医療機関によっては、患者の動向により、資金繰りが厳しい場合もあります。また、開業したばかりのクリニックで軌道に乗らないといったケースも考えられます。
そのような医療機関の皆様には、医療ファクタリングがおすすめです。この記事では、医療ファクタリングの概要や仕組み、メリット・デメリット、活用事例を紹介します。医療機関の皆様は、参考にしてください。
医療ファクタリングとは？
医療ファクタリングとは、どんな仕組みなのか、またどんな種類があるのか下記について記述します。
・診療報酬債権の現金化
・2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがある
・ファクタリング会社に申し込む
これら3つに関して知っておくと、ファクタリング利用の際に助かります。
診療報酬債権を現金化できる
医療ファクタリングは、資金調達法の一種です。診療報酬債権を現金として受け取れるので、資金繰りに困難な時期や新しい機器の購入時期などに便利です。資金が手元にあることで安心できるでしょう。
また、ファクタリング全般は、経済産業省にも正当な資金調達方法として奨励されている手法です。そのため、医療機関においても安心して活用できます。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがある
ファクタリングには、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがあります。2社間ファクタリングは、医療機関とファクタリング専門会社2社によるファクタリングです。3社間ファクタリングは、医療機関、ファクタリング会社、売掛先の3社によるファクタリングです。
医療ファクタリングで多く採用されるのは、医療側、売掛先、ファクタリング会社による3社間ファクタリングです。
ファクタリング会社に申し込む
医療機関のためのファクタリングも、企業によるファクタリングと同じです。ファクタリング会社にファクタリング利用を相談して申し込みます。つまり、医療機関がファクタリング会社に、売掛債権にあたる診療報酬債権を譲渡する形です。
ファクタリング会社の中には、医療ファクタリングが得意なところがあります。慣れたところで頼んだ方が何かと安心できるものです。そんなファクタリング会社を選ぶようにしましょう。
医療機関の売掛先は以下の団体です。
・社会保険診療基金
・国民健康保険団体
ここの団体に請求する「レセプト診療」と言われる「診療報酬」は医療機関の収入になります。
ファクタリング会社への診療報酬債権譲渡により、医療機関は診療報酬を早めに受け取れます。診療報酬は、通常ならば受け取るまでに2～3ヶ月かかるものです。早めに受け取れるならば、病院経営に役立つはずです。
医療ファクタリングのメリット
医療ファクタリングのメリットを3つ紹介します。
・審査が厳しくない
・売掛先が国なので安心
・借金ではない
これらのメリットは、どれも医療ファクタリングを利用する際に安心できることです。
審査が厳しくない
医療ファクタリングの審査は、銀行融資の審査とは異なり、厳しくありません。その理由を説明します。
銀行の融資と違い、ファクタリングは売掛先の企業の信用度を見ます。そのため、売掛先が安定した企業であれば、審査はスムーズです。
医療ファクタリングの場合は、売掛金を支払うのが社会保険診療基金や国民健康保険団体なので、倒産の心配はありません。したがって、ファクタリング会社は、ほぼ確実に売掛金を回収できます。
売掛先が国や特別民間法人なので安心
上記で説明しましたように、医療ファクタリングの売掛先は、国や特別民間法人です。そのため、ファクタリング会社は安心して取引できます。この点は医療ファクタリングの大きなメリットです。
そんな医療ファクタリングの売掛先の社会保険診療基金や国民健康保険団体について説明します。
社会保険診療基金とは、特別な法律によって設立されている民間団体です。保険診療が正しく行われているかチェックして、医療機関に報酬を支払います。
国民健康保険団体は、正式名は国民健康保険団体連合会です。この団体は国民健康保険法第83条に基づき、日本全国に設立されています。
借金ではない
通常のファクタリング同様、医療ファクタリングは、借金ではありません。国でも推薦されている資金調達法なので、安心して利用できます。
そのため、日本国内でファクタリングを利用する企業や個人事業者、医療団体は、ここ最近増えてきています。かつては、ファクタリングというと、懸念を示す企業や個人が多く、海外に比べて、それほどはびこっていませんでした。
