昨今の新しい資金調達方法として注目されているファクタリングですが、最大のメリットは最短即日で売掛債権の現金化が出来る点かと存じます。
多くの事業者が資金繰りに課題を抱えている中で、最短即日で資金調達が可能な事は非常に大きなメリットです。

しかしながら、そんなファクタリングにも利用にあたっていくつか注意点が存在します。
この記事では、そんなファクタリングを利用するにあたっての注意点を詳しく解説していきます。

現在ファクタリングの利用を検討されている事業者様や、万が一の時に備えてファクタリングの正しい知識を得ておきたいとお考えの事業者様は、是非この記事を最後までお読みいただき、ファクタリングの利用に際しての注意点をしっかりご理解いただけましたら幸いです。

ファクタリングの利便性とリスク

冒頭で記載した通り、ファクタリングの最大のメリットは、他の資金調達方法と比較した際の利便性の高さが上げられます。

ファクタリングは最短即日で、申し込みから審査通過、資金調達までが唯一可能といっても過言ではない資金調達方法になります。

資金繰りにお悩みの事業者や、急な出費が出てしまい手元資金が不足して資金ショートの危機に陥っている事業者などにとって、ファクタリングは特効薬的な役割を果たしてくれると言えるでしょう。
しかしながら、そんなファクタリングにもいくつかリスクが存在しますので、リスクとメリットの両面を理解した上で活用することが大切と言えます。

ファクタリングの注意点

前述の通り、ファクタリングは資金繰りに困窮する事業者にとっては特効薬的な効果がある資金調達方法と言えます。
しかしながら、ファクタリングの利用に関してはいくつか確認しておかなければならない注意点があります。
本稿ではそんなファクタリングの利用に際しての注意点を詳しく解説していきます。

手数料は独自で決定される

ファクタリングの利用に際しての注意点としては、手数料率が独自に決定される点が挙げられます。
ファクタリングはあくまでも売掛債権の売買契約に当たりますので、銀行や金融機関の貸付とは異なります。
銀行や金融機関の貸し付けでしたら、貸金業法や利息制限法に基づいて利息の上限が設定されています。
しかしながら、現状ファクタリングには貸金業法や利息制限法などの法整備がされていませんので、いうなればファクタリング会社の独自審査に基づいて手数料が確定する仕組みとなっています。

そのため、あくまで手数料は「相場」であり、時には相場以上の手数料を求められる危険性もあります。
このように、手数料率が法的に定められていない点は、ファクタリングを利用するにあたっての注意点と言えるでしょう。

調達できる金額は最大でも月商まで

ファクタリングは、冒頭で御話した通り、事業者が保有する売掛債権を最短即日で現金化する資金調達方法です。

一見すごく利便性が高く感じられるのですが、いっぽうで調達可能な金額は最大でも事業者の月商までとなっています。
ファクタリングは売掛債権を現金化する方法ですので、売掛債権の金額以上の資金を調達することは出来ない、ということです。

例えば、中長期的な経営戦略を見据えての資金調達や、大型の設備投資など、事業者の月商を超える金額の資金を調達しなければならないケースに関しては、ファクタリングではなく銀行や金融機関の貸し付けなど、他の資金調達方法を検討すべきと言えます。

このように、利便性に秀でているファクタリングですが、利用シーンを誤らないよう注意が必要です。

売掛先に知られるリスクがある

売掛先にファクタリングの利用を知られるリスクがあることも、ファクタリングを利用する上での注意点と言えます。

ファクタリングには大きく分けて２社間ファクタリングと３社間ファクタリングという２種類の資金調達方法があり、３社間ファクタリングの場合は売掛債権の売買に際して売掛先も契約や取引に関わります。

ですので、同じファクタリングでも、３社間ファクタリングを選んだ場合は、売掛先に知られることになりますので、一般的に売掛債権を売買する状況というのは、売掛先の目線から見るとあまり好意的にとらえられることはないでしょう。
それどころか、経営状況の悪化や資金繰りショートを不安視され、中長期的な取引状況を悪化させる可能性すらありますので、注意が必要です。

