「支払いサイトって何?」
「支払いサイトが長いとファクタリングできないって本当?」
売掛金が発生してから売掛金が入金されるまでの期間を支払いサイトと呼びます。この支払いサイトの長さと、ファクタリング契約の条件には関係性があり、この関係性を知っておくことが重要です。
この記事では支払いサイトに関する説明から、ファクタリングとの関係性まで詳しく解説していきます。
支払いサイトとは?
日本国内の商取引は掛け取引が中心です。掛け取引とは、商品やサービスを先に納品し、その商品やサービスに対する対価の支払いが後になるという形の取引です。
一般的に行われている掛け取引では、毎月締め日が設定されており、その締め日までに納品した商品やサービスに関して、まとめて請求書を発行します。その請求書に記載されている売掛金を、指定の日に支払う契約であり、この締め日から売掛金の入金日までの期間が支払いサイトです。
一般的な商取引の支払いサイトは、30日・60日で設定されます。しかし、業種によってはこの支払いサイトが長くなる業界もあります。
特に支払いサイトが長くなるのが建設業界です。建設業界では、原則工事が完了してからの支払いとなり、工事期間が3ヶ月であれば、支払いサイトも90日以上となります。工事の規模によっては、120日、180日という長期間の支払いサイトの契約も発生する可能性があります。
売掛金の入金が遅くなれば、その間企業としては収入がありません。それでも人件費や光熱費、また原材料費や税金の支払いは必要になりますので、企業としてはそれだけの資金力が求められるわけです。
仕事は多数あり、未入金の売掛金が多数ある黒字経営の場合でも、手元の現金が不足すれば、企業運営ができなくなる可能性があります。いわゆる黒字倒産といわれる状態です。
企業経営者は、黒字倒産のような事態が発生しないためにも、しっかり支払いサイトの管理を行い、自社のキャッシュフローを正常化させる必要があります。
一度決めると変更するのは難しい
支払いサイトに関しては、契約ごとに設定することになります。当然売り手側としては支払いサイトは短い方がありがたいところですが、買い手側としては長い方が資金繰りは楽なのが現実です。
支払いサイトに関しては、契約する両社によって話し合いで決定しますが、一般的には売り手側の方が立場は弱く、買い手側の事情で決まることがほとんどです。また、後から支払いサイトを見直すというのも簡単ではありません。
仮に売り手側が支払いサイトの短縮を求めたとしても、買い手側としては現状の支払いサイトで順調に資金繰りが回っている状態であれば、短縮を認めたくはないでしょう。最初の契約時の取り決めが重要になりますが、売り手側の希望通りに進めるというのは簡単ではありません。
支払いサイトを短縮するためのファクタリング利用も
こうした支払いサイトを短くするための方法として、ファクタリングという方法があります。ファクタリングは手元にある売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、売掛金を入金期日前に現金化する方法です。つまり、支払いサイトを一気に短縮できる方法と言い換えることもできます。
もちろんファクタリング会社にも利益は必要ですので、手数料を支払う必要はありますが、それでも支払いサイトが一気に短縮できれば、売り手側としては非常に助かるということになります。
急に現金が必要になったケースや、資金繰りが厳しくなったケースで上手にファクタリングを活用することで、資金繰りを改善できるでしょう。
ファクタリングと支払いサイトの関係
ファクタリング契約と、売掛債権の支払いサイトの関係に関して解説していきましょう。
支払いサイトが短いほど契約条件が良くなる
原則として、ファクタリング契約においては、支払いサイトが短い方が契約条件は良くなります。ファクタリング契約を行う前には、必ず審査が行われます。この審査で重視されるポイントが、売掛金が入金されるかどうかという点です。
