ファクタリング契約の前には、必ず審査が行われます。審査なしで契約できるファクタリング会社はありません。あるとすれば悪徳業者となりますので注意してください。
そのファクタリング審査では、どのようなポイントが重要視されるのか、なにに注目して売掛債権を選ぶべき以下という点に関して解説していきましょう。
ファクタリング審査で重要視されるポイント
ファクタリング契約を結ぶ前には、必ず審査が行われます。ファクタリング審査は、金融機関等による融資審査と比較すると通りやすい審査と言われています。では、ファクタリングの審査において、重要視されるポイントを5つ紹介しましょう。
売掛債権が本当に存在しているか?
ファクタリングは売掛債権を譲渡する債権譲渡契約です。債権譲渡契約を結ぶ以上、何よりその債権が実在していることが重要なポイントとなります。売掛債権とは、目に見えない権利です。その権利を証明するために、必要書類がありますが、例えば請求書や発注書は、偽造しようと思えばできてしまう書類でもあります。
もちろん書類を偽造すれば犯罪行為となりますので、決してしてはいけない行為ですが、できるかできないかで言えばできるということになってしまいます。
そのため、ファクタリング会社は、過去の取引実績などを参考にし、まずは売掛債権が本当に存在するかどうかを審査します。
同時に審査されるのが、持ち込んだ債権がすでに他者に譲渡済みではないかどうかという点です。繰り返しになりますが、売掛債権は目に見えないものだけに、譲渡した証拠も目に見えません。ファクタリング会社は、法務局の登記情報を確認する等の手段で、売掛債権が実在し、かつまだ誰にも譲渡されていないかどうかを重要視します。
売掛先の企業規模と信用情報
売掛債権が実在することが確認出来たら、次に重要視するポイントが、「売掛金が入金期日までに入金されるかどうか」という点です。債権譲渡契約で、ファクタリング会社が新たに債権者となりますので、なにより重要なのは、売掛金が現金化されるかどうかです。
そのため、ファクタリング会社は、申し込み企業以上に売掛先企業の信用情報や企業規模を重要視して審査を行います。
極端な話をしてしまえば、売掛先が信頼できる企業であれば、申し込み企業が債務超過の状態でも、赤字経営の状況でも審査に通過するのがファクタリングです。こうした特徴から、融資審査よりも審査に通りやすいと言われています。
売掛金が入金されるまでの期間
次に注目するのが売掛金が入金されるまでの期間です。企業というものはちょっとしたきっかけで経営が悪化し、経営状態が変化してしまうものです。
審査から支払いまでの期間が長くなると、その期間内に急に売掛先企業の経営が悪化し、売掛金が支払えなくなる可能性もあります。こうしたリスクを回避するためにも、売掛金の入金日までの期間は重要です。
一般的な商取引の場合、売掛債権が発生してから売掛金が入金されるまでの期間、いわゆる支払いサイトは、30日間や60日間が多いかと思います。しかし、業界によっては90日間以上というケースもあります。ファクタリング審査では、より支払いサイトが短いほど、通りやすいという特徴があります。
申し込み企業の企業規模と信用情報
売掛先や売掛債権に関する審査に続いて行われるのが、申し込み企業に関する審査です。優先順位としてはかなり低いことが分かります。
ファクタリング会社としては、申し込み企業の経営状況とは関係なく、売掛金が現金化されるのであれば、まず契約可能と考えますので、申し込み企業に関する審査はさほど重要視していないポイントといえるでしょう。
ただし、2社間ファクタリングの場合は、申し込み企業の経営状況もそれなりに審査対象となります。2社間ファクタリングの契約の流れを見ると、最終的に売掛金は申し込み企業の口座に振り込まれます。債権譲渡契約で売掛債権の所有権が移行しても、売掛債権の中の契約内容に変化がないからです。
申し込み企業は、売掛先から売掛金が入金されたら、速やかに売掛金をファクタリング会社に送金する必要がありますが、この送金がきちんとされるかどうかが、審査で重要視するポイントの一つとなります。
申し込み企業とファクタリング会社の信頼関係
最後に審査に影響するポイントとして、それまでの利用実績という部分にも触れておきましょう。債権譲渡契約は、当事者同士が納得すれば、比較的自由に契約条件が設定できる自由契約です。そのため、両社の信頼関係が重要なポイントとなります。
それまでに同じファクタリング会社を継続的に利用することで、申し込み企業とファクタリング会社の間で一定の信頼関係が築けていれば、審査にも通りやすくなります。
とはいえ、近年ではこの継続利用を突然断られるというケースも発生していますので、信頼関係という項目に関しては、参考程度と考えた方がいいかもしれません。
ファクタリングの審査とは?
