ファクタリングFactoring

2024.07.26

銀行融資審査とファクタリング審査の内容や目的の違いを解説

「ファクタリングより銀行融資のほうがいいの?」
「銀行融資を断られたらファクタリングは利用できない?」

銀行融資とファクタリングは、そもそも契約内容も審査内容も大きく違う資金調達法です。どちらが良い、悪いというものでもありませんし、銀行融資を断られたからといって、ファクタリングも利用できなくなるようなものでもありません。

この記事では銀行融資とファクタリングの違いに関して、特に審査の部分を中心に解説していきます。

銀行融資とファクタリングでは審査の目的が違う

企業の資金調達法として知られる2つの方法ですが、そもそも審査という点ではさまざまな違いがあります。まずは、審査の目的の違いから解説していきましょう。

銀行融資の審査の目的

銀行融資の場合、そもそも融資条件がある程度決められています。銀行融資審査で見ているのは、申し込み企業が、銀行の定めた条件をクリアできるかどうかです。つまり、先に条件が決まっていて、その条件に対して申し込み企業がクリアできるかどうかという点を審査しており、言い方を替えれば「落とすための」審査を行うのが銀行融資ということになります。

その分銀行融資は金利が低く、借りることができれば、経営上非常にありがたいというものになります。

ファクタリングの審査の目的

ファクタリングの場合、事前に契約条件が決まっているわけではありません。ファクタリングは貸金契約ではなく、債権譲渡契約ですので、手数料という点に関しても法的な定めがありません。手数料等契約条件は、ファクタリング会社ごとに、比較的自由に設定できるということになります。

ファクタリング会社が、審査をする目的は、「どのような条件であれば契約できるのか?」という点です。申し込まれた売掛債権に関して審査を行い、審査の結果条件が決まるのが一般的です。つまり、銀行融資と違い「契約するために条件を決める」のがファクタリング審査の目的であり、銀行融資と比較すると非常に前向きな審査と言えます。

そのためファクタリングの審査は銀行融資の審査よりも通りやすく、利用しやすいという特徴があります。

銀行融資とファクタリングでは審査の内容が違う

続いて審査する内容に関しての違いも解説していきましょう。

長期間にわたって返済できるかを見る銀行融資審査

銀行融資の審査で見るのは、長期間にわたってその企業が返済を続けることができるのかという点です。そのため銀行融資の審査では、申し込み企業の借り入れ状況や経営状況、さらに将来的な成長に関して審査が行われます。

審査のために事業計画や、経費削減のための計画書、さらに新規事業に関する提案書の提出が求められるのは、将来的に返済が続けられるのか、企業として成長するのかを確認するためです。

もちろん、審査の対象が長いスパンとなりますし、不確実な将来のことを審査しますので、審査に時間がかかります。また、審査に通ることも難しくなる傾向にあるわけです。

売掛金が支払われるかどうかを見るファクタリング審査

ファクタリングは売掛債権を譲渡する契約です。そのためファクタリング会社が審査で重視するのは、持ち込まれた売掛金が支払われるのかどうかという点になります。ファクタリングの契約においては、売掛金が支払われれば、大きな問題は発生し辛くなります。そのため申し込み企業の将来性などは一切審査の対象とはなりません。

また、売掛金が支払われるかどうかを審査するわけですから、そもそも審査の対象は申し込み企業というよりは、売掛金を支払う取引先企業ということになります。

そのため審査にかかる時間も短くなりますし、申し込み企業が赤字経営や債務超過であっても審査に通る可能性があります。

銀行融資とファクタリングは使い分けが重要

銀行融資とファクタリングは、同じ資金調達法でありながら、審査の目的も内容も大きく違うため、企業としては使い分けが重要になります。銀行融資とファクタリングの使い分けに関して、簡単に説明していきましょう。

高額の資金が必要ならば銀行融資

審査という点に注目すると、銀行融資は非常に審査が厳しくまた時間がかかるということになりますので、マイナスのイメージが強いかもしれません。しかし、銀行融資にもメリットがあり、それがまとまった資金の調達ができるという点です。

ファクタリングは債権譲渡契約です。ファクタリングで得られる現金は、売掛債権の額面金額よりも低い金額までとなります。例えば、事業拡大や設備の入れ替えなどで大きな金額が必要な場合、ファクタリングでは準備しきれないというケースは多々あります。

一方銀行融資の場合、借り入れになりますので、もちろん上限金額こそあるものの、ファクタリングよりもはるかに大きい金額を融資してもらうことも可能です。もちろん融資ですので、返済の必要はありますが、銀行融資は金利が安いことも特徴ですので、大きな負担なく大きな金額が準備できるというメリットがあります。

まとまった金額が必要な場合は、ファクタリングで何とかするというのは無理が生じますので、銀行融資の方が有利と言えるでしょう。

急ぎ現金が欲しい場合はファクタリング

ファクタリングの大きなメリットは、比較的審査に通りやすく、しかも現金化のスピードが早いという点です。また貸金契約ではないため、自社の負債が増えないという点もメリットでしょう。

そんなファクタリングが活躍するのは、急な出費が必要になったケースなどです。設備機器に不具合が生じて修理が必要になった、原油価格が突然高騰した、原材料費が一時的に高騰したなど、通常経営している中で起こる、ハプニング的な資金不足を補うには、スピード感のあるファクタリングが最適ということになります。

銀行融資はどうしても申し込んでから融資を受けるまで数週間~1ヶ月以上という時間が必要です。急な出費に対応するには向いているとは言えません。こうした事態を解決する場合は、ファクタリングの利用がおすすめといえます。

売掛金の未回収リスク回避にはファクタリング

ファクタリングを利用するメリットとして、売掛金の未回収リスクを回避するという点が挙げられます。ファクタリングは債権譲渡契約であり、債権を譲渡することで同時に売掛金の未回収リスクもファクタリング会社に譲渡することができます。

順調に経営できている企業でも、売掛金が1つでも未回収となると、一気に資金繰りが悪化するものです。こうしたリスクを回避するために、ファクタリングを利用する方法もあります。

売掛金の未回収リスクを回避する場合は、特に償還請求権の有無に注意しましょう。ファクタリング契約は償還請求権なしのノンリコース契約であることが原則です。償還請求権とは、取引先が売掛金を支払わなかった場合、一旦譲渡した売掛債権を買い戻さなければいけない契約です。つまり、売掛金の未回収リスクが、申し込み企業に残るということになります。

すでに過去の判例では、償還請求権付の契約は、ファクタリング契約(債権譲渡契約)ではなく、債権担保融資契約であるという判断が下されています。つまり貸金契約になるということです。

ファクタリングを利用する際は、申し込み企業に売掛金の未回収リスクが残らないように、ノンリコース契約であることを確認の上契約しましょう。

銀行融資・審査・ファクタリングのまとめ

銀行融資とファクタリングは、同じ資金調達法ですが、その内容は大きく違います。特に審査に関しては目的も内容も大きく違うため、それぞれの特徴を知っておくことが重要です。

銀行融資とファクタリングは、どちらが優れているというものではありません。利用する目的に合わせて、上手に使い分けるべきものであり、そのためにはそれぞれの特徴を知っておくことが重要になります。

経営者である以上、資金調達の方法はいくつも準備しておくべきです。そのためにも銀行融資とファクタリングのメリット・デメリットを理解し、上手に使い分けることができるように準備しておきましょう。

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