「請求書先払いって可能なの?」
「ファクタリングは請求書先払いと同じって聞いたけど本当?」
売掛債権をファクタリング会社に譲渡して、売掛金を早期現金化するファクタリングは、請求書先払いと同じようなシステムの資金調達法と言えます。サービスや商品納品前に現金を手にできることから、企業としての資金繰りもかなり楽になるでしょう。
ファクタリングという資金調達法の仕組みや、請求書先払いとの違いなどを解説していきましょう。
請求書先払いとは?
請求書先払いとは、本来納品後に受け取る報酬を、契約時点で事前に受け取る契約を指します。事前に受け取るのが報酬全額である場合もありますし、報酬の一部であるというケースもあるでしょう。
一般的な掛け取引では、商品やサービス納品後にその報酬の全額を受け取るところ、請求書発行の時点で事前に一定の報酬を受け取るのが請求書先払いというシステムです。
現実にこの請求書先払いのシステムが常態化している業界もあります。分かりやすいところですと建設業界がそれにあたります。
建設業界では請負契約を結ぶのが一般的です。請負契約とは、商品やサービスの完成後に報酬を受け取る契約です。しかし、建設業の場合、商品(建造物等)が完成するまでに長い時間を要します。また、その商品(建造物)を納品するためには、一定額以上の資材購入費が必要です。
一般的な掛け取引同様に、すべての報酬が後払いとなると、建設業者は業務を受けにくくなってしまいます。そこで、資材購入費用などの必要経費を、請求書前払いのシステムで受け取るという契約が多くなります。
請求書先払いのメリット
請求書先払いのシステムのメリットは、商品やサービスを納入する側に大きいと言えます。事前に一定の報酬を受け取ることで、商品やサービスを提供するために必要な資金を捻出する必要がなく、予定通りに納品できるようになるというのがメリットです。
また、商品やサービスを納品するまでの間に、取引先の経営状態が悪化した場合も、すべての報酬が未回収になるという事態を避けることも可能です。
報酬を支払う側のメリットとしては、事前に一定の報酬を支払うことで、望んでいたクオリティの商品やサービスを納品してもらえる可能性が高くなるというメリットが考えられます。
請求書先払いのデメリット
請求書先払いをするデメリットは、何より取引先と交渉をしなければいけない点でしょう。商品やサービスを納品する側としては、請求書先払いの方がありがたい契約です。しかし、納品を受ける取引先としては、あまりありがたくない契約となります。
商品やサービスを提供する側が、請求書先払いを希望する場合は、取引先と交渉し、納得してもらう必要があります。しかし、下手な交渉をしてしまうと、請求書先払いが叶わないだけではなく、今後の取引がなくなる可能性もあり、交渉は簡単ではありません。
現実問題として、請求書先払いを求めるのは難しいといえるでしょう。
ファクタリングを利用すればデメリットなく請求書先払いが可能
本来であれば請求書先払いを希望したいものの、それが難しいという場合に利用できるのがファクタリングという資金調達法です。ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社に譲渡することで、売掛金を早期現金化するという資金調達法です。貸金契約ではないため返済の義務はなく、また自社の信用情報にも傷がつきません。
請求書先払いを求める多くの方におすすめの方法がファクタリングといえます。
売掛債権を譲渡して早期現金化を図る
ファクタリングを利用するには、売掛債権の存在を証明する必要があります。そのひとつの書類となるのが請求書です。またファクタリングは売掛債権全額ではなくとも利用可能という特徴があります。
仮に500万円の請求書があり、その納品のためにも100万円の資金が必要である場合、500万円の請求書から、150万円分のみをファクタリングするという方法があります。ファクタリングを使用すれば、疑似的に請求書先払いが可能です。また利用に関して審査が必要ですが、この審査も通過しやすい審査ですので、まずは資金が必要という場合には非常に有効な資金調達法と言えるでしょう。
個人事業主やフリーランスでも利用可能
