ファクタリングFactoring

2023.12.18

ファクタリングは非課税?課税項目との違いを解説

ファクタリングは、売掛債権をファクタリング会社に譲渡することによって売掛債権を素早く現金化できるという資金調達の方法の一つとして一般化しつつあります。
銀行などの融資と比べ、審査が通りやすく、素早く資金調達できることがファクタリングのメリットとして挙げられます。
そんな便利なファクタリングですが、実は取引そのものと手数料は非課税であることをご存じでしたか。
今回はファクタリングが非課税取引であること、また課税項目となる場合、どんなものが該当となるのかについて詳しく解説していきます。

消費税とファクタリング

ファクタリング取引は非課税取引とされていますが、これは消費税の非課税を指します。
では、そもそも消費税はどんなものなのでしょうか。
まずは消費税について解説していきます。

消費税とは

消費税とは、国内で行われた取引であること、事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、資産の貸付け及び役務の提供をすることを要件として課される税です。
日常の買い物などでも目にする広く知られた税金の一つですよね。
この消費税は商品の販売や運送、広告など、対価を得て行うほとんどのやり取りが課税の対象となります。

消費税の非課税取引とは

国内での取引はそのほとんどの取引が課税対象となりますが、消費税の性格や社会政策的な配慮などから非課税となっているものがあります。
これを非課税取引といいます。
ファクタリングは下記の非課税取引の「有価証券、支払手段の譲渡など」に該当するため、ファクタリングは非課税取引とされているのです。

1 土地の譲渡、貸付け(一時的なものを除く。)など
2 有価証券、支払手段の譲渡など
3 利子、保証料、保険料など
4 特定の場所で行う郵便切手、印紙などの譲渡
5 商品券、プリペイドカードなどの譲渡
6 住民票、戸籍抄本等の行政手数料など
7 外国為替など
8 社会保険医療など
9 介護保険サービス・社会福祉事業など
10 お産費用など
11 埋葬料・火葬料
12 一定の身体障害者用物品の譲渡・貸付けなど
13 一定の学校の授業料、入学金、入学検定料、施設設備費など
14 教科用図書の譲渡
15 住宅の貸付け(一時的なものを除く。)

ファクタリング手数料も非課税

消費税はその課税の対象になじまない資金の流れに関する取引なども非課税としています。
具体的には預貯金や貸付金の利子、国債・地方債・社債・新株予約権付社債・投資法人債券の利子、保険料、手形の割引料などが挙げられます。
ファクタリングの手数料はこの内の「手形の割引料」に準ずるため、消費税がかからない非課税とされています。
「手形割引」とは、手形の支払期日前に手形を譲渡することで現金化する資金調達法です。
手形を譲渡する際、買い取り業者は手形の金額から「割引料」を差し引いた残りを支払います。
この手形割引はファクタリングに類する取引といっても良いでしょう。
手形割引にかかる「割引料」は非課税取引の対象になるため、ファクタリング取引の手数料も課税されないといえます。

ファクタリングの取引上で消費税が発生する場合

このように、ファクタリング取引とその手数料は非課税であることが分かりました。
しかし、ファクタリングに関する全てが非課税ではありません。
どんな場合に消費税が課税となるのでしょうか。

2社間ファクタリングと3社ファクタリングについて

ファクタリングにはその取引の形態が2種類あることをご存じでしょうか。
ファクタリングの申込者とファクタリング会社の2者が登場する2社間ファクタリングとファクタリング申込者とその取引相手(売掛債権の債務者)、ファクタリング会社の3者が登場する3社間ファクタリングの2種類が存在します。

2社間ファクタリングとは、ファクタリング申込者とファクタリング会社間の2社で契約が完結します。
ですので、ファクタリング申込者は取引先である売掛債権の債務者にファクタリングをした事実を知られずに済みます。
また、2社間での契約となるため、取引自体がスピーディーであり、債権の現金化も素早くできる点がメリットとなります。

3社間ファクタリングには、申込者とファクタリング会社の他に、売掛債権の債務者である申込者の取引先が登場します。
3社間ファクタリングでは、申込者の売掛債権をファクタリング会社に譲渡する事を債務者である取引先に合意してもらいます。
2社間と比べて契約に登場する人物が増えるので、契約に時間がかかる場合があります。
しかし、2社間ファクタリングと異なり、ファクタリング会社は直接、売掛債権の回収を取引先に対しておこなうため、申込者は債権回収の手間が省ける点がメリットといえるでしょう。

ファクタリングと債権譲渡登記

前述した通りファクタリングには、売掛債権の持ち主である申込者とファクタリング会社の2社間で契約が完結する2社間ファクタリングと債権者の申込者と売掛金を支払う債務者、ファクタリング会社の3社で契約を行う3社間ファクタリングがあります。
2社間ファクタリングは、3社間ファクタリングと比べて売掛金の現金化のスピードが早く、売掛金の支払い者である取引先にファクタリングの事実を通知することが不要というメリットがあります。
しかし、ファクタリング会社側としては、申込者が同一の売掛債権を使って別のファクタリング会社と取引をする可能性、つまり、債権の二重譲渡のリスクが存在します。
この二重譲渡のリスクを回避するために用いるのが、「債権譲渡登記」です。
債権について登記をすることで公に持ち主を明確にすることができます。
このことによりファクタリング会社は債権について対抗要件を手にすることができ、二重譲渡のリスクを防ぐことができます。
そのため、2社間ファクタリングの場合にはこの債権譲渡登記が必要とされる場合があります。

債権譲渡登記と消費税

2社間ファクタリングで必須とされる場合のある「債権譲渡登記」ですが、登記手続きを依頼する司法書士に支払う報酬・交通費などは消費税の課税対象となります。
ただし、登録免許税や印紙代は非課税となるので注意が必要です。

事務手数料と出張費について

ファクタリングでは、手数料の他にも事務手数料や出張費が請求される場合もあります。
この二つの費用については課税・非課税、どちらになるのでしょうか。
国税庁は、金銭消費貸借契約における事務手数料について、「役務の提供の対価であり、消費税法上、金銭の貸付けの対価としての利子に該当しないので、課税の対象」としています。
これはファクタリングの事務手数料にも当てはまりますので、課税対象として考えて問題ないでしょう。
対して、交通費は内税でありサービス料金内に消費税10%が既に含まれています。
そのため、消費税を上乗せして請求すると二重請求となってしまうため、交通費は非課税となります。
交通費に関しては非課税と覚えておきましょう。

ファクタリングは非課税?課税項目との違いを解説のまとめ

いかがでしたでしょうか。
ファクタリング取引とその手数料については非課税となります。
ファクタリング取引や手数料が課税となっていた場合、そのファクタリング会社は悪徳業者である可能性が非常に高いので、すぐに取引を中止しましょう。
ただし、その他諸費用については課税・非課税が混在しています。
請求書や見積もりについて、正しく請求・見積もりがされているか、必ず確認するようにしましょう。

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