ここで、ファクタリング契約前に、なぜ審査が行われるのかという点を、改めて確認しておきましょう。ファクタリング契約の場合、審査における考え方が融資審査とは大きく違い、ここが審査の厳しさに繋がるポイントとなります。
原則としては契約するために行われる
ファクタリングの審査というのは、原則としてどのような条件であれば契約できるかを目的に行われます。
融資審査の場合、すでに提供する融資商品の条件が決定しており、その条件を申し込み企業がクリアしているかどうかを審査します。言い方を変えれば、審査に通さないための審査を行うわけです。それでもクリアした企業には融資を行うというスタンスで行われるのが融資審査です。
一方ファクタリングの審査は、契約するために行われます。ここが融資審査とファクタリング審査の決定的な違いであり、ファクタリング審査が比較的通りやすいと言われる理由でもあります。
審査の結果契約条件が決定する
上で融資審査は先に契約条件が決まっており、その条件をクリアできるかどうかの審査と書きました。ファクタリングの場合、債権譲渡契約であり、条件が比較的自由に設定できる契約を結びます。その契約条件を決めるのが、ファクタリング審査の大きな目的です。そのため、審査を受けないと、手数料をはじめとした契約条件は決定しません。
ファクタリング会社のHPなどを見ると、参考となる手数料相場などが示されていますが、申し込む売掛債権によっては、その条件とは違った契約条件が提示されますので、その点は理解した上で申し込みましょう。
ファクタリング審査に通りやすい売掛債権
ファクタリング審査の特徴や、重要視されるポイントを理解した上で、ファクタリングの審査に通過しやすい債権に関してまとめていきます。
売掛先の信用情報が高い
まずは何より重要視したいのが売掛先企業の情報です。上でも書いた通り、ファクタリング審査においては、申し込み企業よりも売掛先企業の情報が重要視されます。そのため売掛先企業は、企業規模が大きいほど、また経営が安定しているほど審査に通りやすくなります。
もっとも審査に通りやすいのは、公的機関や自治体が運営管理する団体が売掛先の債権です。こうした機関の場合、倒産をしたり、売掛金が入金されなかったり、遅れたりすることはまずありません。ファクタリング会社としても安心して契約できるため、手数料等の契約条件も有利な条件で契約できるでしょう。
支払いサイトが短い
上でも書いた通り、ファクタリング審査では、売掛金が入金されるまでの期間も重要なポイントとなります。同じような金額の売掛債権であれば、より支払いサイトが短い債権の方が、ファクタリング審査には通過しやすくなります。
ファクタリング・審査・重要・ポイントのまとめ
ファクタリングの審査で重要視されるのは、売掛債権が存在するかどうか、そして売掛金が入金されるかというポイントです。つまり、申し込み企業以上に、売掛先企業の情報が重要になりますので、このポイントを意識して申し込むようにしましょう。
とはいえ、申し込み企業の情報が全く無視されるわけではありません。自社の規模に合わせた金額で申し込み、契約した以上はその内容を遵守するようにしてください。
契約を誠実にこなし続けることで、将来的に契約条件が有利になる可能性があります。