ファクタリングFactoring

2024.05.23

ファクタリング契約における「リコース契約」の意味は?

「リコース契約って何?」
「リコース契約の方が契約条件がいいって本当?」

ファクタリング契約において、リコース契約かノンリコース契約かという点は大きなポイントです。

原則ファクタリング契約はノンリコース契約であるべきで、リコース契約は違法契約となる可能性があります。

この記事では、ファクタリングにおけるリコース契約に関して解説していきます。

リコースとは?

リコースを直訳すると「償還請求」という意味になります。償還とは一般的には満期を迎えた債権や投資信託において、投資家にお金を返還する際に使われる単語です。

では、ファクタリングにおける償還請求とはどのような意味になるのかを解説していきます。

償還請求権とは?

ファクタリングにおけるリコース、つまり償還請求とは、ファクタリングを利用する企業にとってうれしい意味ではありません。

譲渡した売掛債権が、もし未払いであった場合、一旦譲渡した売掛債権を利用企業が買い戻さなければいけない権利ということになります。

分かりやすく言えば、売掛金が未払いだった場合、売掛先に代わって利用企業がファクタリング会社に売掛金を支払わなければいけなくなるということです。ファクタリングで償還請求権がついた契約をリコース契約と呼びます。

ファクタリングはノンリコース契約が原則

リコース契約とは、売掛金の未払いリスクが利用企業にある契約です。しかし、これはファクタリング契約の原則に反する契約となります。

ファクタリングは債権譲渡契約であり貸金契約ではありません。貸金契約ではないからこそ、貸金業者登録をしていないファクタリング会社とも契約ができます。債権譲渡契約である以上、債権の譲渡と同時に売掛金を回収する義務も同時に譲渡されるべきというのがファクタリングの考え方です。

ファクタリングを利用する企業は、手数料を支払うリスクを請け負いその代わりに売掛金の早期現金化を叶えます。ファクタリング会社は、売掛金の未回収リスクを負うものの、手数料という売り上げを手にします。

本来ファクタリング契約の関係性は上記のとおりであり、リコース契約はその関係性にそぐわない契約です。

リコース契約が違法となった判例

令和2年9月に出た東京地裁の判例を見ると、ファクタリング契約はノンリコース契約であるべきであり、リコース契約は貸し付け契約にあたると明確に判断を下しています。

つまり、償還請求権がついたリコース契約はファクタリング契約ではないという法的判断が下ったということです。

ファクタリング契約である以上リコース契約は認められないということになります。

リコース契約が違法となる理由

では、償還請求権がついたファクタリング契約がなぜ違法となるのか。この点を解説していきましょう。

リコース契約は債権を担保とした貸金契約と見做される

リコース契約は償還請求権付の契約です。売掛先が何らかの事情で売掛金を入金しなかった場合、利用企業が売掛先に代わって、ファクタリング会社に売掛金を支払わなければいけなくなる契約となります。

この場合、ファクタリング会社は売掛金の未回収リスクを負っていません。単に手数料を受け取り、さらに確実に売掛金も手にできる契約となります。

これは、ファクタリング、つまり債権譲渡契約ではなく、売掛債権を担保とした貸金契約と同じです。担保がある貸金契約は、借りた金銭を返済できない場合、担保を持ってその支払いを行う形になります。

リコース契約は、事前に受け取った現金が貸付金、手数料が金利分となり、売掛金が入金されたらその売掛金で返済するという形になるため、貸金契約であるという判断です。

もちろんこれは貸金契約としては成り立つ契約ではありますが、貸金契約を結ぶのであれば、貸し付けた会社(ファクタリング会社)は貸金業者登録をしていなければいけませんし、契約の手数料は利息制限法に則った範囲であり、さらに契約書には貸し付け契約である旨が記載されている必要があります。

