売掛債権を持つ企業は、すべて債権者となります。債権者にとって、手にしている債権がしっかり現金化されるかどうかという点は、大きな問題と言えます。万が一現金化されなければ、債権者自身の経営も厳しくなるため、手にしている債権をしっかりと現金化していくのは重要なことです。

そんな債権者におすすめなのがファクタリングという資金調達法です。なぜ債権者にファクタリングがおすすめなのかというメリットを中心に解説していきましょう。

債権者がファクタリングを利用するメリット

多くの企業は売掛債権を持っているかと思います。売掛債権を持っているということは、債権者であるということです。債権者という言葉を聞くと、お金を貸している人というイメージがあるかもしれませんが、正確には債権を持つ方が債権者です。売掛債権を持っていれば立派な債権者と言えます。

ではそんな債権者の方が、ファクタリングを利用した場合のメリットを考えてみましょう。

売掛金を早期現金化できる

ファクタリングは売掛債権をファクタリング会社に譲渡して、売掛金を入金期日前に現金化するという方法です。入金まで一定期間があく売掛金を、早期に現金化することで、自社の資金繰りを改善したり、急な出費に対応するなどが可能になります。

より余裕をもった企業経営ができるようになるのが大きなメリットといえるでしょう。

負債を増やさず資金調達ができる

企業が資金調達をする方法は大きく分けて2種類あります。外部から資金を調達するか、内部の資産を資金に替えるかです。外部からの資金調達法としては、金融機関等からの融資や、株式・社債の発行などがあります。

株式の発行を除けば、社債も融資もお金を借りるという行為になります。つまり、債権者が負債を増やすことで資金を調達することになります。資金が手にできることで、企業経営自体は楽になりますが、後々返済義務が発生しますし、自社の経営規模以上の債務を負えば、債務超過の状態に陥ってしまいます。

ファクタリングは、売掛債権という内部資産を現金化する方法であり、負債が増えることはありません。負債を増やさずに資金を調達できますので、後に事業拡大などを目的とした大口の資金融資を申し込む場合にも、より有利な状況で申し込めることになります。

負債を増やさず資金調達できるメリットは大きいといえるでしょう。

比較的審査に通りやすい

ファクタリングは審査に通りやすいというのもメリットのひとつといえます。例えば急に一定の現金が必要になったケースなど、すぐに申し込んで、すぐに現金が手に入る方法は限られています。ファクタリングはその限られた方法の一つです。

ファクタリングの審査が比較的通りやすいのは、ファクタリング会社が、どのような条件であれば契約できるのかを審査するからです。ファクタリングの場合、事前に契約条件が決まっているケースはまずありません。多くの場合は審査の結果契約条件が決まります。これは、ファクタリング会社が、積極的に契約しようと考えているからです。

同じ資金調達法である金融機関の融資審査は、事前に融資条件が決まっています。申し込んだ企業が、その条件をクリアできるかどうかを厳しくチェックするため、時間がかかりますし通過も難しくなります。

融資審査と比較すると、圧倒的に審査に通りやすいという点も債権者の方が気軽に利用できるという意味でもメリットといえるでしょう。

売掛金の未回収リスクを回避できる

債権者にとって最大の懸念事項は、売掛金がきちんと期日に入金されるかどうかという点です。ファクタリングを利用することでこの懸念は一気に解消されます。

ファクタリング契約では、売掛債権の所有権が移行します。つまり債権者が申し込み企業からファクタリング会社に替わるということです。ファクタリング契約を結んだ時点で、債権者はファクタリング会社となりますので、売掛金の未回収リスクもファクタリング会社に移ることになります。

元々債権者であった申し込み企業は、売掛金の未入金リスクから解放され、ファクタリング会社から売掛金相当額を受け取ることができるわけです。

この売掛金の未回収リスクをしっかりファクタリング会社に移すためには、ファクタリング契約がノンリコース契約である必要があります。ノンリコース契約とは、償還請求権のない契約です。償還請求権のあるリコース契約を結んでしまうと、売掛先が売掛金を支払わなかった場合、申し込み企業が一度譲渡した売掛債権を買い戻す必要があります。つまり、売掛金の未回収リスクが申し込み企業に留まることを意味します。

