ファクタリングFactoring

2023.11.29

ファクタリングで「払えない」状況が発生した場合の対処法

ファクタリング契約とは、売掛債権の譲渡契約であり、貸金契約ではありません。

そう考えると、ファクタリングを利用した企業が、ファクタリング会社に「支払う」というケースは考えにくいかもしれません。

しかし、ファクタリングの契約方法の中には、最終的に利用企業がファクタリング会社に支払いを行うケースがあります。

この際、利用企業が「払えない」となった場合、どのような事が起こるのか、どのように対処すべきかを解説していきたいと思います。

払えない状況が発生するのは2社間ファクタリング

ファクタリングには利用企業とファクタリング会社で契約する2社間ファクタリングと、この2社に売掛先である取引先を含めた3社で契約する3社間ファクタリングがあります。

ファクタリングで払えないという状況が発生するのは2社間ファクタリングのケースのみです。その理由を、2つの契約方法の特徴から解説しておきましょう。

★2社間ファクタリングの場合
・売掛債権はファクタリング会社に譲渡されるものの、売掛金の入金口座は変更されない。

★3社間ファクタリングの場合
・売掛債権がファクタリング会社に譲渡され、売掛金の入金口座もファクタリング会社の口座に変更される。

2つの契約方法の大きな違いが上記の点です。

2社間ファクタリングの場合、売掛金の振込口座が変更されませんので、形としてはファクタリングを利用した企業が、ファクタリング会社に代わって売掛金を回収し、回収した売掛金をファクタリング会社に送金する形になります。

この送金ができない場合、払えないという状況が発生します。

3社間ファクタリングの場合、売掛金は直接ファクタリング会社に入金されますので、払えないという状況は発生しないわけです。

ファクタリングで「払えない」という状況とは?

ファクタリング契約において、どういった状況で払えないという状況が発生するのか。この点を簡単に紹介していきましょう。

利用者の都合で払えない

ファクタリングで払えないという状況が発生する場合、考えられる原因は2つ。そのひとつがファクタリングを利用した企業の都合で払えないというケースです。

ファクタリング契約では、取引先から売掛金が入金されたら、速やかにファクタリング会社に送金する必要があります。

しかし、その売掛金をほかの支払いに流用してしまった場合などは、ファクタリング会社に払えないという状況になってしまいます。

取引先の都合で払えない

もうひとつ考えられる払えない理由は、取引先からそもそも売掛金が入金されないというケースです。

売掛金の入金がなければ、利用企業としてもファクタリング会社への送金は難しくなります。問題はこの場合の責任の所在です。

一般的なファクタリング契約の場合、売掛金未払いのリスクはファクタリング会社が負う形となります。取引先から売掛金の入金がない場合でも、利用企業が代わりにファクタリング会社に支払う必要はありません。

もちろん売掛金の回収を代行する立場として、取引先に入金を催促するなど、売掛金を支払ってもらうための働きかけをする必要はありますが、金銭面で保証をする責任はありません。

ただし、ファクタリング契約に「償還請求権」が付随されている契約の場合は事情が変わります。

償還請求権が付随されている契約の場合、売掛金の未払いリスクを利用企業が負う必要が生じます。取引先が未払いの場合でも、利用企業が代わりにファクタリング会社に支払う必要がありますのでご注意ください。