このように、ファクタリングでも３社間ファクタリングの場合は売掛先に知られるリスクがありますので、これも大きな注意点と言えるでしょう。
取引先にファクタリングを知られたくない事業者は、ファクタリングの利用時には必ず２社間ファクタリングを選択するよう注意しましょう。

売掛金の支払期日は確実に遵守する

ファクタリングは最終的に、利用者の元に入金される売掛金を全額ファクタリング会社に支払う事で、一度の売掛債権の売買契約が完了します。
しかしながら、これは言い換えれば先々の入金予定だった売掛債権を先に入金させている状況になりますので、当然ながら本来の入金サイクルで入ってくる売掛金は利用できなくなります。

ファクタリングを利用して急場を凌いだとしても、本来の入金サイクルで売掛金が入金されるまでの間に、ファクタリング会社に売掛金を支払っても大丈夫な資金繰りの状況にしておく必要があります。

急場は凌いだものの資金繰り状況が改善できていないままですと、ファクタリング会社への売掛金の支払いが出来ない状況に陥る危険性もありますので、最終的に売掛金の支払期日を遵守して支払いまで完了させなければならない点は、ファクタリングの注意点と言えます。

売掛金は分割支払い不可

前述の通り、ファクタリングの契約において売掛金の期日までの支払いは絶対的に守らなければならない注意点です。
万が一期日までの支払いが出来ない状況になりますと、ファクタリング会社が売掛先へ連絡し、支払いの状況を確認することとなってしまいます。

更に、前述の通りファクタリングはあくまで売掛債権の売買契約になりますので、資金調達方法ではあるものの、借り入れではありません。
ですので、当然ながら売掛金の支払いに分割払いなどの猶予は設けられておりません。

借り入れのような感覚でファクタリングを利用してしまうと、最終的に売掛金の一括での満額支払いに対応できない事態に直面する可能性もありますので、売掛金を分割払いすることが出来ない点も、ファクタリングの注意点と言えるでしょう。

担保や保証人は不要

ファクタリングの注意点として、前述の通り借り入れでは無いため、担保や保証人を要さない点に関しても注意が必要です。
利用前の段階で、ファクタリングを借り入れの一種と勘違いされているケースも少なからず存在しています。
ファクタリングはあくまで売掛債権の売買契約ですので、担保も保証人も必要ないのに、必要だと勘違いされてファクタリングの利用に踏み出せない事業者も中にはいることでしょう。

ファクタリングには担保や保証人が不要な点も、注意点と言えるでしょう。

信用情報は審査に関与しない

ファクタリングの審査には信用情報が関与しない点も、ファクタリングを利用するにあたっての注意点と言えます。
ファクタリングの審査で重要視されるのは、事業者本人の経営状況ではなく、売掛先の信用度になります。

ですので、銀行や金融機関などの融資の審査のように事業者本人の信用情報が審査結果に関わることはありません。
言い換えると、信用情報に不安がある事業者でもファクタリングは活用可能ということです。

信用情報に不安があるという理由で、ファクタリングの審査に申し込みできていない事業者もいるかと思いますので、そういった点はファクタリング会社に事前に相談しておくと、問題なく審査通過できるでしょう。

悪徳業者に注意

ファクタリングを利用する際の注意点として、悪徳業者の存在が確認されている点が挙げられます。
ファクタリングは昨今急激に市場が拡大しています。
又、前述の通り、ファクタリングには銀行や金融機関の貸し付けなどと比較して、貸金業法や利息制限法などの法整備が整っていない現状があります。
ファクタリング会社を開業するにあたっての資格なども特段ありませんので、現状は誰でも新規参入できる状況です。

このようなファクタリング業界において、ファクタリングを装った高利貸しの契約を結ばせようとする、いわゆる闇金や、一般的な相場を大幅に上回る手数料を請求してきたり、買取の手数料以外で不透明な手数料をやたらと加算してくるような詐欺まがいな行為をしている会社も確認されています。

