ファクタリングFactoring

2023.09.27

ファクタリングは債権譲渡と違う?債権譲渡登記についても説明

ファクタリングを行う企業や個人事業主は増えています。しかし、ファクタリングは知られているようで知られていないこともあるものです。

たとえば、意味が似ているため、誤解されやすいですが、ファクタリングと債権譲渡は違います。

この記事では、ファクタリングと債権譲渡の違い、債権譲渡登記について説明します。また、ファクタリングにおける債権譲渡登記のメリット・デメリットについても挙げてみました。

ファクタリングは債権譲渡と違う

ファクタリングは債権譲渡とは違います。その違いについて以下の観点から説明します。

・ファクタリングは資金調達方法
・債権譲渡とは
・ファクタリングと債権譲渡の相違点

この3つの点を注目すれば、ファクタリングと債権譲渡との違いがわかります。ファクタリングを行う上では、知っておきたいものです。

ファクタリングは資金調達方法

ファクタリングは資金調達方法の一つです。取引先に対する売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらい、現金化します。

例を出して説明します。資金繰りの厳しい印刷工場A社があるとします。A社が取引先のB社から売掛金を受け取れるのは、翌月の月末です。そのため、それまでの1ヶ月間、何とかしのいでいかなければいけません。

しかし、原材料費の仕入れなどでお金はどんどん出ていくものです。そんな時、ファクタリングによって、売掛金を早めに現金化できることを知ったA社は、ファクタリングを行うことにしました。

A社はB社から受け取れる予定になっている売掛金は300万です。そこから手数料を引いた270万をファクタリング会社から受け取りました。

そして、B社から売掛金を受け取ったら、すぐにファクタリング会社に振り込みました。これでファクタリング会社との取引は終了です。

このようにファクタリングは売掛債権を現金化する手法です。負債ではないので、融資を受ける際もマイナスになりません。

債権譲渡とは

債権譲渡とは、他社に対して請求する権利である債権を第三者に譲り渡すことです。

たとえば、M社、N社、O社の3つの会社があるとします。M社の取引先がN社、N社の取引先はM社とO社です。このケースで、M社がN社から、自社の取引先O社に対する債権を譲渡されるとしたら、それは債権譲渡と言います。

仮に、N社は赤字経営で倒産寸前であれば、取引先のM社に支払う資金がありません。

さらにN社は、もう一つの取引先O社から商品の代金を払ってもらっていないこととします。その代金を請求する権利をM社に譲渡したのです。

債権譲渡は、2020年4月に変更された債権改正法の影響を受けています。

変更により、たとえ譲渡制限特約があっても、債権譲渡ができるようになりました。また、仮に債権者が破産しても債権は供託所で保護されます。供託所から銀行に還付され、債務者に譲渡されることが可能になりました。

ファクタリングと債権譲渡の相違点

ファクタリングと債権譲渡の相違点は目的です。

上記の通り、ファクタリングは売掛金を早めに現金化することが目的です。それに対して債権譲渡の場合は、債権の売却による資金調達、債権を担保にして融資を受けることが目的です。

このように、ファクタリングと債権譲渡は似ている面もあるので、混同しないようにご注意ください。

ファクタリングにおける債権譲渡登記とは

債権譲渡に関わることで債権譲渡登記があります。債権譲渡登記はファクタリングにも関連しますので、その内容や意味を覚えておきましょう。

ここでは以下の内容を説明します。

・債権譲渡は債権の譲渡を登記すること
・二重譲渡を防ぐのが目的
・法人のみが利用できる

これらについて押さえておくと、債権譲渡登記について理解できます。

債権譲渡は債権の譲渡を登記すること

債権譲渡は、債権を譲渡したことを登記する行為です。債権譲渡登記を行うことで、債権が渡された年月日、どこからどこへ渡されたかなどの事実が公的に証明できるようになります。

債権譲渡登記を行うことで、公的な証明を得られるので、債権に関するトラブルを防げます。

以下は、債権譲渡登記が行われる主な場面です。

・ファクタリング
・割引手形
・債権回収
・代物弁済
・債権譲渡担保

二重譲渡を防ぐのが目的

債権譲渡登記の主な目的の一つは、二重譲渡を防ぐことです。どのような場面のことか説明します。

たとえば、A社がファクタリング会社Bに依頼して、取引先C社の売掛金をファクタリングによって現金化したとします。しかし、A社はファクタリング会社Dにもファクタリングを依頼していました。同じ取引先C社の売掛金を二重に受け取ろうとしたのです。

