ファクタリングは、手持ちの売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、売掛金の早期現金化を図る資金調達法です。
そのファクタリングの申し込みにはいろいろな方法があります。
一般的な方法としては、対面式の申し込みが考えられますが、その他にもオンライン申し込みなどがあります。
その中で、最近ネットなどで見かけるようになったのがLine完結のファクタリングサービスです。
そんなLine完結のファクタリングについて解説していきましょう。
Lineで完結するファクタリングはある?
すっかりコミュニケーション手段の中心となったアプリ「Line」。
多くの方のスマホにインストールされており、すでに仕事でもプライベートでも連絡を取るための中心的な手段であるという方も多いかと思います。
このLineアプリで完結できるファクタリングが存在するのかどうか?この点を解説していきましょう。
数は少ないものの存在はする
結論から言えば、Lineで完結できるファクタリングサービスは存在します。
ただし、Line完結を採用しているファクタリング会社は多くはなく、非常に限定的と考えた方が良いでしょう。
特に法人・企業向けのファクタリングサービスを、Line完結で行っているファクタリング会社は数えるほどしかありませんので、「そういうサービスもある」程度の認識で間違っていないかと思います。
その多くは個人向けのファクタリング
Line完結のファクタリングに関しては、主に個人向けのファクタリングサービスでLine完結を採用しているファクタリング会社が多いようです。
そもそも個人向けのファクタリングが存在するのかと言われれば、存在はします。
かつては「給与ファクタリング」という、給与債権を譲渡する個人向けファクタリングが存在しました。
しかし、この給与ファクタリングに関しては、裁判において貸金契約であるという判決が出て以降、サービス提供のためには貸金業者登録が必要となり、2023年現在ではほぼ見かけなくなっています。
2023年現在、後払いファクタリングという形で個人向けのファクタリングがありますが、このファクタリング方法に関しても、法的にはグレーな部分があるため、いつ規制の対象になるか分からない状況です。
Line完結ファクタリングを利用するメリット
数少ないとはいえ存在するLine完結のファクタリングサービス。
Line完結のサービスを利用すると、どのようなメリットがあるのか考えてみましょう。
スマホ一つで手軽に申し込める
最大のメリットは手持ちのスマホひとつで簡単に申し込みができるという点です。
ファクタリングのためにファクタリング会社の窓口を訪れたり、電話連絡をしたりという手間が省け、いつでもどこでも手軽に申し込めるのが大きなメリットです。
ファクタリングに関する相談などもLineでできる
また、Lineを利用するため、申し込みだけではなく、ファクタリング契約において不明な点や、不安な点も気軽に質問できるのもメリットです。
電話や対面の申し込みでは、その瞬間に質問できなければ聞くことが難しいケースがありますが、Lineであれば、思いついた瞬間に質問が可能です。
こうした利便性がLine完結ファクタリングのメリットとなります。
Line完結ファクタリングを利用するデメリット
メリットがあるということは、当然ですがデメリットも存在します。
Line完結のファクタリングを利用する場合のデメリットを紹介しておきましょう。
必要書類が多くなる
Line完結のファクタリングでは、必要書類が多くなります。
これは、Lineがアプリであり、ファクタリング会社が運営しているものではないのが理由です。
Lineというアプリは秘匿性が高く、メッセージを打っている方が本当に申込者本人かどうかの確認が難しいという特徴があります。
特に企業向けのファクタリングの場合、契約ができるのはその企業の代表者となります。
代表者以外が勝手にファクタリングを申し込むことがないように、ファクタリング会社はチェックする必要がありますが、Lineを操作しているのが誰かを確認するのは難しく、そのために提出する書類が多くなるということになります。
手軽に済ませるためにLine完結のファクタリングを申し込んだものの、準備する書類が多くなりかえって手間がかかってしまうというケースもありますので、この点はデメリットといっていいでしょう。
書類の提出の手間がかかる
準備した書類の提出に関しては、スマホで撮影する、もしくはスキャンしてPDFデータにするなどの方法で、まずはデータ化をします。
