ファクタリングFactoring

2024.06.14

なぜ日本は導入が遅れたのか?ファクタリングの歴史を徹底解説

日本国内ではまだ歴史の浅い資金調達法と考えられているファクタリングですが、世界的にみると数百年の歴史を誇る、長期間利用されている資金調達法であることが分かります。そんなファクタリングの世界における歴史と、日本における歴史、さらに日本にファクタリングが導入されるのが遅れた理由などに関して解説していきます。

【リード】
ファクタリングとは、手元にある売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、売掛金を入金期日前に現金化するという資金調達法です。日本国内ではまだメジャーとは言えない資金調達法ですが、その歴史を振り返ると古くから利用されてきた資金調達法であることが分かります。

この記事では、世界におけるファクタリングの歴史と、日本におけるファクタリングの歴史に関して解説していきたいと思います。

14~16世紀ごろイギリスで誕生

ファクタリングの歴史は古く、14世紀から存在する説や16世紀に誕生した説などがあります。諸説ある中で、もっとも信頼できる説が、イギリスとアメリカの貿易の際に誕生した「ファクター」の存在が起源であるという説でしょう。

16世紀頃、アメリカはイギリスの植民地でした。この時期にイギリスから多くにイギリス人がアメリカ大陸に渡り、現地で生活を始めます。当時のアメリカはまだ未開発の土地ですから、アメリカにいるイギリス人たちは、アメリカで採れる資源をイギリスに輸出し、生計を立てる形になります。

アメリカのイギリス人が、イギリスに輸出するために頼ったのが「ファクター」です。ファクターはアメリカで資源を受け取り、その資源の価格に見合った生活用品を提供し始めます。これがファクタリングの減点であり、歴史の始まりであるという説です。

17世紀頃イギリスとアメリカの貿易で発展

17世紀に入るとアメリカの開発も進み、アメリカでも経済が回るようになりはじめます。16世紀頃は、ファクタリングと言っても実質物々交換の形が主流でしたが、17世紀に入ると、アメリカにいるイギリス人が、イギリスに輸出する資源をファクターに買い取ってもらい、現金を受け取る形が整います。

アメリカで資源を買い取ったファクターが、イギリスに売るという形ではありますが、契約の形としては、売掛債権をファクターに譲渡し、商品が売れる前に現金化するという現在のファクタリングに近い形に発展していきました。

18世紀以降アメリカから世界に普及

ファクタリングの歴史における大きな転換点がアメリカの独立です。18世紀アメリカがイギリスから独立すると、アメリカはイギリスに限らずヨーロッパ各国との貿易を始めます。アメリカではそもそもファクタリングという形が根付いていましたので、ヨーロッパ各国との貿易、取引においてもこのシステムが採用され、結果ヨーロッパ各国でもファクタリングというものが一般的になっていきます。

現在世界中でファクタリングが利用されているのは、アメリカが当時から輸出に頼っていた国であり、その輸出相手がヨーロッパという離れた国であったという点が大きかったのかもしれません。

アメリカの独立をきっかけに、ヨーロッパを中心に一気に広まったファクタリングですが、当然世界の国の一つでもある日本にも、このファクタリングというシステムが上陸することになります。

日本国内におけるファクタリングの歴史

日本国内にファクタリングというシステムが誕生したのは、1970年代と言われています。世界のファクタリングの歴史と比較するとかなり遅いイメージですが、そこには日本の近代国家設立が遅れたことと、第二次世界大戦という2つの歴史的事実が影響したと考えていいでしょう。

日本の歴史を振り返ると、江戸時代には鎖国主義が徹底され、海外との貿易は非常に限定的なものでした。日本で大政奉還が成り、歴史が江戸時代から明治に代わったのが1868年ですから、19世紀半ばということになります。

つまり日本は19世紀半ばまで、海外との貿易がほぼないという歴史的事実があり、そのためファクタリングという文化が入ってくるのが遅れてしまったわけです。

さらに、明治時代になったからと言ってすぐに貿易が活発になるわけではありません。その後もヨーロッパ各国やアメリカとの関係はいいものとは言えない時代が続き、やがて日露戦争、日中戦争、そして第二次世界大戦に突入します。

第二次世界大戦が終結したのが1945年です。その後しばらく日本はアメリカの統治下にあり、もちろん他国との貿易が活発になることはありませんでした。日本が1つの国として独立し、世界の国々との貿易を再開したのが1950年代、その後日本が経済力をつけ、輸出で大きな成果を上げ始めたのが1960年代、さらに1970年代になってようやくファクタリングというシステムが日本にも持ち込まれることとなります。

