「複数のファクタリング会社を掛け持ちするのってまずい?」
「ファクタリングの継続利用を突然断られて困っている」
ファクタリングは資金調達法の1つです。資金調達法と聞くと、原則特定の1社と関係性を持つことが推奨されるイメージがあるかもしれません。しかしこれは、融資による資金調達に限ります。
ファクタリング契約は複数のファクタリング会社掛け持ちすることが可能です。掛け持ちが可能になる理由や、掛け持ちが推奨される理由などに関して詳しく解説していきましょう。
ファクタリングの掛け持ちは可能
まず大前提として、複数社を相手にしたファクタリングの利用は可能です。可能なだけではなく、掛け持ちしたことによるデメリットもほとんどありません。
同じ資金調達法である資金融資の場合、複数の金融機関を利用するのはデメリットが大きいといわれています。1つの金融機関で借り入れをしながら、ほかの金融機関に借り入れを申し込むと、「返済のための借り入れ」と考えられ、審査に通りにくくなってしまうからです。
ファクタリングは売掛債権の譲渡契約です。借り入れではなく、手持ちの財産を売却するという資金調達法ですので、売却先が増えたところで何も問題はありませんし、デメリットも大きくありません。
近年ではむしろ推奨されている
特に近年では、ファクてリングの掛け持ちが推奨されている傾向があります。ファクタリングを利用する企業が増え、ファクタリング会社自体も増えている状況ですので、掛け持ちの選択肢が増えているという事実があります。
また最近では、ファクタリングの継続利用が難しくなっているという事情もあります。1社のみとの付き合いで、掛け持ちしていない場合、突然継続利用を断られてしまうと、資金繰りが窮地に陥る可能性もあります。
掛け持ちが可能である以上、しっかり複数社と関係を築いていくことが重要といえるでしょう。
ファクタリングの掛け持ちが推奨される理由
ファクタリングの掛け持ちは可能ですし、近年では掛け持ちが推奨されている状況です。掛け持ちが推奨されている理由に関して、さらに細かく解説していきましょう。
手数料の安いファクタリング会社が見つかる
ファクタリングの手数料は、審査によって決定します。金融機関からに資金融資のように、利息制限法で利息が定められているわけではなく、当事者同士の自由設定が可能なのがファクタリングの手数料です。
そのため、同じ債権で申し込んでも、ファクタリング会社によって手数料の設定にも差があります。掛け持ちすることで、より手数料の安いファクタリング会社と契約できるというメリットが考えられます。
ファクタリングを利用する場合、推奨されているのが相見積もりです。多くの場合ファクタリング会社は、申し込みから審査、契約条件の提示までは無料で対応してくれます。これを活かして相見積もりを取ることが推奨されています。
同じ債権を複数社に持ち込み、同じ条件で契約条件を提示してもらいます。手数料を始め、各種契約条件を比較検討し、もっとも好条件で契約してくれるファクタリング会社を見つけることが可能です。
この相見積もりを活かすためにも、ファクタリング会社を掛け持ちすることは推奨されています。
継続利用を断られた場合のリスクに備える
上記の通り、最近ファクタリングの継続利用を突然断られるというケースが増えています。継続利用は、そもそも推奨されている方法ですが、自社の経営状況や、売掛先の経営状況の変化によっては、継続利用が難しくなるケースがあります。
1社としか付き合いがない場合、その会社から契約を断られると、資金繰りが一気に厳しくなってしまいます。こうした事態に備え、複数社を掛け持ちすることが推奨されています。
掛け持ち可能というメリットを最大限生かせるように、普段から掛け持ち利用を意識しておくといいでしょう。
売掛債権に合わせて活用できる
ファクタリング会社を掛け持ちすることで、売掛債権や状況に合わせた使い分けが可能となります。ファクタリング会社はそれぞれ特徴を持っており、入金スピードが早い会社や、審査が緩い会社、手数料が安い会社などがあります。
また、高額債権でも申し込み可能な会社や、反対に少額債権でのファクタリングが可能な会社などもありますので、さまざまな特徴を持つ会社を掛け持ちすることで、自社の都合に合わせた使い分けが可能となります。
ファクタリングで掛け持ちをするデメリット
ファクタリングは掛け持ちも可能です。しかし、掛け持ちをすることで発生するデメリットがないわけでもありません。このデメリットに関して解説していきましょう。
ファクタリング会社に対する信用がたまりにくい
ファクタリング契約というのは、ある種申し込み企業とファクタリング会社の間の信頼関係によって成り立っています。ファクタリング会社が信頼できる企業と判断していれば、それだけ好条件での契約が可能です。
上記の通り、ファクタリングの契約条件に関して、法的な定めはありません。契約条件はファクタリング会社ごとに決定しますので、特定のファクタリング会社から信頼を得るというのは、その後のファクタリング契約において重要な意味を持ちます。
掛け持ちをすることで、1社に対するファクタリングの回数や利用金額は下がります。それだけ信用がたまりにくくなり、好条件での契約が難しくなるというデメリットがあるわけです。
ただし、上でも触れた通り、最近では継続利用が断られるというケースが増えていますので、こうしたデメリットを加味しても、掛け持ちをするメリットの方が大きいともいえます。
ファクタリングを掛け持ち利用する場合の注意点
ファクタリング会社を掛け持ちする場合、特に注意すべきは債権の二重譲渡です。
ファクタリングは債権譲渡契約です。1社と契約した売掛債権に関しては、所有権がファクタリング会社に移ることになります。しかし、売掛債権とは実際に目に見えない契約です。当然債権を譲渡したことも、目に見えづらいということになります。
ファクタリング会社に債権を譲渡したからといって、売掛債権の存在を証明する請求書等に何かしら変化が起きるわけではありません。一目見ただけでは、譲渡されているかどうかが分かりにくいものです。
ほかのファクタリング会社に譲渡済みの売掛債権を、別の相手(会社)に譲渡目的で持ち込むのは、他社が持つ債権で現金を手にしようとする行為となります。この行為は詐欺罪に問われる可能性があります。仮に契約に至らなくても、申し込んだだけで詐欺未遂罪が成立する可能性があり、非常に危険な行為です。
もちろん故意に二重譲渡をするのは論外ですが、掛け持ち利用をすることで、意図的ではなくとも二重譲渡の形になってしまう可能性があります。
掛け持ちで複数のファクタリング会社を利用する際は、自社内での債権管理をより厳しくし、決して二重譲渡が発生しないように注意しましょう。
ファクタリング・掛け持ち可能のまとめ
ファクタリング会社を掛け持ちで利用することは可能です。ファクタリングは債権譲渡契約であり、自社の財産を売却するという形の契約になりますので、複数社を相手に売却しても何も問題はありません。
掛け持ちは、ファクタリングの継続利用を断られるというリスクへの対応にもなりますし、売掛債権に合わせた運用ができる方法でもありますので、近年推奨されている方法でもあります。
掛け持ち利用自体は可能ですが、注意すべきは債権の二重譲渡に関してです。ファクタリング会社を複数社を掛け持ちすることで、債権管理も煩雑になりますので、意図せず二重譲渡が発生してしまう可能性が否定できません。
掛け持ち利用をする場合は、債権管理を厳重に行い、二重譲渡が発生しないように注意しましょう。