ファクタリングを利用できるのは企業法人に限りません。特にクライアントに対して請求書先払いを提案しにくい個人事業主やフリーランスの方でも、ファクタリングの利用は可能です。
個人事業主やフリーランスの方が利用する場合は、少額債権に強いファクタリング会社を選びましょう。ファクタリング会社の多くは、法人を対象としているため、個人事業主等の申し込みを受け付けていません。
個人事業主等を顧客対象としたファクタリング会社もありますので、こうした会社を利用することで、請求書先払いが可能となります。
2社間ファクタリングであれば取引先に知られずに利用できる
ファクタリングの契約方法はいくつかありますが、2社間ファクタリングという契約方法であれば、取引先に知られることなく請求書先払いが可能となります。
2社間ファクタリングとは、ファクタリング会社と申し込み企業の2社間で契約するファクタリング方法です。2社間で完結しますので、原則として取引先に知られることはありません。
取引先に知られることなくファクタリングを利用したい場合は、必ず契約書に債権譲渡通知がないと明記されている会社と契約しましょう。債権譲渡通知とは、取引先に債権が譲渡された旨を通知する行為であり、これが契約書に含まれていると、取引先に知られることになります。
ファクタリング自体は合法な資金調達法ですので、知られたところで違法性という点では問題はありませんが、取引先に「ファクタリングを利用するほど資金繰りに困っている企業である」という印象を持たれかねません。こうした印象を持たれてしまうと、後の取引に影響が出る可能性がありますので、この点は注意してチェックしましょう。
ファクタリングで請求書先払いを実現する場合の注意点
ファクタリングを利用して、疑似的に請求書先払いを実現することは可能です。ただし、ファクタリングを申し込む場合には、注意すべき点がありますので、その点を解説していきましょう。
手数料の支払いが必要
ファクタリングを利用する以上、手数料の支払いが必要になります。ファクタリングの手数料は、ファクタリング会社の収益となる部分ですので、手数料なしのファクタリングは存在しません。
ファクタリングの手数料相場は、2社間ファクタリングで10~30%、3社間ファクタリングで1~9%程度と言われています。利用する売掛債権の額面金額が小さいほど手数料は高くなる傾向にありますので注意が必要です。
取引先と交渉して、請求書先払いが可能となった場合、この手数料を支払う必要はありません。この点が請求書先払いとファクタリングの大きな違いとなります。
ファクタリング契約前には必ず審査が行われ、その審査の結果で契約条件が決まります。その手数料をチェックし、手数料が高すぎないかどうかを確認したうえで契約しましょう。
審査に通過しないこともある
上記の通り、ファクタリングを利用する場合、必ず審査が行われます。ファクタリングは審査に通過しやすい資金調達法と言われていますが、それは、融資審査と比較すれば通りやすいという意味です。
ファクタリング審査の通過率は、平均で70%程度と言われていますので、取引先や取引内容によっては、審査に通過しないというケースも考えられます。
ただし、ファクタリング審査の特徴として、審査基準がファクタリング会社ごとの独自設定となっている点があります。つまり、1つのファクタリング会社に申し込んで審査に通らなかった場合でも、他のファクタリング会社に申し込んだら審査に通過するというケースも十分に考えられます。
請求書先払いを実現するためにファクタリングを利用する場合は、複数のファクタリング会社をピックアップし、申し込むようにしましょう。
<請求書先払いのまとめ
商品やサービスを納品する企業にとって、請求書先払いという契約は非常にありがたい契約です。しかし、多くの場合、請求書先払いは採用されるのが難しく、契約してもらうためには取引先への交渉が必要となります。
取引先との交渉なしで請求書先払いを実現できるのがファクタリングという方法です。手数料等の支払いは必要になりますが、審査には通りやすく個人事業主の方でも申し込めますので、請求書先払いを希望する方は、是非ファクタリングの利用を検討してみましょう。