企業が資金繰りに困っているとき、有利子負債を返済したいと考えた時、急に支出が必要になったとき、スピーディーに対応できる資金調達法として注目されているのがファクタリングです。
金融機関による資金融資よりも利用しやすいこともあり、今後も利用企業は増えていくでしょう。
しかしそんなファクタリングでも、利用できないケースはあります。どんなケースで利用できないのか?利用するためにはどんな準備が必要なのかといった点を解説していきます。
ファクタリングが利用できないポイント
ファクタリングは手軽に利用できる資金調達法であることは間違いありません。また金融庁がその利用を推奨しているように、違法な契約でもなく、有効に活用すべき資金調達法といえます。
そのファクタリングが利用できないという場合、どのような原因が考えられるのか。大きな原因となる2つのポイントを解説していきます。
そもそも取り扱い対象外
まずは持ち込んだ売掛債権がそもそも取り扱い対象外というケースや、申し込んだ事業主が取り扱い対象外であるというケースがあります。この場合は申し込んでも、そもそも審査を受けることもできないため、ファクタリングは利用できません。
ファクタリング会社はそれぞれ自社で取り扱う売掛債権の上限・下限を設定しており、この範囲外の債権では審査を受けられません。
また、申し込み企業の設立からの年数にも規定があるケースが多く、設立前や設立直後の企業も対象外というケースがほとんどです。
まずはファクタリング会社のHPなどで、申し込み規定などをチェックし、自社が申し込めるかどうかを確認する必要があります。
審査に通らない
もうひとつのポイントは審査です。ファクタリングの審査は、融資審査と比較すると通りやすいと言われています。しかし、審査がある以上、通らないということも十分に考えられます。
ファクタリング審査に通らない理由に関しては、申し込み企業以上に、売掛先企業に問題があるケースが多く、ファクタリングを申し込む際は、売掛先も考慮して売掛債権を選ぶのが重要となります。
ファクタリング審査のポイント
ファクタリングが利用できるかどうかは、審査に通るかどうかが非常に重要です。そこでファクタリング審査の特徴や、融資審査との違いについて解説していきましょう。
重視されるのは売掛金が現金化されるかどうか
ファクタリングの審査が、融資審査よりも緩いと言われている理由は、長期的な視野での審査がない、申し込み企業よりも売掛先企業が重視されるというものです。
融資の場合、融資の後当然返済の義務が生じます。申し込んだ企業は、長期間にわたって返済していく必要があり、審査では、長期的に返済をしていけるかどうかが審査されます。そのため融資の申し込みには事業計画書や返済計画書、また自社の経費削減案なども合わせて提出する必要があるため、非常に厳しい印象があります。
ファクタリングは、持ち込んだ売掛債権が現金化されれば、それで契約が完了する可能性が高くなります。そもそも貸金契約ではなく、債権譲渡契約のため、返済の義務はありませんので、長期的な視点での審査が不要となります。
ファクタリングという契約の性質上、重視されるのは売掛先企業の情報であり、申し込み企業にとっては非常に通りやすい審査になるわけです。
ファクタリングを利用できない売掛債権の例
比較的気軽に現金を手にできるファクタリング。その資金調達法で利用できない売掛債権というものもあります。その代表的な例を列挙してみましょう。
・架空債権
・偽造債権
・不良債権
・二重譲渡となる売掛債権
・反対債権が存在するケース
・売掛先に借り入れがあるケース
・現金取引の債権
・初取引・単発取引の売掛債権
・売掛先が特定の条件を満たす売掛債権
それぞれについて細かく書くと長くなるので、ある程度まとめて解説していきましょう。
基本的には現金化が難しい売掛債権
ファクタリング会社が審査で重視するのは、上でも書いた通り売掛債権が現金化されるかどうかです。問題なく支払期日までに現金化される売掛債権であれば、問題なくファクタリングは利用できるでしょう。
現金化できない売掛債権としては、まずは架空・偽造・不良債権に関してですがこれは論外。こうした売掛債権でファクタリングを申し込むのは、私文書偽造や詐欺罪に問われる可能性がある犯罪行為ですので、決して行わないでください。売掛債権の二重譲渡も詐欺罪に問われる可能性がありますので、過って申し込んでしまわないようにしてください。
反対債権や借り入れは、売掛金と相殺される可能性があり、現金化されない可能性があります。
現金取引の債権は、過去の取引実績を証明することが難しく、審査に通らないことがほとんどです。初取引、単発取引に関しても同じように、過去の実績がないため審査に通るのは難しいでしょう。
取引先に問題があるケースも
売掛金が現金化されるかどうかという点で、売掛先に問題があるケースもあります。例えば売掛先が個人や個人事業主の場合、ファクタリングを利用できないケースはおおくなります。個人事業主に関しては対応するファクタリング会社もありますが、個人の場合はまず利用できないと考えていいでしょう。
また、論外となるのがは売掛先が反社会的勢力のケース。どんな売掛債権だろうと、まずファクタリングは利用できません。
ファクタリングを有効利用するポイント
ファクタリングは非常に使いやすい資金調達法です。利用にあたっては有効に利用できるように準備するのが重要になります。そんなポイントをいくつか紹介しましょう。
売掛債権を確認する
まずは売掛債権の確認です。支払期日や実在する取引のものかどうかは必ずチェックしてください。また二重譲渡の対策も重要です。すでにファクタリングを利用している企業は、手元の売掛債権を、すでにファクタリング済みかどうかしっかり把握しておくことが重要になります。
より審査に通りやすい売掛債権で申し込む
確実に存在する売掛債権の中から、より審査に通りやすい売掛債権を選びましょう。審査に通りやすい売掛債権とは、売掛金が確実に入金される売掛債権です。
売掛先企業の事業規模や経営状況、さらに支払いまでの期間なども考慮に入れて、どの売掛債権で申し込むかを決めるといいでしょう。
同じファクタリング会社で実績を積む
ファクタリングを上手に活用するという点では、同じファクタリング会社を継続して利用するというのもひとつの方法です。ファクタリングの手数料は審査によって決定します。その審査はファクタリング会社ごとの基準で行っており、同じ会社を継続して利用することで、審査に通りやすくなる可能性があります。
毎回の契約でしっかり条件通り契約を履行していれば、ファクタリング会社から見ても信頼できる取引先となり、当然手数料などの契約条件も有利なものになっていく可能性があります。
一度利用したファクタリング会社に、特に不満がなければ、継続利用がおすすめとなります。
ファクタリング・利用できない・売掛債権のまとめ
ファクタリング
ファクタリングは利用しやすい資金調達法です。しかし、利用できないというケースも考えらえます。ファクタリングを利用できない原因は、申し込み企業や売掛先企業にある場合もありますが、多いのは売掛債権にあるケースです。ファクタリングに持ち込む売掛債権をしっかりチェックすることで、利用できる可能性は高まりますし、より有利な条件で契約できるようになります。
まずは手元の売掛債権をしっかりとチェックし、利用できないような売掛債権で申し込まないようにしましょう。