ファクタリングとは、事業者が所有している売掛債権を最短即日で現金化する資金調達方法です。
経済産業省も推奨している新しい資金調達方法として注目を集めているファクタリングですが、まだまだその詳しい内容や資金調達方法、ファクタリングを実際に利用するにあたって得られるメリットまではご存じでない事業者様も多くいらっしゃるかと存じます。
本稿では、そんなファクタリングの内容を詳しく解説していきます。

ファクタリングとは

ファクタリングとは、個人事業主や中小企業がつなぎ資金の確保や、急な出費に対応するために活用すべく、昨今新しく登場した資金調達方法です。
利用者は売掛債権をファクタリング会社に対して売却し、ファクタリング会社は売掛債権の総額から手数料を差し引いた金額を利用者に支払い、売掛債権を所持します。
その後、利用者の元に取引先から満額の売掛金が入金されると、その総額をファクタリング会社に支払って、1回の取引が完結します。

融資と比較してのメリット

ファクタリングは企業の資金調達法の1つですが、同じく企業の資金調達法の一つである融資と比較すると、どのようなメリットがあるのでしょうか？

メリット1：売掛先企業の倒産リスクの回避

ファクタリングは取引先が倒産等しても受け取った対価を返金しなくても良いという特徴があります(表明保証義務違反等特殊な例を除きます)。

ファクタリングは売掛債権を売却する契約なので、ファクタリング会社に売掛債権を譲渡し譲渡対価の支払いを受けた後に、売掛先企業が売掛債権の弁済を行うことになります。
この、売掛債権が譲渡されてから、売掛先企業が売掛債権の弁済を行うまでの間に、売掛先企業が倒産した場合、ファクタリング利用者とファクタリング会社のどちらが売掛先企業の倒産リスクを負担するかという問題がありますが、特別な事情のない限り、ファクタリング会社が責任を負うことになります。
このため、ファクタリングを利用することで売掛債権の未回収リスクを回避するという使い方もできます。

契約書の内容をしっかり確認しておくことが大切でしょう。

メリット2：資金調達までに時間がかからない

融資の場合、決算資料など各種資料を確認しながら、将来的にきちんと返済していけるのかを審査する必要があり、2週間～1カ月程度は審査に時間がかかるのが一般的です。

ファクタリングの場合、売掛債権を売却するという性質上、売掛債権に問題がないか、売掛先企業が期日にしっかり支払いできるかどうかを主に審査すればよく、利用するファクタリング会社にもよりますが、時間をかけずに資金調達することも可能です。
すぐにでも資金調達したいという状況で利用しやすいといえるでしょう。

メリット3：自社の業績が悪くても資金調達できる

融資の場合、融資するからには回収する必要があるため、将来に渡って融資対象の企業が返済するだけの原資を確保できるかが問題となります。
このため、融資の審査では主に自社の業績が見られることになります。
仮に自社の業績が悪いようであれば、融資を受けることができない可能性が高くなってしまいます。

一方、ファクタリングは売掛債権の売却のため、自社の業績と関係なく、主に売掛先企業の業績や信用により、ファクタリングが実施されます。
このため、自社の業績が悪くても資金調達できる可能性があります。
これにより、自社の業績が悪く、融資が受けられないケースでファクタリングを利用するといったことが考えられます。

ファクタリングのメリット

本稿では、ファクタリングという資金調達方法のメリットを詳しく解説していきます。

借り入れをせずに資金調達できる

ファクタリングは、これまで解説している通り、事業者が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却することを指しますので、資金調達方法ではあるものの、借り入れには当たらないという点が、メリットと言えるでしょう。

銀行や金融機関からの借り入れに関しては、審査も非常に厳しく融資の実行までも非常に時間がかかります。
審査に際しては事業計画書の提出や対面での面談、担保や保証人の設定も必須ですので、時間も労力もかかります。

更に、銀行や金融機関の借り入れは審査自体も厳しく設定されていますので、せっかく時間と労力をかけたにも関わらず、結果的に借り入れが出来ないことも少なくありません。

一方ファクタリングであれば、借り入れではありませんので審査も緩く通過しやすいです。
審査に際しても事業計画書の提出や対面での面談、担保や保証人の設定などは必要なく、オンライン申し込みで即日審査通過が十分に可能です。

このように、ファクタリングで借り入れをせずに資金調達できることは、他の借り入れと比較して非常にメリットが大きいと言えます。

信用情報に影響がない

信用情報に影響がないことも、ファクタリングの大きなメリットです。
前述の通り、銀行や金融機関の融資やローンなどは借り入れによる資金調達ですので、当然ながら返済義務が生じます。
返済義務が生じるということは、当然ながら事業者の過去の借入額や返済状況など、信用情報を参照して審査が実施されます。

