「ファクタリングの申し込みに通帳ってどうしても必要？」
「通帳偽装して申し込んだらどうなるの？」

ファクタリングの申し込みにはさまざまな必要書類があり、どのような書類が必要かはファクタリング会社ごとに差があります。しかし、どのファクタリング会社でも、高い確率で必要書類としているのが通帳です。

通帳を開示するのが嫌で、仮に通帳の内容を改ざんした通帳偽装を行って申し込みをするとどうなるのか？この点を中心に解説していきましょう。

ファクタリング申し込みで通帳偽装はバレるのか？

ファクタリングに申し込む際に、通帳偽装をして申し込んだ場合、そもそも通帳偽装はバレるのかどうかという点に関してまずは解説していきましょう。

銀行に確認等は行わない

ファクタリング会社は、受け取った通帳(もしくはそのコピー)を基に、その銀行に直接問い合わせて何かしらの調査をするということはありません。通帳に記載されている内容をチェックするのみです。

そのためよほど精密に通帳偽装をし、また2社間ファクタリングの場合であれば、バレない可能性もあります。ちなみに3社間ファクタリングの場合、取引先からも通帳を開示してもらうことが多いので、申し込み企業が通帳偽装をしていると辻褄が合わずほぼバレます。

バレる可能性は高い

2社間ファクタリングのケースで、通帳偽装がよほど精密であればバレない可能性はありますが、これは極めて稀な例といえるでしょう。ファクタリング会社で審査を担当する方は、毎日のようにさまざまな通帳をチェックしています。、何かしら違和感を感じる点があれば、当然調べますので、素人が行うような通帳偽装はまずバレると考えて間違いないでしょう。

また通帳偽装をした上で、ファクタリング契約に反するような行為を行えば、その時点でさらに通帳に関しても調査が行われますので、この時点で高確率でバレます。

いずれにせよ、通帳偽装がバレないというケースの方が珍しく、まず騙し通せないと理解しておきましょう。

ファクタリングで通帳偽装がバレた場合は？

ファクタリングの申し込みにおいて、通帳偽装をして申し込んだ場合になにが起こるのかと言えば、当然罪に問われます。しかも通帳偽装は民事案件ではなく刑事案件となりますので、警察や検察の厳しい捜査が行われます。

通帳偽装は高確率でバレますので、その時点で刑事案件となり、警察の捜査により逮捕、起訴という形になるでしょう。

通帳偽装がバレた場合に問われる罪

通帳偽装をしてファクタリングを申し込むことは、刑事案件であり、当然罪に問われ刑事罰を受けることになります。しかも通帳偽装で申し込んだ場合の刑事罰は比較的重いのが現実です。

では、通帳偽装でファクタリングを申し込んだ場合、問われる罪とその法定刑を確認しておきましょう。

偽造私文書行使罪

通帳偽装ということは、銀行が発行した書類の内容を改ざんすることになりますので、通帳偽装をした時点で「私文書偽造罪」が適用されます。さらに通帳偽装の上ファクタリングを申し込めば、偽造した私文書を行使したことになり、偽造私文書行使罪ということになるでしょう。

偽造私文書行使罪の法定刑は「3ヶ月以上5年以下の懲役」であり、罰金刑ではなく懲役刑となります。つまり偽造私文書行使罪で有罪判決を受けた場合は、漏れなく懲役を受けるということになるわけです。

詐欺罪

通帳偽装してファクタリングを申し込んだ場合、偽造した私文書でファクタリング会社を騙して契約をすることになりますので、「詐欺罪」も成立します。ちなみに詐欺罪が成立するのは契約が締結された場合ですが、詐欺罪は「未遂」でも犯罪です。

結果契約に至らなくとも、通帳偽装で申し込んだ時点で「詐欺未遂罪」が成立することになります。

詐欺罪も詐欺未遂罪も法定刑は「10年以下の懲役」です。ただし、詐欺未遂罪の場合、法廷にて刑が軽減されると定められており、その場合は「6ヶ月以上5年以下の懲役」となります。

ここでお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、通帳偽装してファクタリングに申し込むと、詐欺罪と偽造私文書行使罪の両方が成立することになります。その場合の法定刑に関しても簡単に解説しておきましょう。

法定刑には「牽連犯」という考え方があり、単純に法定刑が合算されるわけではありません。それぞれの法定刑のより重いものが適用されるという形になります。最低刑期、最長刑期をそれぞれ比較し、より重い方が適用されるという考え方です。

つまり偽造私文書行使罪(3ヶ月以上5年以下の懲役)と詐欺罪(10年以下の懲役)の2つの罪に問われた場合、法定刑は「3ヶ月以上10年以下の懲役」となります。

犯罪収益移転防止法違反

通帳偽装の1つの方法として、申し込み企業ではなく、他社の通帳で申し込むという方法が考えられます。自社の取引相手ではファクタリングができないと考えた場合、より信用情報の高い取引先で申し込もうとした場合に考えられる方法です。

違う名義の通帳で申し込んだ場合には、「犯罪収益移転防止法違反」という罪に問われます。この犯罪収益移転防止法違反に関しては、申し込んだ方はもちろん、その方に通帳を譲渡した方も罪に問われます。

犯罪収益移転防止法違反の法定刑は「1年以下の懲役刑もしくは100万円以下の罰金刑(併科あり)」であり、当然この違法行為で申し込みを行えば、詐欺罪、詐欺未遂罪も同時に問われます。

ファクタリングで通帳の提出が必要な理由

通帳偽装で問われる罪に関して解説してきましたが、そもそもなぜファクタリングの申し込みに通帳が必要なのでしょうか。この点を簡単に解説しておきましょう。

取引先の信用度をはかる

通帳はファクタリング審査の参考資料として活用されます。しかも、ファクタリング審査で最重要視される点の参考資料ですので、通帳の存在は非常に大きいものと言えるでしょう。

ファクタリング審査で審査される項目で、重視されるのが売掛債権の存在を確認することと、売掛金が入金されるかどうかを判断することです。そのため通帳の履歴から、過去の取引実績を確認し、その取引において、滞りなく入金が行われているかどうかを確認するわけです。

実際にファクタリング会社の中には、初めての取引相手との売掛債権は取り扱わないとしている会社も少なくありません。初めての取引の場合、通帳から取引実績が確認できないからです。

それほどファクタリング審査において通帳は重要な書類ということになります。ファクタリングを利用する以上、通帳の開示は必須と割り切って、通帳を偽装せずそのままの状態で提出するようにしましょう。

申し込み企業の経営状態をチェックする

特に2社間ファクタリングの場合は、申し込み企業の経営状況も審査対象のひとつです。2社間ファクタリングでは、売掛金は一度申し込み企業の口座に振り込まれ、その後ファクタリング会社に送金されます。

申し込み企業の経営状況が悪い場合、この売掛金の送金が行われない可能性が考えられますので、きちんと送金してもらえるかどうかを、通帳のデータからチェックする必要があるわけです。

ファクタリング・通帳偽装のまとめ

ファクタリングの申し込みにおいて、通帳の提出はほぼ必須と考えていいでしょう。その通帳を偽装して提出するのは、当然ですが犯罪行為です。また、通帳偽装がバレる可能性は非常に高く、偽装するリスクは非常に大きいといえます。

ファクタリング審査において通帳は非常に重要な書類であり、ファクタリングを利用する以上通帳の開示は必須項目だと考えておくべきでしょう。間違っても通帳偽装をすることがないようにしてください。