しかし、ここ最近はその価値が広く知れ渡り、多くの企業や個人事業主に利用されています。
医療ファクタリングのデメリット
医療ファクタリングにおけるデメリットも紹介します。ここでは、以下の2点に注目してみました。
・手数料・掛け目制度がある
・悪徳業者が存在する
デメリットは、どんなことにもあり得るものです。デメリットについても、認識したうえで医療ファクタリングを活用しましょう。
手数料・掛け目制度がある
医療ファクタリングには、手数料と掛け目制度があります。そのため、売掛金すべてが医療機関側に支払われるわけではありません。この点は誤解されやすいので、きちんと押さえておきましょう。
医療ファクタリングは3社間ファクタリングを採用するため、手数料が1～9%取られます。この額は10～20%の2社間ファクタリングに比べて低い割合です。
また、ファクタリング会社が医療機関へ支払う額が、請求額の平均80%になる掛け目制度があります。
一般的に医療機関の報酬は、売掛先に請求した額がすべて支払われるわけではありません。保険機関の審査により、請求額より減らされることが多いものです。したがって、ファクタリング会社の医療機関への支払額は売掛金の約80%になります。
悪徳業者が存在する
ファクタリング会社を装った悪徳業者が存在するので、気を付けたいものです。医療ファクタリングにおいても、こうした悪徳業者に騙される危険があります。
悪徳業者のよくある特徴は以下です。
・手数料が相場より高い
・担保や保証人が必要と言われる
・住所・電話番号が不透明
手数料は上記で紹介した通り、3社間ファクタリングで1～9%ですが、悪徳業者は「早急に資金を用意するから、手数料20%が必要。」など、もっともらしく聞こえることを言い、不当な額を取り立てる可能性が考えられます。資金難で苦しんでいる医療機関だと、そんな話にも飛びついてしまうことがあるものです。
担保や保証人はファクタリングに必要ありません。そのような条件を要求するならば、闇金業者の可能性が高いでしょう。
また、住所がレンタルオフィスやマンションの一室、電話番号が携帯番号など、所在が不透明なファクタリング会社も怪しいです。ファクタリング会社を装った詐欺グループの可能性も否めません。こうした詐欺に騙されてしまうと厄介なことになります。
いずれにしても、弱みに付け込んだ悪質な手口です。悪質業者の特質を理解し、そのような業者とは契約しないようにしましょう。
医療ファクタリングの事例
医療ファクタリングの事例を2つ紹介します。
・融資と組み合わせた
・機材の購入ができた
医療ファクタリングをお考えの場合は、このような事例を参考にしてください。
融資と組み合わせた
大きな病院の例です。
駅チカの便利な場所に移転するために、資金が必要になりました。大部分は銀行融資で賄えましたが、移転に伴い、病院を休業するために診療報酬が入ってきません。そのため、職員に払う給料分が厳しくなり、医療ファクタリングを利用しました。
この病院は、地域で大きな病院のため、信用があり銀行融資がうまくいきました。そんなこともあり、ファクタリングはそれほど大きな額を利用せずに済んだのです。融資とうまく組み合わせたので、資金繰りにも困りませんでした。
機材の購入ができた
歯科医院での事例を紹介します。
インプラント治療の歯科医院を経営しているAさんは、最新機器を導入したいと考えました。その機器があれば、今後患者が増え、診療報酬が増える可能性があります。
新しい機器は、かなり高額のため、銀行融資を受けることにしましたが、それだけでは足りませんでした。しかし、これ以上は負債額を増やしたくないものです。そう考えたAさんは、知り合いの歯科医院が利用したというファクタリングで足りない資金を賄うことにしました。
幸い、素早く対応してくれるファクタリング会社が見つかり、資金の一部をファクタリングで対応できました。負債を増やさずに済み、Aさんは胸をなでおろします。手に入れた新しい機器のおかげで患者も増えました。
医療ファクタリングのメリット・デメリットについてのまとめ
医療ファクタリングは、医療機関向けのファクタリングです。
メリットは、審査が厳しくないこと、売掛先が国なので安心できること、借金ではないことの3つが考えられます。一方、デメリットは手数料や掛け目制度があること、騙される可能性のある悪徳業者がいることです。
医療ファクタリングで成功した医療機関の中には、銀行融資も活用しながら、ファクタリングを利用した例もあります。こうした事例、メリット、デメリットを理解したうえで、医療ファクタリングをご利用ください。
