ファクタリングFactoring

2024.09.06

ファクタリングは全額買取可能?手数料や掛け目に関して丁寧に解説

「ファクタリングに申し込んだんだけど想像以上に低い金額しか受け取れなかった」
「全額買取可能なファクタリング会社を探しているけど見つからない」

ファクタリングは売掛債権を利用した便利な資金調達法です。しかし、その仕組みを知らないと、意外と手にできる現金が少なく、驚かれる事もあるかと思います。

ファクタリングは売掛債権を現金化しますが、売掛債権の全額買取が可能というわけではありません。このあたりについて解説していきます。

ファクタリングで全額買取は可能か?

ファクタリングは、売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、売掛金を早期現金化する資金調達法です。現金化の際、ファクタリング会社に手数料を支払う必要があるため、厳密に言えば売掛金から手数料等を差し引いた金額が現金化されます。

このような説明を読むと、売掛債権の額面金額から手数料を差し引いた分が現金化されるというイメージがあるかと思いますが、現実として売掛金を全額買取してくれるという契約はほぼありません。

ファクタリングの契約には、「掛け目」という考え方があります。実際には、売掛金にこの掛け目を掛けた金額がファクタリング対象金額となり、全額買取という形にはなりません。

ファクタリングにおける掛け目とは?

ファクタリングにおける掛け目とはどのような目的で設定され、またどの程度の金額になるのかを解説していきましょう。

保証金代わりに設定される

ファクタリングにおける掛け目とは、いわゆる保証金代わりにファクタリング会社が預かる金額です。万が一売掛金が回収できなかった場合のリスクに備え、ファクタリング会社が設定しています。

仮に額面金額500万円の売掛債権に対し、90%の掛け目が設定されたとします。この場合、ファクタリング対象金額は450万円です。手数料が10%であれば、450万円から10%を差し引いた、405万円が申し込み企業に入金されます。

ファクタリング会社目線で考えると、500万円の売掛債権を、405万円で購入する形になります。万が一この売掛金が入金されなかった場合、ファクタリング会社は405万円の損失を被ります。もちろんその後売掛金の回収は行いますが、売掛先企業が倒産をしている場合などは、全額回収は難しくなります。

掛け目なしで契約した場合、500万円の売掛債権から、手数料10%を差し引いた450万円で売掛債権を購入することになりますので、売掛金が回収できなかった場合のマイナスは450万円です。

掛け目を設定することで、最悪の事態になった場合、ファクタリング会社の損失をある程度抑えることができるということになります。

掛け目の相場は?

掛け目はファクタリング会社がそれぞれ独自に設定する数値であり、法的に何%と定められているものではありません。それでもファクタリングにおける掛け目には相場があります。

 2社間ファクタリング 70~90%
 3社間ファクタリング 80~95%
 診療報酬ファクタリング 90~95%

掛け目は売掛金未回収のリスクの大きさによって決定します。そのため、2社間ファクタリングよりも、3社間ファクタリングの方が申し込み企業にとって有利な条件で契約できるというのが一般的です。

診療報酬ファクタリングとは、医療機関や処方箋を取り扱う薬局などが利用できるファクタリングです。健康保険団体から後日受け取る、健康保険負担分をファクタリングする契約で、売掛先は健康保険団体となり、3社間ファクタリングの形になります。

健康保険団体は、この国の医療体制の根幹をなす機関ですから、倒産の恐れも支払い遅れの恐れもほぼありません。売掛金の未回収リスクが非常に低いため、掛け目も非常に高い設定となります。

掛け目が設定されない契約もある

ファクタリング契約の中には一部掛け目が設定されない、つまり全額買取可能な契約があります。それが国際ファクタリングです。

国際ファクタリングとは、海外の企業との取引で利用できるファクタリングで、申し込み企業と取引先、さらに申し込み企業が契約するファクタリング会社と、取引先企業の国にあるファクタリング会社の4社間で契約する特殊なファクタリング方法です。

国際ファクタリングの場合、売掛債権の全額買取が可能です。保証金の部分は手数料に含められますので、手数料は高くなる傾向にあります。

特例的に国際ファクタリングは全額買取可能ですが、国内の取引でファクタリングを利用する場合は、基本的には全額買取可能ではないということになります。

全額買取対応のファクタリングは?

