「ファクタリングとリースの違いって何?」
「ファクタリングとリースのどちらを利用すべき?」
比較的最近利用企業が増えているファクタリングという方法と、比較的古くから活用されているリースという契約。どちらも企業経営において重要な契約となりますが、その違いに関して詳しく理解している方は少ないかもしれません。
特に最近ではリース会社がファクタリングサービスを提供しているケースもあり、より分かりにくくなっているかもしれません。
この記事ではファクタリングとリースの違いや、どのように利用するのがいいのかなどに関して詳しく解説していきたいと思います。
ファクタリングとは?
ファクタリングとリースの違いを知るために、まずはそれぞれの基本を知っておきましょう。まずはファクタリングからです。
売掛債権を譲渡して売掛金を早期現金化する
ファクタリングにはいろいろな契約方法がありますが、一般的にファクタリングと呼ばれるのは、債権買取型のファクタリングのことを指します。
債権買取型ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社に譲渡して、売掛金を入金期日前に現金化するという方法です。
ファクタリングにはいくつかのポイントがありますが、注目したいのは現金化スピードの早さ、利用の手軽さ、そして貸金契約ではないという点です。
ファクタリングに必要な期間は、ファクタリング会社によっても違いますが、概ね申し込みから2~3日中に現金が手に入ります。中には申し込み当日に即現金化ということも可能です。急ぎ現金が欲しいという企業にとっては非常にありがたいサービスということになります。
また、多くの企業は常にいくつかの売掛債権を持っているかと思います。もちろん申し込みにはいろいろな書類が必要とはなりますが、基本的には売掛債権があれば申し込みは可能です。
また、審査自体も比較的緩く、あまり審査に落ちるということがないというのもファクタリングの特徴。申し込みやすくしかも利用できる可能性が高いという点も大きな特徴ということになります。
貸金契約ではないという点に関しては次の項目で触れていきたいと思います。
現金を調達する資金調達法
ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社に売ることで、その対価を受け取る契約となります。そのためお金を借り入れる契約ではないということになり、金利の支払いも、返済の義務もありません。
一般的な企業の資金調達法としては、金融機関からの資金融資や、ビジネスローン、商工ローン、手形割引などがありますが、これらの契約は全て貸金契約です。貸金契約ですので、当然金利の支払いも必要ですし、返済の義務も生じます。
これが数ある資金調達法とファクタリングという資金調達法の大きな違いということになります。
また、ファクタリングは債権譲渡契約ですので、企業のバランスシートで考えると、バランスシート上の債権が現金に変わるということになります。これをバランスシートのオフバランス化と言います。
オフバランス化ができると、その企業は健全な経営ができているという印象を他社に与えることになります。健全経営ができている企業であれば、取引先としても積極的に取引をしたくなりますし、金融機関としても資金融資をしやすくなります。
リースとは?
続いてリースに関して簡単に説明していきたいと思います。ここでは簡単にリースとして紹介しますが、ここで紹介するリースはいわゆるファイナンスリースのこと。事業経営をするうえで利用するサービスで、主にリース会社と契約する形で利用することになります。
事業に必要な設備を借りる契約
リースとは、企業が事業活動をするために必要な設備に関して、購入するのではなくリース会社から借り、そのリース料を毎月支払う契約です。
一般的なオフィスであれば、PCは複合機、電話機などをリースするケースが多いかと思います。さらに言えば、運送業者であれば運送に必要な車両を、建設業者であれば建設作業に必要な重機などもリースすることが可能です。
当然ですが購入するよりも費用を抑えることができますし、毎月安定した支払いで事業設備を活用できますので、企業としては安定した事業活動ができるようになる方法といえます。
設備投資にかかわる支出を抑える方法
リース契約も、事業資金を確保するという意味ではファクタリングと同じです。しかし違いはその方法で、ファクタリングは現金を得るためにとる手段であり、収入を増やすための方法です。一方リースは、事業設備に関する支出を抑えるための方法です。
同じく事業資金を確保し、資金繰りを健全化させるための方法ではありますが、収入を増やす方法と支出を抑える方法であるという違いがあるということになります。
ファクタリングとリースの違い
ファクタリングとリースの違いに関して、改めて紹介しておきましょう。どちらも利用しやすいサービスであり、しかも企業の資金繰りに関して効果的な方法ではありますが、上でも説明した通り、それぞれの特徴に違いがあります。そのあたりを紹介していきましょう。
資金確保のための方法だが目的が違う
繰り返しになりますが、ファクタリングもリースも事業資金を確保するための方法です。ファクタリングは売掛金を現金化することで、手元の現金を増やすための方法。リースは事業設備に関する投資金を抑えるための方法です。
企業にとって重要なのは、資金繰りを健全化すること。仮に黒字経営が続いていても、売掛金が多いなど、手元に現金がなくなればいわゆる黒字倒産となります。反対に言えば、たとえ赤字経営が続いていても、手元に現金があり、各種支払いが遅延しなければ倒産することはありません。
事業を継続するという点では、できるだけ多くの現金を手元に持ち、さらに支出をできるだけ減らすというのが最適解となります。その両方を叶えることができるのがファクタリングとリースであり、違いはあるものの、どちらも効果的に活用したい方法ということになります。
ファクタリングとリースを使い分ける
ファクタリングとリースには明確に違いがあります。違いはありますが、それぞれ事業の資金繰りを健全化するためには効果的な方法です。
そこでおすすめとなるのがこの2つの方法を上手に使い分けるということ。このあたりに関して解説していきましょう。
違いを理解して上手に使い分ける
ファクタリングとリースは同時に使用できる資金確保の方法です。そのため双方の特徴を理解し、違いを把握した上で、上手に使い分けるのがポイントとなります。
ファクタリングは売掛債権を現金にする方法ですので、資金繰りを改善する効果が期待できます。しかも申し込みから現金化までの時間が短いので、急な出費の時でも利用できる方法といえます。
リースは事業設備に関する支出を抑える方法。ただしリースですので、毎月のリース料は必要です。リースの資金繰りに対する効果は、資金繰りが悪化しないように維持するのが目的で利用するのが一般的です。
自社で設備投資をして購入した事業設備が壊れた場合、自社で買いなおすことになり、設備によっては大きな出費となります。リースにしておけば万が一故障した場合も、リース会社が対応してくれますし、リース料にも大きな影響はありません。
つまり資金繰りの健全化という点では、リースを利用して資金繰りを安定化させ、それでも厳しくなった場合はファクタリングで改善するというのが基本的な考え方。この2つの違いを理解し上手に使い分けましょう。
またファクタリングとリースを使い分けることで、後の資金融資の際に有利になるケースも考えられます。
上でも少し触れましたが、ファクタリングにはオフバランス化という効果があり、金融機関からの評価も高くなります。また、リースを利用することで支出も安定しますので、この点でも金融機関に安心感を与えるでしょう。
双方の違いを理解して活用することで、後の経営にも好影響が期待できるでしょう。
ファクタリング・リース・違いのまとめ
ファクタリングとリースは、どちらも事業資金を確保し、資金繰りを改善化するための方法です。
ファクタリングは売掛債権を現金にすることで資金繰りを改善する方法、リースは事業に必要な設備に関する支出を抑え、資金繰りを安定化させるための方法です。
ファクタリングとリースの違いは明確ですが、目標は同じ方法ですので、双方を上手に活用して、資金繰りを安定させましょう。