基本的に、信用情報は支払いや返済の延滞などの金融事故歴がなければ問題ないものの、当然全ての事業者がそのように対応できているわけではなく、市場の変化や予期せぬトラブルによって支払いや返済が滞ってしまったことがある事業者も多い筈です。

そんな、信用情報に自信がない事業者にとって、ファクタリングは信用情報に影響がないため、非常にメリットが大きいと言えます。

売掛先が倒産しても大丈夫

企業間取引における最悪のケースとして、売掛先の倒産が挙げられます。
売掛先が倒産してしまうと、当然ながらその売掛先との間の売掛債権は回収不能となり、即時に不良債権化してしまいます。

しかしながら、ファクタリングを利用して、先んじて売掛債権をファクタリング会社に売却しておくことで、万が一売掛先が倒産したとしても、償還請求権がないファクタリング取引の場合は、売掛金を請求されることはありません。
稀に償還請求権ありの契約書を締結させようとしてくるファクタリング会社も存在しますが、基本的には償還請求権無しでの取引がファクタリングでは一般的ですので、仮に売却後の売掛債権が不良債権化したとしても、売掛金の返還義務は生じません。
売掛先の倒産などによる売掛債権の不良債権化を回避できるのも、ファクタリングならではのメリットと言えるでしょう。

2社間ファクタリングと3社間ファクタリング

さて、ここまではファクタリングを利用するにあたってのメリットを解説いたしました。
そんなファクタリングですが、「売掛債権を売却する」過程において、売掛先が関わらない2社間ファクタリングと、売掛先が関わる3社間ファクタリングの2種類に分類されます。

これらの方法には、それぞれのメリットがありますので、本稿では2社間ファクタアリングと3社間ファクタリングの、それぞれのメリットに関して詳しく解説していきます。

2社間ファクタリングのメリット

2社間ファクタリングとは、売掛債権の売買を、利用者とファクタリング会社の2社間で実施するファクタリング方法を指します。

2社間ファクタリングのメリットとしては、審査から契約、売掛債権の売買までを最短即日で完了することが出来る点が挙げられます。

以前はファクタリングの申し込みや審査に関しても、銀行や金融機関の審査と同様、基本的に対面での申し込みや審査が一般的だったのですが、現在多くのファクタリング会社がWeb上で申し込みから審査、売掛債権の現金化までをワンストップで完了させる、オンラインファクタリングシステムを導入しています。

これによって、遠方の利用者も最短即日での資金調達が可能となり、2社間ファクタリングの審査スピードが飛躍的に向上しています。

３社間ファクタリングのメリット

3社間ファクタリングとは、前述の2社間ファクタリングと違って、売掛債権の売買を、利用者とファクタリング会社、更に売掛先の3社間で実施するファクタリング方法を指します。

3社間ファクタリングのメリットとしては、2社間ファクタリングに比べて手数料が抑えられる点と、審査に通過しやすい点が挙げられます。
更に、3社間ファクタリングは取引に売掛先が関与する代わりに、利用者が売掛金をファクタリング会社に振り込む必要がなく、売掛金の振込は売掛先が実施します。
利用者が直接売掛金をファクタリング会社に振り込む必要がない点も、3社間ファクタリングのメリットと言えるでしょう。

3社間ファクタリングは上記の通り、売掛先にも売掛債権の売買に最初から関与してもらう形で実施されますので、ファクタリング会社の目線から考えると、利用者の売掛金の未払いや、売掛債権の不良債権化による未回収リスクがかなり低いと判断されます。

そのため、3社間ファクタリングの方が2社間ファクタリングと比較して審査に通りやすく、審査通過後の手数料率も非常に低く設定されることが一般的です。

売掛先との関係値がしっかりとしている場合は、3社間ファクタリングを活用した方がコスト面のメリットが大きくなります。

ファクタリングのメリットとは？のまとめ

昨今、新しい資金調達方法として注目を集めているファクタリングですが、メリットが多く存在します。

ファクタリングは借り入れでは無いため、事業計画書の提出や対面での面談、担保や保証人の設定が必要ありませんし、審査に際して信用情報に関与しません。
更に、最短即日で資金調達が可能な点や、ファクタリングの利用自体が売掛先にバレる可能性がほとんどない点など、企業間取引におけるスピード感や、取引先との関係性にも影響しづらいというメリットがあります。

更に、ファクタリングには大きく分けて、2社間ファクタリングと3社間ファクタリング、2種類の契約方法があります。

2社間ファクタリングの場合は、最短即日での資金調達が可能なメリットがあり、3社間ファクタリングには審査通過率の高さや手数料の低さといった、それぞれ違ったメリットが存在します。

この記事を是非参考にして頂いて、急な資金調達ニーズが発生した事業者様は、積極的にファクタリングを実施していきましょう。