契約上、上記のポイントの反していれば貸金業法違反となり、違法契約と判断されるわけです。

ファクタリング契約時にチェックすべきポイント

ファクタリングの契約において、リコース契約は違法の可能性がある契約となります。利用企業にとっても、負担が大きい契約となりますので、注意が必要です。

では、リコース契約も含めて、ファクタリング契約の際に気を付けるべき部分に関していくつか紹介しておきましょう。

リコース契約に関して

リコース契約に関してはここまで説明した通りです。ファクタリング契約の契約書は隅々までチェックし、償還請求権やリコースという単語に関してどのように説明しているのかをチェックするのが重要になります。

債権譲渡登記に関して

ファクタリング契約、特に2社間ファクタリングで話題になるのが債権譲渡登記に関してでしょう。債権譲渡登記とは、売掛債権が譲渡された記録を、登記所に登記するという条件です。2社間ファクタリングでは多くのケースで付随されている契約と言えます。

債権譲渡登記を行う目的は、債権の二重譲渡を防ぐことです。売掛債権は原則形のない契約ですので、債権の所有権が一見分かりにくいものです。そのため誤って二重譲渡してしまう、もしくは意図的に二重譲渡をするということもあり得えます。

債権譲渡登記を行っていれば、二重譲渡の危険性は回避できます。ただし、登記にはそれなりの費用がかかり、その費用は利用企業負担となるのが一般的です。

債権譲渡登記なしでファクタリングできるケースもありますが、その分契約条件が厳しくなるケースもありますので、債権譲渡登記に関しては原則としては受け容れるのがおすすめです。

業務委託契約に関して

2社間ファクタリングでは、債権譲渡登記と同時に業務委託契約が結ばれるのが一般的です。これは、2社間ファクタリングで債権の所有権こそ移行しますが、売掛債権の中の条件は変更されないためです。

売掛債権の条件が変わらないということは、売掛金の入金先は利用企業の口座となります。利用企業は売掛金が入金されたら、速やかに売掛金をファクタリング会社に送金しなければいけません。

形としては、ファクタリング会社から業務委託を受け、売掛金の回収を代行するという形になります。そのための業務委託契約です。

業務委託契約に関しても、この売掛金の送金に関する契約ですので、契約するようにしましょう。

リコース契約を結ばないための方法

利用企業にとってもリスクの大きいリコース契約は、ファクタリング契約では結ぶべきではありません。とはいえ、契約書を読んでもよくわからないというケースはあるかもしれません。特にファクタリングの経験が少ない方の場合、リコース契約なのかノンリコース契約なのか分かりにくい部分があるかと思います。

では、リコース契約を回避する方法としてはどのような方法があるのかを考えてみましょう。

複数会社に見積もりを依頼する

契約書の内容の理解が難しいのは、その契約書が1通のみだからかもしれません。複数のファクタリング会社に申し込み、複数の契約条件を並べてみれば、その違いがハッキリするでしょう。

特にファクタリングの経験が浅いという方は、まずは複数のファクタリング会社に同じ売掛債権を持ち込み、契約条件を提示してもらいましょう。

その後、複数社の条件を比較検討し、リコース契約になっていないかどうかという点と同時に、契約条件(手数料や掛け目など)に関しても比較することで、より良い条件で契約できるでしょう。

担当者に確認できる契約方法を選ぶ

自身一人で契約内容を把握するのが難しいのであれば、ファクタリング会社の担当者がいる契約をするのがおすすめです。

窓口で申し込む、もしくはオンライン申し込みでも、担当者とビデオ通話などで連絡が取れる契約方法であれば、契約内容に関して不明点が質問できます。こうした契約方法で、リコース契約かどうかという点をしっかり確認して契約するのがおすすめです。

ファクタリング・リコースのまとめ

ファクタリングは債権譲渡契約であり、貸金契約ではありません。そのため契約は原則ノンリコース契約であるべきであり、ほとんどのファクタリング会社はノンリコース契約を結んでいます。

ただし、一部悪徳業者の場合は、リコース契約を結ぶというケースもありますので十分注意が必要です。

償還請求権付きのリコース契約はファクタリング契約ではないという判例はいくつもありますので、契約の際は償還請求権に関してしっかり確認の上契約するようにしましょう。

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