ファクタリングFactoring

2024.08.21

法人がファクタリングを利用できる上限金額はあるのか?

「高額の債権の方がファクタリングで有利って本当?」
「ファクタリングに上限金額ってあるの?」

ファクタリングは便利な資金調達法であるという知識はあるものの、それ以上深い知識はないという法人経営者の方もいらっしゃるかと思います。資金調達法は融資契約が多く、融資契約には上限金額がつきものです。

では、ファクタリングに上限金額はあるのか?あるとすればどの程度の金額なのかという点に関して解説していきましょう。

法人にとってファクタリングの利用上限額は?

法人を経営している方にとって、ファクタリングは魅力的な資金調達法です。では、そのファクタリングの上限金額はどの程度なのかという点に関して解説していきましょう。

売掛金の合計金額が上限金額

ファクタリングは売掛債権をファクタリング会社に譲渡して、売掛金を入金期日前に現金化する資金調達法です。利用する金額に関しては原則制限はありません。制限はありませんが、譲渡すべき売掛債権がなければ、それ以上は利用することはできません。

つまり、ファクタリングで調達できる資金の上限金額は、申し込み法人が持つ売掛金の合計金額ということになります。

一度のファクタリング契約における上限金額は?

ファクタリングで調達できる金額の上限は、その法人が持つ売掛金の合計金額です。では、一度のファクタリング契約で調達できる上限金額はどの程度になるのでしょうか?

ファクタリング会社が独自に設定している

一度のファクタリング契約における上限金額に関しては、ファクタリング会社ごとの設定という形になります。ファクタリング会社は、ファクタリングする売掛債権や法人に関して、ある程度限度を設定しています。

申し込めるのが法人に限定されており、個人事業主やフリーランスは利用できない会社や、申し込める売掛債権の額面金額を設定しているわけです。

個人事業主やフリーランス、小規模事業者をメインの顧客としているファクタリング会社は、取り扱う売掛債権の上限金額が低い傾向にあります。反対に法人を顧客のメインに据えているファクタリング会社は、下限金額が高くなる傾向にあります。

さらにファクタリング会社の体力に応じて、取り扱う売掛債権の上限金額が設定されます。上限金額が1,000万円の会社もあれば、1億円という会社もありますし、体力のある会社であれば、上限なしという会社もあります。

ファクタリング会社を探す場合は、取り扱い債権の下限金額・上限金額もチェックして選ぶようにしましょう。

ファクタリングで調達できる金額のイメージ

ファクタリングを利用して資金調達を行う場合、仮に1,000万円の売掛債権があれば、1,000万円が調達できるわけではありません。ファクタリング契約をする以上、手数料の支払いは必須となりますし、それ以外にも必要な経費があります。

そこで、この項では、ファクタリングの条件を設定して、どの程度の金額が調達できるのかを計算していきます。設定する条件は以下の通りです。

・売掛債権の額面金額 1,000万円
・掛け目 85%
・手数料 10%
・債権譲渡登記あり
・債権譲渡登記費用 10万円
・諸経費 1万円

売掛金に掛け目をかける

ファクタリングで調達できる資金の金額を計算する場合、最初に計算すべきなのが掛け目です。掛け目とは、売掛債権の額面金額に対して、何%をファクタリングの対象とするかを設定した数値です。多くのファクタリング契約でこの掛け目は採用されており、相場は70~95%程度と言われています。

今回の条件の場合、掛け目を85%に設定していますので、ファクタリングの対象金額は850万円となります。

手数料を差し引く

手数料は売掛債権の額面金額ではなく、ファクタリングの対象金額に関して設定されます。手数料の相場は、2社間ファクタリングで10~30%程度、3社間ファクタリングで1~9%と言われています。また、手数料はファクタリング対象金額が低いほど高くなり、高額債権ほど低くなる傾向にあります。

今回の条件の場合、手数料は10%ですので、ファクタリング対象金額から10%を差し引いた金額は765万円となります。

そのほかの諸経費を差し引く

ファクタリング対象金額から手数料を差し引いたら、続いて諸経費を差し引きます。諸経費に関してはファクタリング会社ごとの設定ですので、諸経費無料というケースもあります。基本的には書類の作成費用等が諸経費に含まれる傾向にあります。

債権譲渡登記とは、売掛債権の所有権が譲渡されたという事実を、法務局に登記するというものです。2社間ファクタリングの場合、ほとんどの契約で債権譲渡登記が必要です。債権譲渡登記をする理由は、債権の二重譲渡を防ぐというものです。

