「ファクタリングの返済が遅れたら差し押さえに遭う?」
まず大前提として、ファクタリングは貸金契約ではなく債権譲渡契約ですから、そもそも返済の義務は発生しません。降格とファクタリングを利用して差し押さえに遭うことは内容に聞こえるかもしれませんが、場合によっては差し押さえに遭うケースも考えられます。
この記事では、ファクタリングの基本的な流れを解説し、差し押さえが発生するのはどのタイミングか、そしてどのような対処法があるかという点を解説していきます。
差し押さえとは?
差し押さえとは、支払うべき返済や税金、保険料が支払われなかった場合、債権者が裁判所に申し立てを行い、法的に債務者の預金や財産などを差し押さえ、返済や支払いに充てるという民事上の手続きのことです。
差し押さえは債権者が債務者の財産を対象に行う手続きですので、基本的にはファクタリング契約とは直結しません。しかし、ファクタリング契約を申し込んだ企業も、財産の差し押さえを受ける可能性は0ではありません。
なぜ、差し押さえを受ける可能性があるのかに関しては、まずはファクタリングの流れを知ることが重要ですので、その点を次の項で解説していきましょう。
ファクタリングの流れ
一般的な、売掛債権を譲渡し、売掛金を入金期日前に現金化するというファクタリング契約の流れを簡単に説明していきます。ファクタリング契約には2社間ファクタリングと3社間ファクタリングという2つの契約方法がありますので、その違いにも触れながら解説していきましょう。
売掛債権を持ち込み審査を受ける
申し込み企業は、手元にある売掛債権をファクタリング会社に持ち込み、売掛債権に対する審査を受けます。この点は契約方法に関係なく同じです。
契約内容に問題がなければ契約し現金を受け取る
審査の結果、ファクタリング契約の条件が決定し、ファクタリング会社から提示されます。申し込み企業はこの契約内容に問題がなければ契約に進み、契約が締結されればファクタリング会社から、売掛金から手数料等を差し引いた現金を受け取ります。
ちなみに2社間ファクタリングでは、ファクタリング契約と同時に、業務委託契約をファクタリング会社と結ぶのが一般的です。業務委託契約の内容に関しては後述します。
3社間ファクタリングの場合、契約内容を承諾した時点で、取引先へ債権譲渡通知を行います。取引先が債権譲渡に同意をしてくれたら、取引先を含めた3社で契約を行い、申し込み企業はファクタリング会社から現金を受け取ります。
売掛金入金期日に売掛金を受け取る
2社間ファクタリングでは、売掛債権の所有権はファクタリング会社に移りますが、売掛債権の契約内容は変更されません。そのため、取引先からの売掛金の入金は、従来通り申し込み企業の口座に振り込まれます。
前項で、業務委託契約を結ぶと書きましたが、これはファクタリング会社から業務委託を請け負った申し込み企業が、ファクタリング会社に代わって売掛金を回収し、回収した売掛金をファクタリング会社に送金する形となるためです。
3社間ファクタリングの場合、契約の時点で売掛債権の所有権がファクタリング会社に移り、売掛金の振込口座もファクタリング会社の口座に移ることが確認されていますので、売掛金が直接ファクタリング会社に入金され、契約は完了となります。
ファクタリング会社に送金する
2社間ファクタリングで、売掛金を受け取った申し込み企業は、速やかにその売掛金をファクタリング会社に送金し、これで契約が完了となります。
差し押さえが発生するとすれば最後の送金のシーン
ファクタリング契約の流れは上記の通りです。このファクタリングの流れの中で、差し押さえが発生するとすれば、最後の売掛金をファクタリング会社に送金するというシーンでしょう。
送金がなければ差し押さえとなる可能性がある
上記の流れを読んでいただければわかる通り、売掛債権は契約の時点でファクタリング会社の譲渡しています。しかし、2社間ファクタリングの場合、取引の契約内容には変更がありません。
取引内容が変更されないため、取引先に知られることがなく利用できるというのが2社間ファクタリングです。そうするためには、一度ファクタリング会社に代わって売掛金を受け取り、その売掛金をファクタリング会社に送金しなければいけません。
しかし、売掛金を受け取るタイミングで、資金不足の状態になっていた場合、この売掛金を使い込んでしまうということが考えられます。また使い込むつもりはなくとも、何かしらの費用が銀行口座から自動的に引き落とされ、結果的に売掛金が送金できなくなる可能性も考えられるでしょう。
送金されるはずの売掛金が送金されなければ、当然ファクタリング会社から督促を受けます。それでも支払いをしなかった場合、ファクタリング会社は回収の手段として差し押さえを行う可能性があるわけです。
刑事事件として訴えられる可能性も
売掛金の送金拒否が引き起こすのは、差し押さえだけではありません。契約の流れを見ていただければわかる通り、申し込み企業とファクタリング会社は業務委託契約を結んでおり、売掛金を送金しないということはこの契約不履行に当たります。また、売掛金はそもそもファクタリング会社に所有権がありますから、その金銭を送金しないというのは、業務上横領という罪です。
業務上横領罪として起訴された場合、法定刑は10年以下の懲役となります。罰金刑はなく、有罪となれば禁固刑が確定する重い罪です。
送金拒否をしてしまった場合、差し押さえという民事上の手続きと、業務上横領罪としての告訴という刑事手続きの双方が取られる可能性があり、申し込み企業としては大きな問題となります。
どうしても売掛金の送金が難しい場合は、何よりまずはファクタリング会社に連絡し、状況を報告しましょう。売掛金に関しては原則一括払いで分割払いに対応しているケースは稀ですが、正直に伝えることで何かしらの解決策が生まれる可能性はあります。
無視してしまえば、刑事罰を受ける上、民事上も差し押さえが行われ、企業として経営を続けるのは困難となるでしょう。
売掛金が入金されなかったら?
差し押さえとは、入金されるはずのものが入金されない場合に取れる法的手段の1つです。そのため、取引先が売掛金を入金しなかった場合にも適用可能な方法となります。では、取引先が売掛金を入金しなかった場合はどのように差し押さえを行うのかを確認しておきましょう。
差し押さえはファクタリング会社が申し立てる
2社間ファクタリングでも、3社間ファクタリングでも、売掛債権のl所有権はファクタリング会社にあります。申し込み企業は、売掛債権を譲渡するのと同時に、売掛金の機会種リスクもファクタリング会社に譲渡しています。
そのため、売掛金は入金されなかった場合、差し押さえなどの法的手段も駆使して売掛金を回収するのは、ファクタリング会社の役目であり、申し込み企業は何もする必要はありません。
ファクタリングには、売掛金を早期現金化するというメリットのほかに、売掛金の未回収リスクを回避するとうメリットもありますので、覚えておきましょう。
ファクタリング・差し押さえのまとめ
ファクタリング契約で差し押さえが発生するとすれば、2社間ファクタリングで最終的に売掛金をファクタリング会社に送金できなかったケースか、そもそも取引先が売掛金を入金しなかったケースです。
取引先が入金しないというケースの差し押さえに関しては、ファクタリング会社に任せ、自社は特に対応の必要はありません。
自社が差し押さえの対象となるのはできるだけ避けたいところですので、どうしても売掛金が送金できない場合は、ファクタリング会社に事情を説明し、次善の策を検討できるようにしましょう。もちろん、そうならないようにキャッシュフローを見直しながらファクタリングを利用するのがおすすめです。