ファクタリングを申し込むと必ず審査が行われます。近年ではこの審査をAIが行うケースが増えています。AIによる審査のメリットやデメリットを理解することは、今後ファクタリングを利用する上でも非常に重要になりますので、まずはAI審査の特徴を把握しておきましょう。
ファクタリング審査をAIが行うケースが増加している
ファクタリングでは、契約前に必ず審査が行われます。審査を行った結果、どのような条件で契約するかが決まりますので、審査なしで契約できるファクタリングはありません。
近年このファクタリング審査をAIが行うというファクタリング会社が増えています。AI審査が増えた事情には、ファクタリングを利用する企業が増えているという事情があります。
ファクタリングは、中小企業庁など、国が利用を推奨している資金調達法です。近年ではファクタリングが合法であるという理解が深まってきたこともあり、利用を希望する企業が増えている状況です。それに合わせファクタリング会社も増えていますが、ファクタリング会社の設立にはひとつ考えるべきポイントがあります。それは立地です。
ファクタリング会社の主な顧客は企業法人です。当然事務所を設立するのであれば、企業法人が集まる都市部が中心となるでしょう。しかしそうなると問題は、地方部にある企業がファクタリングを利用しにくくなってしまうということになります。
こうした問題を解決するために、自社内から申し込めるオンラインファクタリングという方法が増加し、このオンラインファクタリングにおいて、さらに現金化のスピードを早めるために、AI審査が増えているというのが現状です。
AI審査のメリット
ではファクタリング審査がAI審査となるメリットに関していくつか紹介していきましょう。
日本全国どこからでも申し込み可能
まずは上でも触れたように、日本全国どこからでもファクタリングの申し込みが可能になるというメリットがあります。かつてファクタリングの申し込みは、必要書類をそろえた上で、ファクタリング会社の窓口を訪問するのが一般的でした。しかしこの方法は時間がかかるうえ、そもそも地方部の企業では利用が難しいという問題があったわけです。
自社内からオンラインで申し込めるのであれば、日本全国どこからでも利用可能ですので、より幅広い企業が利用可能であるというメリットがあります。
審査にかかる時間の短縮
AI審査は何より時間がかからないといメリットがあります。人間である担当者が審査を行う場合、ある程度時間がかかるようなケースでも、AIであれば数分で処理することができます。審査に時間がかからないということは、売掛金の現金化にも時間がかからないということです。
近年申し込み即日に現金化に対応するファクタリング会社が増えている背景には、このAI審査の拡大があります。
より安い手数料で契約できる可能性がある
AIが審査を行うということは、審査に人員を割く必要がないということになります。また、オンラインで申し込みを受け付け、AIが審査をするのであれば、ファクタリング会社の事務所は都市部にある必要がありません。
ファクタリング会社としては、人件費や事務所維持費などを抑えて案件に対応できますので、より多くの収益が期待できるということになります。
また近年では、AI審査とオンラインファクタリングを導入するファクタリング会社が増えているため、ファクタリング会社同士の競争も激しくなっています。競争に生き残るためには多くの顧客の獲得が必要であり、そのためには契約条件の緩和など、より充実した顧客サービスが必須となります。
AI審査の導入で経費が抑えられる分、手数料などの契約条件が緩和される傾向があり、AI審査のファクタリングは、より安い手数料で利用できるというメリットが発生しています。
担当者との交渉が不要
ファクタリングを対人式で申し込む場合、どうしても担当者との対話、および交渉が必要になります。中にはこうした対話や交渉が得意ではないという方もいるでしょう。また、担当者としても顧客の獲得が業務ですから、より強く自社の利用を推奨してくるものです。こうした押しの強い方と向き合うのが苦手である、利用を強要されるのが得意ではないという方も多いかと思います。
AI審査を導入しているオンラインファクタリングであれば、こうした対人式で感じる圧力を感じずに申し込めるため、冷静に判断できるというメリットも考えられます。
AI審査のデメリット
利用する企業にとっても、ファクタリング会社にとってもメリットの大きいAI審査ですが、デメリットがないわけではありません。そんなデメリットも紹介しておきましょう。
3社間ファクタリングが利用できない
AI審査で利用できるのは、原則として2社間ファクタリングのみとなります。売掛先も含めた3社間ファクタリングには対応していないため、3社間ファクタリングを希望する企業は、利用できないというデメリットがあります。
3社間ファクタリングは、売掛先の理解こそ必要ですが、より安い手数料で契約できるファクタリングであり、企業によっては、3社間ファクタリングで契約したいというケースもあるかと思います。こうした企業にとっては、AI審査がデメリットとなってしまいます。
審査が画一的で柔軟性がない
AIによる審査は非常に正確です。正確であるのと同時に柔軟性がないという事も可能です。AIは与えられた情報をデジタル化し審査を行います。仮に100点満点であれば審査通過と考えた場合、99点の案件に関しては、審査不通過と判断します。つまり99点の案件も10点の案件も同じ対応になるということです。
仮に審査を人間が行う場合、99点の案件であれば、担当者の判断次第で、契約可能となるケースは多々あります。担当者に直接事情を説明することで、ある程度柔軟な判断を期待できるということです。
実際にAI審査で審査に通過しなかった売掛債権が、対人式の申し込みで審査に通過したという例もあるようです。
正確ではあるものの、画一的で柔軟性のない審査になってしまうというのは、利用企業にとってはデメリットといえるでしょう。
担当者不在で不安がある
AI審査を導入しているのは、オンラインファクタリングが中心です。メリットの部分でも触れたとおり、オンラインファクタリングは、担当者の圧力を感じずに契約できるというメリットがあります。
しかし同時に契約に不安が残るというデメリットも考えられます。特にファクタリングの利用に慣れていない方が申し込む場合、ファクタリング契約には不明点や疑問点が少なからずあるかと思います。こうした疑問点などを質問する相手がいないのがオンラインファクタリングです。
事務的に素早く契約が進むのはいいことですが、その中で発生した疑問点や不明点を解消する術がないというのはデメリットといえるでしょう。
AI審査のおすすめ活用法
ファクタリングのAI審査には、メリットもデメリットもあります。こうした特徴を理解した上で利用するのであれば、おすすめは担当者がいるオンラインファクタリングの活用、そして相見積もりの活用です。
特にファクタリングの利用経験が少ない方には、担当者がいるオンラインファクタリングがおすすめです。申し込みや契約はオンライン上で行うことができ、また不明点等がある場合は、ビデオ通話や電話などで担当者と直接話せるようなファクタリング会社を選びましょう。
また、AI審査は時間がかからないのが特徴です。利用する場合は、複数のファクタリング会社に同じ売掛債権で申し込み、契約条件をそれぞれ提示してもらうのがおすすめです。いわゆる相見積もりの状態です。
複数社の契約条件を比較検討できますし、最悪1社から契約を断られた場合でも、他社で契約できる可能性もあります。常に複数のファクタリング会社を用意しておくのがおすすめです。
ファクタリング・AI審査のまとめ
近年のファクタリングではAI審査の導入が進んでいます。AI審査は時間がかからず、非常に正確な審査が期待できるため、現金化のスピード化という点で、ファクタリングがより利用しやすくなっています。
一方3社間ファクタリングが利用できない点や、柔軟な審査が期待できないというデメリットもありますので、こうしたデメリットも理解した上で、上手にAI審査を活用できるように自社としても工夫するのがおすすめです。