売掛債権は基本的に目に見えないものです。そのため、債権が譲渡されたかどうかも、第三者には分かりにくい部分があります。法人経営者が複数の会社に同じ売掛債権を譲渡しようと思えばできてしまうのが現実です。

もちろん複数の会社に売掛債権の譲渡を持ちかけるのは詐欺罪等の犯罪行為ですので、決してやってはいけません。しかし、法人経営者の勘違いや思い違いなどで、意図せず二重譲渡の形になってしまう可能性があります。

こうした二重譲渡を防ぐために、売掛債権の所有権がいつ譲渡されたかを、法務局という公的機関に記録として残すのが債権譲渡登記の目的です。

この債権譲渡登記の登記業務は、司法書士の独占業務となります。そのためファクタリング会社は契約する司法書士に登記業務を依頼しますが、この際の登記費用に関しては、申し込み法人が負担するのが一般的です。登記費用の相場は5~10万円程度と言われており、この金額も上記で計算した金額から差し引く必要があります。

今回の条件では、登記費用が10万円、諸経費が1万円ですので、合計11万円を差し引き、現金化できる金額は754万円ということになります。

つまり、1,000万円の売掛債権をファクタリング会社に持ち込んだとしても、現金化できる上限金額は1,000万円とはならないということになります。今回例に挙げたケースでは、額面金額のおよそ75%程度が早期現金化の対象です。

最初に計算した掛け目の部分で、ファクタリング対象外となった150万円分に関しては、通常の売掛金として手にすることができます。つまり、今回あげた例を正確に書くと、1,000万円の売掛債権に対し、早期現金化できる金額が754万円であり、その後売掛金入金期日までには150万円も入金されるため、合計904万円の現金が手に入るということになります。

ファクタリングで上手に資金調達するためには?

ファクタリングで上手に資金調達をするためには、ファクタリングの仕組みを知り、上限金額や、申し込み法人がすぐに欲しい金額などをしっかりと考慮して契約内容を確認することが重要になります。そこで、ファクタリングを利用する場合のポイントを2つまとめて解説しましょう。

調達金額に合わせてファクタリング会社を選ぶ

上でも少し触れましたが、基本的にファクタリングする金額が小さいほど手数料は高くなる傾向にあります。そこで意識したいのがファクタリング会社選びです。ファクタリング会社は会社ごとに得意とする分野や顧客が設定されています。大手企業法人からの大口ファクタリングが得意な会社もあれば、個人事業主など、少額債権に強い会社もあるわけです。

法人経営者の方は、自社がすぐに必要な現金金額を把握し、その金額に合わせたファクタリング会社を選んで申し込むようにしましょう。少額債権が中心の会社に高額の債権を持ち込んだり、その反対のケースで申し込むと、ほかのファクタリング会社よりも厳しい条件での契約になる傾向があります。

法人経営者としては、いろいろなケースに対応できるようにするため、常に複数のファクタリング会社を選択肢として持っていることが理想となります。

必要以上に調達しようとしない

ファクタリング契約では、ファクタリング対象金額に対して%で手数料が設定されます。確かに高額の売掛金の方が手数料は低く設定される傾向にありますが、かといって高額債権で申し込むのがベストというわけではありません。

仮に1,000万円の債権に対して10%の手数料がかかれば手数料金額は100万円です。500万円の売掛債権に対して15%の手数料がかかれば、手数料金額は75万円となります。

単純に手数料の%を見れば1,000万円の売掛債権で申し込んだ方がお得に見えますが、実際に支払う金額ベースで見れば、500万円の売掛債権で申し込んだ方が支払う金額は少なくなります。

手数料というのは、売掛金から差し引かれる金額ですので、申し込み法人にとっては純粋な損失と考えられます。手数料の%が低くても、高額債権でファクタリングすることで、損失が大きくなってしまうことがありますので注意が必要です。

ファクタリングを利用する場合は、必要な金額が手元に残ることを考えて申し込むようにしましょう。

ファクタリング・法人・上限金額のまとめ

ファクタリングの上限金額は、利用する法人から見れば売掛金の総額が上限金額ということになります。一度のファクタリングで用意できる上限金額は、ファクタリング会社次第ですが、原則設定されている金額がありますので、その金額を目処にするといいでしょう。

ファクタリング契約においては、手数料の支払いが必須となります。手数料は申し込み法人にとっては純粋な損失となりますので、しっかりと手数料の比率と支払金額を計算したうえで、ベストな債権で申し込むようにしましょう。

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