これが二重譲渡です。つまり、A社のように同じ会社の売掛債権を異なるファクタリング会社にそれぞれ譲渡することです。

こんな場合、ファクタリング会社が債権譲渡登記をしておけば、すでに売掛債権はファクタリング会社Bに譲渡されたことが証明されます。したがって、二重譲渡を防げるのです。

二重譲渡は犯罪行為です。資金繰りに苦しい場合に犯罪と知りながら行うこともありますが、禁止事項とは知らずに行う場合もあります。NG行為として覚えておきましょう。

法人のみが利用できる

債権譲渡登記を行えるのは、法人のみです。つまり、個人事業主は利用できません。

仮に個人事業主がファクタリング会社にファクタリングを求める場合、債権譲渡登記はできません。そのため、個人事業主とは取引をしないファクタリング会社も存在します。

ファクタリング会社にとって、債権譲渡登記は経営をスムーズに行うためにも重要なものだからです。

ファクタリングで債権譲渡登記は行うべきか

ファクタリング会社によっては、債権譲渡登記を求める場合があります。しかし、特に求めないファクタリング会社も存在します。ここでは、ファクタリングを利用する側にとっては、債権譲渡登記はメリットか、デメリットか考えてみます。

ファクタリングで債権譲渡登記を行うメリット

ファクタリングで債権譲渡の登記を行うメリットは以下が考えられます。

・債権譲渡登記はファクタリング会社にとってリスクが下がるため、手数料が安くなる
・公的に守られることで詐欺などの犯罪を防ぐ手立てになる

債権譲渡を登記することで、二重譲渡などが防げます。それはファクタリング会社の損失を防ぐことになるので、利用側に求める手数料は安く抑えられる傾向です。

利用側にとっても、手数料が安いのはありがたいことです。ファクタリングは手数料を引いた分の売掛金が支払われるからです。

一般的なファクタリング会社の手数料率はファクタリングのやり方によって異なり、以下のようになっています。

・ファクタリング会社と利用側による2社間ファクタリングの場合:10~30%
・2社間ファクタリングに取引先が加わった3社間ファクタリングの場合:1~9%

たとえば、3社間ファクタリングであれば、手数料率が2%と9%では大きな違いがあります。
売掛金500万と想定し、手数料率2%と9%で比べてみます。
2%→手数料10万
9%→手数料45万
このように雲泥の差です。

また、債権譲渡の事実を登記することで、債権が国に守られます。たとえば、会社の売掛債権を利用しようとする悪質な行為からも守られるでしょう。

ファクタリングで債権譲渡登記を行うデメリット

ファクタリングで債権譲渡を行うデメリットもあります。以下に挙げてみました。

・取引先にファクタリングの事実が知られてしまう
・登記費用がかかる

債権譲渡を登記することで、自社のファクタリングの事実が公になります。

しかし、取り引き先にファクタリングの事実を知られたくない企業もあるものです。なぜならば、ファクタリングについて詳しく理解していない取引先が少なくないからです。

ケースバイケースですが、ファクタリングを負債と考える人もいます。そのように誤解されてしまうと、借金を抱えた赤字企業と思われ、取引がストップされることも考えられます。

特に中小企業の場合、取引先を失ってしまうと、今後の事業継続が困難になる可能性も否めません。そんな理由で、債権譲渡を登記することを避けたいと考える中小企業の存在もあります。

もしも、上記のような理由で債権譲渡の登記をためらうのであれば、ファクタリング会社に相談してみてください。事情により、理解を示してくれます。

または、債権譲渡の登記を求めないファクタリング会社を探してみましょう。

ファクタリングと債権譲渡についてのまとめ

ファクタリングは売掛金を早めに現金化するために売掛債権をファクタリング会社に譲渡します。それに対し、債権譲渡は支払などを請求する権利である債権を第三者に譲渡する行為です。

債権譲渡の目的は債権による資金調達、債権を担保に融資を受けるなどです。そのため、売掛金の現金化が目的のファクタリングとは異なります。

また、債権譲渡を登記する債権譲渡登記があります。ファクタリング会社によっては、ファクタリングを行う際の条件となっています。登記することで二重譲渡などの禁止行為を防げるからです。

しかし、債権譲渡登記により、取引先にファクタリングの事実が知られてしまうため、登記を拒む企業も存在するものです。そんな場合はファクタリング会社に相談しましょう。

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