ファクタリングで払えない場合の問題点

ファクタリングで、入金された売掛金をファクタリング会社に払えないという状態になった場合、どのような問題が発生するのか。この点に関して解説しておきましょう。

詐欺罪で告訴される可能性がある

2社間ファクタリングの場合、売掛債権の譲渡契約とともに、業務委託契約書も取り交わすのが一般的です。

この業務委託契約書とは、ファクタリング会社に代わって利用企業が売掛金の回収を代行するため必要になる契約書です。

売掛金をファクタリング会社に払えないということは、この契約書の契約に反する事となりますので、詐欺罪として告訴される危険性が考えられます。

払えない場合の対処法

ファクタリング契約において、売掛金をファクタリング会社に払えないという状況は、なんとしても避けるべき状況ではあります。

しかし、何らかの理由で払えない、払えないとなった場合の対処法などを解説していきましょう。

「払わない」という選択肢はない

まず大前提として、「払わない」という選択肢はありえません。

そもそも手にした売掛金は、利用企業のものではなく、ファクタリング会社が受け取るべきものとなります。それを払わないというのは当然犯罪行為となります。

ファクタリングにおける売掛金に関しては、「払わなければどうなる」というものではなく、「いかにして払うか」を考えるべきものですので、ここは覚えておきましょう。

まずは正直に伝えることが重要

取引先から入金された売掛金が払えないとなった場合、まずファクタリング会社に正直に伝えるようにしましょう。

どんな企業にも、急に現金が必要になる状況は起こり得ます。そんなことはファクタリング会社も重々承知していますので、まずは現状を正直に報告しましょう。

利用企業側から正直に報告をすれば、ファクタリング会社からその後の対応に関していろいろな提言があるかと思います。その提案を聞き入れて今後の対策を考えるのが最善の方法といえるでしょう。

分割払いには非対応のケースがほとんど

売掛金をファクタリング会社に即全額は払えないとなるとまず考えるのが分割払いの提案かと思います。

しかし、ほとんどのファクタリング会社はこの分割払いには対応してくれません。

その理由は、ファクタリング会社の多くは貸金業者登録をしていないためです。

分割払いにするということは、支払うべき金額の一部を、利用企業に貸し付けているという形になります。これは貸金契約ということになり、貸金業者登録を行っている業者しか契約できないということになります。

払えない売掛金を分割払いにするのは難しいということは覚えておきましょう。

横領罪に問われる可能性もある

ファクタリング会社に売掛金を払えない状況に陥った場合、最悪の判断がファクタリング会社に連絡しない、またファクタリング会社から連絡が入っても無視をするといった行為です。

こうした不誠実な態度を取れば、ファクタリング会社の姿勢も強硬になり、最悪の場合は訴訟問題に発展します。

この場合詐欺罪に加え、ファクタリング会社が得るべき金銭を、利用企業が横領したというという形にもなりますので、横領罪に問われる可能性も考えられます。

売掛金を払えないということで、怖くなる気持ちはあるかと思いますが、逃げるという選択は最悪の選択肢となりますので、決して逃げることなく、誠実な対応を心掛けるようにしてください。

払えない状況を回避するためには?

ファクタリング契約において、売掛金をファクタリング会社に払えないという状況はぜひとも回避すべき状況です。ではそのためにできることを考えてみましょう。

資金繰りを改善する

入金された売掛金をファクタリング会社に送金できないということは、基本的に利用企業の資金繰りに問題があるということになります。

ファクタリングで現金を手にした時、すぐにその現金を使うのではなく、まずはファクタリング会社に送金するまでのことを冷静に考えて、どのように現金を使うかを考える必要があります。

現金を手にした時点で分かっている支出と収入を書き出し、支出に関しては期限ぎりぎりまで支払いを遅らせる、収入に関してはできるだけ早く受け取るということを心がけ、とにかく資金繰りを改善させるように対応しましょう。

ファクタリング・払えないのまとめ

ファクタリング契約は売掛債権の譲渡契約であり、貸金契約ではないため、そもそも返済という考え方はありません。

しかし2社間ファクタリングに関しては、ファクタリング会社に代わって利用企業が売掛金の回収を代行するため、契約の最終段階で、売掛金をファクタリング会社に送金するという形になります。

この売掛金の送金ができない、払えないとなると状況はかなり厳しくなります。利用企業が手にした売掛金はそもそも利用企業のものではなく、ファクタリング会社が受け取るべき金銭ですので、払えないという状況はぜひとも回避すべき状況といえるでしょう。

払えないとなると最悪詐欺罪や横領罪で告訴される可能性もありますので、まずは払えないという状況にならないことが重要です。

どうしても払えない場合は、なぜ払えないのかなどその事情を正直にファクタリング会社に伝えましょう。誠実な対応をすることで最悪の状況を回避することができるかもしれません。

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