そのデータをLine上で提出する形となりますが、提出書類が多くなればなるほどこの書類の準備の手間も膨大となります。
窓口申し込みであれば、書類を用意すればスキャンする必要も撮影する必要もありません。
この手間という点でもデメリットと感じるかと思います。
入金までの時間がかかる
Line完結のファクタリングでは、即日現金化は難しいと考えておきましょう。
上記の通り、提出すべき書類が多く、その分審査にも時間がかかります。
そのため入金は早くても翌日以降。
急ぎで現金が欲しいという経営者の方にとって、これは大きなデメリットとなるでしょう。
Line完結のファクタリングだからと言って特典はない
Line完結のファクタリングは、通常のファクタリングと比較すると事務所の経費や、人件費なども安くなるため、ファクタリング契約の内容にも期待ができると考える方も多いかと思います。
実際オンライン通販などの場合、店舗型よりも人件費や店舗の家賃などが不要となるため、店頭販売価格よりも安いものです。
しかし、Line完結のファクタリング契約の内容を見ると、特にLine完結だからといって契約に特典はないようです。
契約における審査が緩くなったり、手数料が安くなったりするといった情報はなく、契約自体は通常の契約と同じ条件での契約となるようです。
悪徳業者も少なくない
Line完結のファクタリングは、事務所を構える必要がなく、しかも対応する人間も少数で賄えるため、悪徳業者としては非常に参入しやすい分野となります。
ほとんど初期費用をかけずに開業ができるため、闇金業者などの悪徳業者が顧客を獲得するためにLine完結のファクタリングと称して、違法で暴利の貸金契約を結ぶというケースがあるようです。
ファクタリング会社はそもそも許認可申請や免許取得の必要がなく開業できるため、悪徳業者が存在する業界と言われていますが、Line完結を行っている業者の中にもこうした業者が紛れ込んでいる可能性はありますので、これもデメリットといえるでしょう。
企業が申し込むのであれば現状Line完結はおすすめできない
ファクタリングにはいろいろな種類がありますが、2023年現在、企業や個人事業主がファクタリングを利用するのであれば、Line完結はおすすめできません。
Line完結のファクタリングは、メリットと比べてデメリットが大きく、現状ではまだ利用するのはおすすめできないという結論になります。
オンライン申し込みや窓口で申し込む方が手間がかからない
企業の方がファクタリングを申し込むのであれば、対面申し込みかオンライン申し込みがおすすめです。
対面申し込みは、ファクタリング会社の窓口を訪れるか、ファクタリング会社の担当者を自社に招いて対面で申し込む方法です。
かつてはもっとも一般的な申し込み方法でしたが、最近ではオンライン完結の申し込みも増えています。
オンライン完結の申し込みは、一見Line完結と同様と思われるかもしれませんが、オンライン申請のフォームをファクタリング会社が用意しているという点で大きく違います。
上でも少し触れた通り、Lineというアプリは非常に秘匿性が高く、本人確認などで必要になる書類が多くなりますが、オンライン申し込みではそこまで多くはなりません。
つまりオンライン完結はLine完結ほど手間がかからないということ。
現状ではLine完結にこだわるより、対面式やオンライン申し込みのファクタリングを利用した方が、手間がかからずおすすめとなります。
将来的にはLine完結が増える可能性も
Line完結のファクタリングの将来性という点にも少し触れておきましょう。
Lineというアプリは非常に優秀なコミュニケーションツールです。
また国内の普及率も非常に高く、将来的にはこのアプリを活用したファクタリングが増加していく可能性もあるかと思います。
問題となるのはその秘匿性の高さですが、この点をクリアできる方法が見つかれば、一気に広がる可能性すらあります。
Line完結がおすすめできないというのは今現在の話。
将来的にはLineを活用できる未来があるかもしれません。
ファクタリングとLineについてのまとめ
Line完結のファクタリングというサービスは存在します。
存在はしていますが、その数はあまり多くはなく、Line完結にこだわると、条件のいいファクタリング契約は難しくなり、あまり望ましい結果にはならないでしょう。
またLine完結のファクタリングにはデメリットが多いのも事実。
特に悪徳業者にひっかかる可能性が高くなるのは大きなリスクです。
この点でもLine完結はあまりおすすめできません。
現状ではLine完結にこだわらず、いろいろなタイプのファクタリング会社から最善の契約を提示してくれる会社を選びましょう。