ファクタリングは、売掛金を早期に現金化できる資金調達法です。貸金契約ではないため負債も増えず、融資審査と比較すると審査にも通りやすいため、利用しやすい資金調達法として、近年利用企業も増加傾向にあります。
そこで気になるのが、ファクタリングできる売掛債権に関してです。ファクタリングに申し込める売掛債権は、何か月先までの支払いが対象なのか、気になる方が多いのではないでしょうか。
特に支払いまでの期間が長い業界の方は、何か月先までの売掛債権が対象かで、ファクタリングが利用できるかどうかが決まります。
この記事では何か月先までの債権が対象となるのかについて、詳しく解説していきたいと思います。
ファクタリングで利用できる売掛債権は何か月先まで可能か?
ファクタリングは売掛債権をファクタリング会社に譲渡することで、売掛金を早期現金化する資金調達法です。では、申し込む売掛債権は、何か月先の支払いまで有効なのか、この点を解説していきましょう。
2~3ヶ月先までの債権に対応している会社が多い
一般的な商取引の場合、売掛金の支払いは2ヶ月先までという契約が多いかと思います。毎月月末締めで、翌月払い、もしくは翌々月払いという契約です。そのため、ファクタリング会社が対応する売掛債権も、2ヶ月先までというケースが中心となります。
とはいえ、業界によっては、売掛金の支払いが3ヶ月先というケースもありますので、ファクタリング会社としては、3ヶ月先まで対応という会社もあります。
多くのファクタリング会社では、2~3ヶ月先までに支払いが行われる売掛債権を取引の対象としていると考えていいでしょう。
特化型のファクタリング会社であればより長い債権でも
上でも少し触れましたが、業界によっては、売掛金が支払われるまでの期間がさらに長くなるという業界もあります。例えば建設業界の場合、売掛金の支払いがさらに先になるというケースも珍しくありません。
そのため、ファクタリング会社の中には、こうした売掛金の入金までの期間が長い債権を中心に取り扱っている会社もあり、こうした会社であれば、売掛金の支払いまでの期間が長期間になる債権でもファクタリングは可能となります。
何か月先までの売掛債権を対象としているかは、ファクタリング会社のHPで提示されているケースが多いので事前に確認しておきましょう。HPやチラシを見ても書いていない場合は、事前に電話連絡等で何か月先の債権まで対応可能か確認しておくのがおすすめです。
ファクタリングに申し込むなら何か月先までの支払いが理想か?
では、実際にファクタリングを利用する場合、何か月先の支払いまでが理想となるのかについて解説していきましょう。
支払いサイトが短いほど契約条件は有利になる
ファクタリングの場合、申し込み前に契約条件が決まっているというケースはまずありません。持ち込まれた売掛債権に対し審査が行われ、審査の結果どのような条件であれば契約できるかが決定します。
このファクタリング審査で重視されるのが、売掛金が支払われるかどうかという点です。つまり、申し込み企業ではなく、売掛先企業の信用情報が重視されるということです。そのためファクタリングは審査に通過しやすく、申し込み企業が赤字経営でも債務超過でも利用できるといわれているわけです。
ファクタリング審査において重視されるのが、売掛金が支払われるかどうかであると考えると、重要なのは取引先の経営状況です。しかし、経営状況というのはちょっとした出来事で、一気に変わってしまう可能性があるものでもあります。
そのためファクタリング会社が重視するのが、何か月先に支払いがあるのかという点です。いわゆる支払いサイトといわれるものです。支払いサイトとは、売掛金が入金されるまでの期間を指し、ファクタリング審査では支払いサイトが短いほど契約条件は有利になります。
売掛金の支払いまでの期間が短いということは、それだけ取引先企業の経営状況が変化するリスクが小さいということになります。逆に期間が長いほど、取引先企業の経営状況が悪化するリスクも高くなり、その分売掛金の未回収リスクも高くなることを意味します。
ファクタリング会社は、売掛金の未回収リスクによって契約条件を決めますので、より入金までの期間が短い債権の方が、契約条件は有利になります。
ファクタリング会社によって、何か月先の債権まで対応と決めていますが、ファクタリングを利用する場合は、できるだけ支払いまでの期間が短い債権で申し込むのがおすすめということがいえます。
ファクタリング継続契約は何か月先まで可能か?
ファクタリング契約には、1つの売掛債権で契約する単発の契約のほかに、継続して利用する継続契約という方法があります。この継続契約の場合、何か月先まで契約できるのかという点を解説していきましょう。
ファクタリング会社次第で決まる
ファクタリングの継続契約が何か月先まで可能かという点は、対応するファクタリング会社次第となります。継続契約を行う場合、継続的に取引が発生する売掛債権が取引対象です。まずは、継続的に契約が行われていることを証明する書類等を用意して申し込みましょう。
こうした書類を確認したうえで、ファクタリング会社が何か月先まで継続契約をできるのかを判断するのが一般的です。かつては、継続契約が認められる売掛債権であれば、何か月先というだけではなく年単位で契約できるケースも多かったと言われています。
最近では継続利用が難しくなっている傾向も
ファクタリングは日本国内ではまだ新しい資金調達法です。本格的に利用されるようになったのは2010年代以降とも言われており、さらに利用が広まったのはつい数年前からです。
そのため、これまではファクタリングに関して、ファクタリング会社としても手探りでサービスを提供していた部分があります。
しかし、ここ数年で利用する企業が増加したこともあり、ファクタリング契約における基本的な考え方というものが構築され、それに伴いこれまで可能であったことができなくなりつつあるという傾向にあります。
例えば、売掛債権の全額をファクタリングするというのがそのひとつです。かつてはファクタリングと言えば、持ち込まれた売掛債権の全額が対象となるのが一般的でしたが、最近では多くの契約で「掛け目」が採用されるようになり、売掛金の一部のみをファクタリング対象とする契約が増えています。
こうした流れの中で、ファクタリングの継続利用も難しくなっているという傾向にあります。以前は継続契約をすることで徐々に契約条件が緩くなり、より好条件での契約ができるようになるといわれていましたが、最近では継続利用自体が難しくなっています。
年単位の継続利用はかなりハードルが高くなっており、継続利用でも何か月先までというケースが増えています。また、突然継続利用を断られるというケースも増えていますので、この点を理解した上で、継続利用をするかどうか、するのであれば何か月先までを目処にするかなどを事前に検討しておくのがおすすめです。
ファクタリング・何か月先までのまとめ
一般的に何か月先までの売掛債権がファクタリングの対象かと聞かれれば、2~3ヶ月先の支払いまでが対象であるというのが答えになるでしょう。ただし、ファクタリング会社も増えており、中には長期的な売掛債権に特化した会社もできています。こうしたファクタリング会社であれば、3ヶ月以上先に支払いとなる売掛債権でも申し込みは可能でしょう。
とはいえ、より好条件でファクタリングを利用するのであれば、売掛金の支払いまでの期間は短い方がおすすめであるのは間違いありません。何か月先まで対応できるのかを考えるよりも、できるだけ支払いまでの期間が短い債権で申し込むことを考えた方がおすすめと言えます。