1970年代に上陸も広まらず

日本国内のファクタリングの歴史を振り返ると、日本にファクタリングが上陸したのは1970年代です。しかし、当時の日本でファクタリングは大きく発展することはありませんでした。

1970年代の経済における歴史を考えると、当時は手形取引が主流の時代です。多くの企業が手形による取引を行っており、ファクタリングが入り込む余地はほぼなかったといえます。

手元の資金が厳しくなれば、手形を担保に資金調達が可能な時代でしたので、多くの企業は手形を担保にお金を手にし、わざわざ目に見えない売掛債権を譲渡するという選択をする企業が少なかったということもあります。

また、ファクタリングにおける債権譲渡に関する法整備が整っていなかったという歴史もあり、ファクタリングという方法は存在するものの、ほとんど利用されないという時代が続きます。

バブル崩壊で手形取引が減少

手形取引が一気に減少するきっかけとなった歴史的事件がバブル景気の崩壊です。それまでの日本の景気は、いざなぎ景気、高度成長期と右肩上がりの一途を辿っていました。その頂点となるのが、1980年代後半から1990年代前半のバブル景気です。

歴史的好景気となったバブル景気当時も、取引の中心は手形取引でしたが、バブル崩壊と同時に手形の不渡りが大量発生します。手形の不渡りで資金繰りに困る企業が続出し、このタイミングで商取引から手形取引が一気に減少していきました。日本の商取引の歴史的転換点と言っていいでしょう。

1998年債権譲渡特例法成立

手形取引が減り、手形による資金調達が難しくなった企業は増えたことに対し、時の政府が真剣にファクタリングの導入に踏み切ります。それが、債権譲渡特例法の成立でしょう。

債権譲渡取引法とは、債権を登記した事実に関して、法務局に登記できるようになるという内容の法律です。現在では当然の債権譲渡登記ですが、これが可能になったのが1998年ということになります。

債権譲渡登記ができるようになり、目に見えない売掛債権の所有権を証明する手段ができたことで、日本国内でもファクタリングの利用が活発化し始めました。

2005年債権譲渡特例法改正

さらに2005年には、債権条特例法が改正されます。それまでは債権譲渡登記に関して、対抗要件の具備が条件となっていましたが、この法改正により、債権譲渡登記と同時に対抗要件を具備する形に改められます。

結果債権譲渡登記のハードルが下がり、よりファクタリングを利用しやすい環境が整うこととなり、利用する企業も増えていきました。

2020年債権譲渡特例法改正

2020年には、再び債権譲渡特例法が改正されます。それまで債権譲渡登記ができるのは、債権の契約の際、譲渡が禁止されている債権以外に限られていましたが、この法形成により、債権譲渡を禁止されている債権でも譲渡および譲渡登記が可能であるということになりました。

2020年当時といえば。まだ日本は不景気の中にあり、特に銀行が企業に資金を貸し渋るという状態が定着している時です。金融機関から資金調達ができない企業は、事業拡大も難しく、成長が止まっているケースも少なくありませんでした。

そこで時の政府は、不況の資金調達の方法としてファクタリングを推奨します。そのために譲渡禁止契約のある債権も譲渡できるよう法改正をし、企業の資金調達法を拡大、それを企業の成長に当ててもらうという考え方です。

この法形成により、さらにファクタリングは利用しやすい状況となり、2024年の現在に至っています。これが日本におけるファクタリングの主な歴史となります。

ファクタリング・歴史のまとめ

ファクタリングの歴史は古く、そもそもはイギリスによって考案され、そのシステムがアメリカ独立をきっかけに世界中に広まったという歴史があります。日本におけるファクタリングの歴史はまだ浅く、2024年現在でも一般的な方法とは言い難い状況です。

しかし、ファクタリング事態は世界的にも長い歴史を持つ資金調達法です。歴史が長いということはそれだけ洗練された方法でもあるという考え方もできます。資金調達法として優秀であり、かつ危険性が少ないからこそ世界的に発展し、何百年という歴史があると考えれば、ファクタリングを積極的に活用するのは、非常に有効な考え方であると言えるでしょう。

資金調達の方法を増やしておきたいという経営者の方は、ぜひファクタリングの利用を検討してみてください。

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