ファクタリング会社に関して、ネット等で調べていると、全額買取可能な会社を見かけることがあるかもしれません。それはどのような理由かという点を解説していきましょう。

個人事業主向けの少額ファクタリング

売掛債権の全額買取可能としているファクタリング会社で多いのは、個人事業主やフリーランス向けに、少額の売掛債権のファクタリングを提供している会社です。個人事業主やフリーランスの場合、数万円~10万円程度の売掛債権が多く、こうした少額債権の場合、掛け目を設定せずに全額買取可能としているケースが多くなります。

ただし、国際ファクタリング同様、その分手数料の設定が高くなるケースが多く、ファクタリング会社は、保証金に相当する金額を、手数料という形で確保している契約が目立ちます。

悪徳業者が提示するケースも

法人相手の、一定程度以上の売掛債権に関しても全額買取可能としているファクタリング会社は、悪徳業者の可能性がありますので注意が必要です。

ファクタリング会社は設立において、免許や資格の取得が不要です。さらに、都道府県などに対する許認可申請もありませんので、比較的開業しやすい業種と言われています。そのため、いわゆる悪徳業者が存在しやすい業種でもあります。

悪徳業者は基本的に顧客が喜ぶような魅力的な文言で顧客を集めます。「審査なし」や「必要書類なし」、「審査通過率100%」などの文言です。こうした文言のひとつとして、「全額買取可能」の文言があります。優良なファクタリング会社が提示しない文言ですので、非常に目立ちますし、顧客を惹きつける文言でもあります。

悪徳業者はファクタリングの相談をするように見せて融資を進めてきたり、ファクタリング契約に見せかけた高額な金利の融資契約を結ぶなど、違法な契約を結ぼうとします。もちろんこうした契約にサインをしてしまうと、違法な取り立てや、嫌がらせなどを受ける可能性があります。

さらに、悪徳業者に自社の情報を提供することで、悪徳業者間でこの情報が売買され、後々さまざまな業者から勧誘される、嫌がらせを受ける等の可能性があります。

ファクタリングにおいて、全額買取可能というケースは、一部特殊なケースを除いてありませんので、悪徳業者に引っかからないように注意しましょう。

ファクタリングを申し込む際のポイント

ファクタリングは全額買取可能ではないという点を踏まえた上で、ファクタリングに申し込む際のポイントを解説していきましょう。

必要な金額を申告する

担当者がいるファクタリング申し込みの場合、まずは必要な金額を申告するようにしましょう。ファクタリングを利用するタイミングというのは、多くの場合急遽現金が必要になったタイミングかと思います。必要な金額がどの程度なのかをしっかりと担当者に伝えることがポイントです。

必要な金額を伝えることで、おおよそ必要とされる売掛債権の金額が分かります。その金額に合わせた売掛債権で申し込むことで、無駄な手数料を支払うことなく、最低限必要な金額を確保することができるでしょう。

ある程度現金化される金額を想定しておく

近年は担当者不在のオンラインファクタリングも増えています。こうしたオンラインファクタリングを利用する場合を含め、ファクタリング利用前にある程度現金化できる金額を想定しておくことも重要です。

ファクタリングにおいて、早期現金化できる金額に影響を与える大きな要素は以下の3つです。

 掛け目
 手数料
 債権譲渡登記費用

この3つの金額の相場を知っておけば、手元にある売掛債権でどの程度の金額が手にできるか、ある程度想定することができます。

掛け目の相場は下記の通りです。
手数料相場は2社間ファクタリングで10~30%、3社間ファクタリングで1~9%程度と言われています。債権譲渡登記費用とは、司法書士に支払う報酬や、債権譲渡登記に必要な実費の合計です。相場は5~8万円程度と言われています。この3つの数値や金額を考慮して、早期現金化できる金額を想定してみましょう。

2社間ファクタリング、掛け目85%、手数料15%、債権譲渡登記費用7万円、売掛債権の額面金額が500万円とします。

まず掛け目の分が差し引かれますので、ファクタリング対象金額は425万円となります。ここから手数料が差し引かれますので、その時点で361万2500円が現金化の対象です。さらにそこから債権譲渡登記費用が差し引かれますので、実際に早期現金化できる金額は354万2500円という計算になります。

事前にある程度想定ができていれば、必要な金額に合わせた売掛債権での申し込みが可能です。

ファクタリング・全額買取可能のまとめ

ファクタリング契約では、基本的に全額買取はできません。全額買取可能なケースもありますが、これは極めて限定的であり、また手数料が高くなる契約となります。

ファクタリングを上手に利用するポイントは、何よりファクタリングの仕組みを理解して利用することです。掛け目や手数料の相場や計算方法などをある程度理解し、自社に必要な現金を確保できるように申し込みましょう。

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