ファクタリングの利用に際して、このような悪徳業者の存在が確認されている事は、大きな注意点と言えるでしょう。

ファクタリング会社を選ぶ際の注意点

さて、ここまではファクタリングの利用に際して押さえておくべき注意点を解説してきました。
ここからは、ファクタリングを利用するにあたってのファクタリング会社の選び方に関しての注意点を解説していきます。

希望する売掛債権の金額に対応しているかを注意

ファクタリング会社を選ぶ際の注意点として、希望する売掛債権の金額に対応しているかを確認しておく必要があります。
例えば建設業などは、支払いサイトが長いもののかなり高額な売掛債権を取扱っている状況が考えられますので、このようなケースではファクタリング会社の買い取り上限額を確認しておく必要があります。

又、逆に個人事業主やフリーランスの場合、少額の売掛債権をファクタリングしたいケースも考えられます。
このようなケースでは、ファクタリング会社の買い取り下限額を確認しておく必要があります。

このように、事業者が保有する売掛債権の金額にファクタリング会社側が対応しているか、事前に確認しておく事はファクタリング会社を選ぶ際の注意点と言えます。

手数料の高さを注意

ファクタリングを利用するにあたって、手数料の高さは何よりの注意点と言えます。
前述の通り、ファクタリングには貸金業法や利息制限法などの法整備が整っておりませんので、あくまでも手数料は相場となります。

ですので、同じ売掛債権を複数のファクタリング会社に相見積もりを出すことによって、売掛債権の手数料相場が正確に把握できます。

一般的に２社間ファクタリングの手数料相場としては10％～30％となっておりますので、ファクタリング会社を選ぶ際にはきちんと手数料の高さを比較してから、どの会社と取引するかを見極めましょう。

償還請求権の有無に注意

ファクタリング会社を選ぶ際の注意点として、償還請求権の有無に関して、細心の注意が必要です。
ここでいう償還請求権とは、仮に売掛金が回収できず、売掛債権が不良債権化してしまった際に、利用者が弁済しなければならないのか否か、の内容になります。

最近は、基本的に償還請求権なし＝売掛金の弁済義務なし、での契約を締結するのが一般的ですが、念のために契約書の条文内の償還請求権の有無は確実に確認しておきましょう。

希望するスピードで現金化できるのかを注意

ファクタリング会社を選ぶに際して、希望するスピードで現金化できるのかも、きちんと確認しておきましょう。

「最短即日での現金化が可能」と謳っているファクタリング会社はたくさんありますが、全てのファクタリング会社が即日で対応しているわけではありませんし、即日で対応するには審査や契約手続きが必須ですので、時間帯によっては即日で対応できない状況も考えられます。

このように、ファクタリング会社を選ぶ際には、ご自身が希望するスピード感で現金化が可能なのかも、注意して事前に確認しておきましょう。

ファクタリングには注意点がある？ファクタリングの注意点を詳しく解説のまとめ

ファクタリングの注意点
・手数料は独自で決定される
・調達できる金額は最大でも月商まで
・売掛先に知られるリスクがある
・売掛金の支払期日は確実に遵守する
・売掛金は分割支払い不可
・担保や保証人は不要
・信用情報は審査に関与しない
・悪徳業者に注意

・ファクタリング会社を選ぶ際の注意点
・希望する売掛債権の金額に対応しているかを注意
・手数料の高さを注意
・償還請求権の有無に注意
・希望するスピードで現金化できるのかを注意

ファクタリングは、事業者が保有する売掛債権を最短即日で現金化できる資金調達方法です。
そのため非常に利便性が高く、資金繰りや手元資金の確保にお悩みの事業者の特効薬的な手段と言えます。

しかしながら、その一方でファクタリングには注意点も様々あります。
又、ファクタリング会社を実際に選定する上での注意点も様々ありますので、この記事をお読みいただいた事業者様においては、注意点をしっかりと把握された上で、ファクタリングのメリットを活かして、ご活用頂けましたら幸いです。