弁護士や税理士など「士業」と呼ばれる職業のひとつに司法書士があります。司法書士は登記や供託などの法律に関する手続きをする法律家で、専門性の高い職業です。
専門性が高いとはいえ、常に資金が潤沢にあるわけではなく、まとまった資金が必要になることもあります。そんな時、司法書士におすすめの指揮調達方法として、ファクタリングがあります。
この記事では、司法書士の資金調達方法の特徴や、ファクタリングがおすすめな理由について、利用の際の注意点とあわせて解説します。
司法書士の特徴とは
司法書士は司法書士法に基づく国家資格を持つ専門職です。不動産や商業登記や、法務局などに提出する書類の作成・申請代理などを行います。
試験に合格すれば司法書士になれますが、ほとんどの場合、一般企業の法務部や司法書士事務所に就職して実務経験を積みます。
ある程度の実務経験を積むと、顧客を獲得できるようになり、独立開業する人も多くいます。事務所を構えて法人化するケースもありますが、個人事業主として開業するケースがほとんどです。
司法書士の経営事情
企業や司法書士事務所に勤務している司法書士の平均年収は300~400万円ですが、独立開業すると1,000万~5,000万円と言われています。
そのため、独立開業する司法書士が多いのですが、売上が不安定なため、資金繰りが苦しい個人事務所も少なくありません。
司法書士の主な収入源は不動産や会社の登記ですが、収入を多くするためには大口の顧客や、複数の顧客が必要になります。顧客を逃すとその分収入が減ります。また、スタッフがいる場合、そのスタッフがいずれ独立する可能性が高く、独立と同時に顧客を持って行くこともあります。そのため、収入が不安定な司法書士も珍しくはないのです。
参考:司法書士白書2021年版
司法書士の資金調達方法
収入が落ち込んだ場合、経営を維持するためには資金を調達する必要があります。
司法書士も他の職業と同じで、資金調達をするには融資やファクタリングなどの方法がありますが、司法書士は融資を受けることが困難と言われています。
ここでは、司法書士が利用できる資金調達方法について詳しく解説します。
融資
司法書士も一般企業同様、金融機関から融資を受けることが可能です。しかし、一般企業に比べ融資を受けにくいと言われています。その理由として、「資金使途」の説明が難しい点があります。
「資金使途」とは、融資を受けたお金をどのように使うのか、使い道の説明をすることです。金融機関は、融資したお金を確実に返済してもらうため、資金使途を重視します。
資金使途は「運転資金」と「設備資金」の2種類があり、運転資金は事務所の家賃や従業員の給与を指し、設備資金は機械などの設備に使う資金です。
一般的な会社や店舗の場合は、材料や商品の仕入れや設備投資などが資金使途になります。しかし、司法書士の場合は、まず仕入れがありません。また、事務所があれば開業できることから、設備投資を資金使途にするのは難しくなります。司法書士の場合、自宅で開業するケースも多いため、資金使途の説明はさらに難しくなり、融資が受けられないこともあります。
ファクタリング
ファクタリングは売掛金を売却し、本来入金される期日より早く現金を手にする資金調達方法です。ファクタリングは資産売却にあたるため、融資などの借入と違い、内部資金調達に当たります。
売掛金があれば利用可能で、司法書士も使える資金調達方法です。
一般的な会社の場合は、商品の売買契約や作業の請負契約などが行われ、納品後に請求書が発行されれば売掛金が発生します。
司法書士の場合は顧客との契約後、契約内容を遂行し請求書を発行した時点で売掛金が発生します。
この発生した売掛金を、ファクタリングの専門業者に売却することで、資金調達が可能になるのです。
司法書士にファクタリングがおすすめな理由
司法書士にファクタリングがおすすめな理由は、融資に比べ資金調達しやすいのが大きな特徴ですが、この他にも次のような利点があります。
本来より早い段階で報酬が手に入る
司法書士の場合、顧客と契約後に役務を果たし、請求書を発行後しばらくしてから報酬を受けるのが一般的です。ファクタリングは、顧客が請求書を受け取った時点で売掛金が発生するため、早い段階で補修が手に入ります。
ファクタリングは必要書類が揃っていれば、申し込みをしたその日のうちに現金を受け取れるケースがほとんどなので、スピーティーに資金調達できるのです。
ファクタリングで調達できる資金は、売掛金からファクタリング専門業者の手数料を引いた金額なので、必要以上の負債を負う心配もありません。
経営実績がなくても利用できる
ファクタリングは売掛金を買い取ってもらうだけなので、司法書士としての業歴や実績がなくても利用できます。そのため、開業直後でも利用する側の信用度が審査されることもありません。
ファクタリングを利用する際、専門業者の審査はありますが、それは利用者ではなく売掛先の信用度の審査になります。ファクタリングの専門業者は、売掛先から売掛金が回収できるかの審査をするのです。
経営状態が悪い企業が、司法書士に業務を依頼するとは考えにくいため、ファクタリング業者の審査に引っかかる可能性も低くなります。
顧客にファクタリングの利用を知られることがない
ファクタリングには二者間ファクタリングと三者間ファクタリングの2種類があります。二者間ファクタリングは、利用者とファクタリング業者のみで契約するもので、三者間は利用者とファクタリング業者、顧客の三者で契約するものです。
ファクタリングを利用したことが顧客に知れると、経営状態を疑問視されることも多く、顧客が別の司法書士に移ってしまう恐れがあります。二者間ファクタリングを利用すれば、顧客にそれを知られる心配がありません。
二者間ファクタリングの場合、ファクタリング業者は買い取った売掛金から業者の利益となる手数料を引いた金額を利用者に支払います。利用者は後日、顧客から支払われた売掛金をそのままファクタリング業者に払うため、顧客がファクタリングの利用を知る心配はないのです。
手数料が安くなる可能性が高い
利用者が調達する資金は、売掛金からファクタリング業者の手数料を引いた金額になります。手数料はファクタリング業者によって異なりますが、二者間ファクタリングの場合、売掛金の10~30パーセントが相場です。
手数料は、売掛先の信用度が高いほど安くなります。司法書士の顧客は信用度が高い傾向にあるので、手数料が安くなる可能性が高くなります。
司法書士がファクタリングを利用する際の注意点
ファクタリングの専門業者の中には、個人事業主が利用できない所もあるので注意が必要です。多くの場合、法人しか扱っていないことがあるため、利用の際には個人事業主も対象になっているかの確認が大切です。
また、売掛先が個人の場合も利用できないことがあるため、顧客が個人の場合も利用できるファクタリング業者が少なくなります。
ファクタリングの利用は、利用者がどの売掛金を売却するか決られるので、確実に利用したいのであれば個人ではなく企業の売掛金がおすすめです。売掛先の企業は、大企業であればあるほど審査に通りやすく、手数料も安くなります。
ファクタリングは司法書士の資金調達におすすめのまとめ
今回は、司法書士の資金調達方法の特徴や、ファクタリングがおすすめな理由について、利用の際の注意点とあわせて解説しました。
「士業」のひとつである司法書士は、その職業事態に信用があり、取引先の信用度も高いためファクタリングの利用に向いている業種と言えます。ファクタリングは融資とは違い審査なども通りやすく、スピーディーに資金調達できるので、急に現金が必要になった際には利用をご検討下さい。