ファクタリングの契約が結ばれると、申し込んだ企業は手数料を支払うというマイナス面があるものの、売掛金を早期現金化でき、また売掛金の未回収リスクを回避することができます。一方ファクタリング会社は、売掛金の未回収リスクを負うものの、手数料という利益を出すことができます。そのため、ファクタリング会社は契約前に売掛金の未回収リスクに関して審査を行うわけです。
売掛金を入金するのは売掛先(買い手側)企業ですから、売掛先企業の信用情報が重視されるということになります。そのためファクタリングは、申し込み企業が赤字経営でも、債務超過の状況でも利用可能というケースがあるわけです。
支払いサイトが長くなればなるほど、その期間内に売掛先の経営状況が悪化し、売掛金が支払えなくなるリスクは高くなると考えられます。反対に支払いサイトが短ければ、リスクも少ないわけです。
そのため、ファクタリング契約においては、支払いサイトが短い売掛債権ほど契約条件が良くなります。
90日以上の支払いサイトの場合契約できないケースも
一般的な商取引における支払いサイトは、30日もしくは60日間です。しかし業界によっては、支払いサイトが90日以上の売掛債権ということも珍しくない業界があります。
ファクタリング会社によっては、支払いサイトが90日以上の売掛債権は、ファクタリング対象外としているケースもあります。支払いサイトが長い売掛債権をファクタリングする場合は、ファクタリング会社の設定している条件を確認するのが重要です。
また、対応はするものの、必要書類が増えたり、審査に時間がかかるケースも多くなります。特に急ぎ現金が必要な場合は、支払いサイトの短い売掛債権で申し込むのがいいでしょう。
支払いサイトが長い売掛債権をファクタリングするには?
特に支払いサイトが長くなる業界としては、上で少し触れた建設業界があります。そのほかにもIT業界や繊維業界も比較的支払いサイトが長くなる傾向が顕著です。こうした業界の方が、ファクタリングの利用を考えた場合、どのような対策があるのかを解説していきます。
業種に特化したファクタリング会社を探す
支払いサイトに関しては、契約後に変更することは簡単ではありません。また、ファクタリング会社による支払いサイトの規定も、利用者側が簡単に変更することはできません。
できる対策があるとすれば、特定の業界に特化したファクタリング会社を探すことです。ファクタリング会社は近年増加傾向にあり、その特徴も細分化される傾向にあります。その1つの特徴として、各業界に特化したファクタリング会社が増えている点が挙げられます。
IT業界に強い、建設業界に強いと謳っているファクタリング会社であれば、支払いサイトの長い売掛債権でも対応してくれる可能性が高くなるでしょう。また、その業界に強いということは、それだけ審査も適切に行われる可能性が高いという事でもあります。
まずは、自社の業界に強いファクタリング会社を探し、そのファクタリング会社の支払いサイトに関する規定などを確認したうえで申し込むのがいいでしょう。
支払いサイトは短縮される方向で議論されている
支払いサイトに関しては、現状短縮される方向で議論が進められています。実際に2024年5月には、改正下請法が施行され、下請け業者に対する売掛金の支払いサイトは60日が上限という法律に変更されました。
下請・元請けの関係性に関しても、法律上明確にされていますので、今後は下請け業者が、長い支払いサイトにより経営が難しくなるという状況も改善されていく方向になっています。
特に支払いサイトが長い建設業界では、工事の完成後に一括で支払う形から、工事の進捗状況に合わせて売掛金の支払いを行う形への移行も検討されており、実際に自治体が発注する工事に関しては、この進捗払いという手法を取る自治体も出てきています。
ファクタリング・支払いサイトのまとめ
支払いサイトとは、締め日から売掛金が入金されるまでの期間を指す言葉です。この支払いサイトが短い売掛債権ほど、ファクタリングでは好条件での契約がしやすくなります。
支払いサイトは、売り手側が勝手に設定できるものでもありませんし、勝手に変更できるものでもありません。しかしファクタリングを利用することで、支払いサイトを短縮することは可能です。
自社の経営状況を確認しながら、上手にファクタリングを利用して、資金繰りの改善を目指しましょう。