過去の判例では、償還請求権付のリコース契約は、ファクタリング契約(債権譲渡契約)ではなく、売掛債権を担保とした貸金契約となると判断されているため、近年リコース契約を結ぶファクタリング会社はほぼありません。あるとすれば、それは違法行為を働く悪質業者となりますので注意しましょう。

債権者がファクタリングを利用するデメリット

債権者がファクタリングを利用するメリットは大きいといえます。とはいえ、デメリットが全くないというわけではありません。そんなデメリットをいくつか紹介しましょう。

手数料を支払う必要がある

ファクタリング契約では手数料の支払いが必須です。手数料の部分が、ファクタリング会社の儲けの部分に当たりますので、手数料なしでの契約はあり得ません。債権者にとって手数料は、損失となります。

売掛金をそのままの金額で受け取れないというのは、デメリットといえるでしょう。

売掛金入金日に入金がなくなる

ファクタリングは売掛金を早期現金化する方法です。これは言い方を替えれば売掛金の前払いともいえます。ファクタリングを利用したことで、売掛金入金日に入るはずの現金は入らないということになります。

債権者がファクタリングを利用する場合は、売掛金入金日前後の資金繰りに関してしっかりと計画を立て、そのタイミングで資金ショートが発生しないように準備してから申し込むことが重要になります。

よりメリットを大きくするためには？

債権者がファクタリングを利用し、よりメリットを大きくする方法は、メリットの部分をより大きくするか、デメリットをできるだけ小さくするしかありません。この2つを実現する方法に関して解説していきましょう。

オンラインファクタリングを利用する

ファクタリングは審査に通りやすく、現金化スピードが早いというのが大きなメリットです。しかし、ファクタリングを申し込むために、時間をかけてファクタリング会社を訪れ、申し込みをするのでは、あまり大きなメリットを感じられません。

東京や大阪といった都市部の企業であれば、さほど時間をかけずに申し込みが可能ですが、地方部の場合そうもいきません。ファクタリング会社は都市部に集中しており、地方部の企業がファクタリング会社の窓口を訪れるのは簡単ではないためです。

ファクタリングという資金調達法のスピード感をより早めるのであれば、自社内から申し込めるオンラインファクタリングがおすすめです。近年は、オンライン上で完結するオンラインファクタリングに対応しているファクタリング会社も増えており、地方部の企業でもスピード感を持ってファクタリングが利用できるようになっています。

債権者の方が、現金化のスピードを意識するのであれば、オンラインファクタリングを上手に活用しましょう。

相見積もりを取る

ファクタリングには手数料を支払わなければいけないというデメリットがあります。手数料の支払いは必須ですが、その手数料を抑える方法はあります。

ファクタリングの手数料に関しては、法律による制限等があるわけではなく、ファクタリング会社ごとに独自に設定しているという特徴があります。そのため同じ売掛債権で申し込んでも、ファクタリング会社によって手数料に差が出るケースがあるわけです。

そこでおすすめなのが、複数のファクタリング会社に申し込みを行い、契約条件を提示してもらう方法です。こうすることで、ファクタリング会社同士の契約条件を比較検討でき、より手数料の安いファクタリング会社と契約できるようになります。

手数料の支払いというデメリットを、最低限に抑える方法となりますので、これからファクタリングの利用を考えている債権者の方は、是非覚えておきましょう。

債権者・ファクタリング・メリットのまとめ

債権者にとって、ファクタリングを利用するメリットは少なくありません。売掛金を早期に手にすることができ、しかも負債が増えないため利用しやすいというのは、大きなメリットと言えます。また、債権者にとっての最大の懸念事項でもある、売掛金の未回収リスクも回避できますので、この点でもおすすめといえます。

とはいえ、デメリットがないわけではありませんので、デメリットの部分をしっかりと理解し、よりデメリットが小さい形で利用するのがおすすめです。