社を選ぶ際に特に注目すべきポイントを詳しく見ていきましょう。

資金調達までのスピード

ファクタリングの最大のメリットの一つは、資金を迅速に調達できる点です。特に、緊急で現金が必要な場合には、スピーディーな対応が可能な会社を選ぶことが重要です。一般的に、2社間ファクタリングでは即日から1日程度、3社間ファクタリングでも数日以内に資金調達が完了するケースが多いですが、会社によって対応スピードには差があります。

また、提出を求められる資料が多すぎる場合や、審査が複雑な場合は、結果的に現金化まで時間がかかることがあります。そのため、資金調達のスピードが最優先の場合は、審査や書類の少ない会社を選ぶのがおすすめです。

利用範囲額の上限

ファクタリング会社によっては、利用できる売掛債権の買取金額に上限が設定されています。同じ売掛債権でも、買取可能な金額は会社によって異なるため、希望する資金調達額に対応できるかを事前に確認することが大切です。

例えば、500万円の売掛金を現金化したい場合でも、ある会社では400万円までしか利用できないことがあります。一方で、他の会社では450万円や500万円全額が可能な場合もあります。手数料の安さやスピードだけでなく、利用範囲額も重要な選定基準となりますので、希望額がカバーされているか必ず確認してください。

手数料

ファクタリングを利用する際にかかる手数料も重要なポイントです。手数料の割合は、会社や契約内容によって異なりますが、一般的に2社間ファクタリングでは10~20%程度、3社間ファクタリングでは5~10%程度が相場です。ただし、一見安く見える手数料でも、隠れた費用が含まれている場合もあるため、契約前に詳細な条件を確認する必要があります。

また、手数料は単に「安ければ良い」というわけではありません。スピードやサービス内容、信用度などのバランスも考慮し、自社にとって最適な条件の会社を選ぶことが重要です。

信用度が下がると利用できなくなる

ファクタリングを利用する際、売掛先企業(取引先)の信用力が審査の基準となるため、ファクタリング会社の審査によって利用が制限される場合があります。もし取引先企業の信用力が低いと判断されると、契約が成立しない可能性もあります。

また、自社が取引先に対して信頼性を欠く行動を取った場合、例えば支払いの遅延や契約違反などがあると、ファクタリング会社からの信頼を失うことも。一度信用を失うと、他のファクタリング会社でも同様のサービスを利用しにくくなることもあるため、利用中の取引や支払いには十分に注意が必要です。

売掛金を資金化する他の方法

売掛金を支払い期日よりも早く資金化する方法には、ファクタリング以外にも様々な選択肢があります。その中でも、「でんさい割引」と「手形割引」は、多くの企業が利用している代表的な方法です。それぞれの特徴や仕組みを理解し、自社に最適な方法を選ぶことが重要です。以下では、この2つの方法について詳しく説明します。

でんさい割引

でんさい割引とは、電子記録債権(通称「でんさい」)を割引して、資金を調達する方法です。でんさいは手形と似た機能を持つ電子化された債権で、これを金融機関や貸金業者に譲渡することで、支払期日より前に現金化できます。

でんさい割引の最大の特徴は、大きな金額の債権を分割して必要な分だけ割引請求できる点です。これにより、必要な資金だけを調達でき、過剰な割引を避けられます。また、電子化されているため、手形に比べて管理が簡単で、紛失や盗難のリスクがありません。

ただし、でんさい割引は、ファクタリングとは異なり「貸付」とみなされるため、利用者の信用力や業績が審査の対象となります。そのため、企業の信用情報が低い場合や、借入を増やしたくない企業には不向きな場合もあります。

手形割引

手形割引は、取引先から受け取った手形を銀行や手形割引業者に買い取ってもらい、現金化する方法です。この方法では、手形の金額から割引料を差し引いた金額が資金として提供されます。手形取引を行っている企業にとって、手形割引は一般的な資金調達手段の一つです。

手形割引の大きな注意点は、「償還請求権」があることです。これは、もし手形の支払人(取引先)が期日に手形代金を支払えなかった場合、割引を受けた企業が金融機関に対してその金額を返済しなければならないという義務を負うことを意味します。そのため、取引先の信用状況に不安がある場合には、リスクを伴う手段となります。

まとめ

ファクタリングは、納入企業の資金繰りを助けるだけでなく、支払側にも多くのメリットをもたらします。手形発行や管理が不要になることで事務負担が減り、印紙税の削減でコストも抑えられます。また、信用力の証明につながる点も、企業にとって大きなメリットです。一方で、ファクタリングの導入には支払い期限の短縮や審査の必要性といったデメリットもあるため、事前に十分な準備が必要です。メリットとデメリットを理解し、最適な選択をすることで、ファクタリングを最大限に活用できるでしょう。

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