ファクタリングFactoring

2024.05.23

ファクタリングとプール型売掛債権証券化の違い

「債権流動化ってどういうこと?」
「小口の債権も流動化できるの?」

近年よく聞かれるようになったのが「債権流動化」という言葉です。これは手元にある債権が現金化されるのをただ待つのではなく、積極的に流動させることで上手に資金を確保していきましょうという考え方です。

債権流動化にはいろいろな方法があります。ファクタリングもその1つです。では、手元にある債権が小口債権ばかりという企業の場合は、どのように債権流動化を実現するのがいいのか?この点を解説していきます。

債権流動化の中にはプール型という利用法があり、小口債権を複数持っている方におすすめの利用法がありますので、そのあたりを解説していきましょう。

小口債権が多い企業の資金調達法

売掛債権はあるものの、1つ1つが小口債権であるというケースでは、どのような資金調達法が考えられるでしょう。

もちろん金融機関からの融資やビジネスローンといった資金調達法は考えられます。ここではいわゆる「債権流動化」にあたる資金調達に関して紹介していきましょう。

債権流動化に含まれる資金調達法は以下の4つの方法があります。

・ファクタリング
・売掛債権担保融資
・売掛債権証券化
・手形割引

この中で、売掛債権担保融資は、売掛債権を担保に貸金契約を結ぶ方法です。小口債権が多い企業に向いているとはいえません。手形割引に関しては支払いが手形である」契約のみで利用できる方法ですので、こちらも限定的な方法といえるでしょう。

残る2つの方法に関して考えてみましょう。

ファクタリング

ファクタリングは売掛債権をファクタリング会社に譲渡することで、売掛金を早期現金化する資金調達法です。

ファクタリング会社によって、取り扱う売掛債権の下限金額と上限金額が設定されているのが一般的ですが、小口債権といっても、複数の債権をまとめて(プールして)申し込むことで、下限金額をクリアして申し込めるケースがあります。

プール型の売掛債権証券化

売掛債権の証券化とは、手元にある売掛債権は特別目的会社(SPV)に譲渡し、現金化するという資金調達法です。SPVは買い取った売掛債権が生み出すキャッシュフローを裏付けとして証券化し、投資家向けに販売をします。

一見ファクタリングと似ているシステムですが、証券化という部分に大きな差があるのが特徴といえるでしょう。

売掛債権証券化にも、小口債権をまとめて譲渡するプール型という方式があり、この方式を利用することで現金を手にすることが可能です。

ファクタリングを利用するメリットとデメリット

小口債権をプール型という形でまとめてファクタリングするという方法に関しては、メリットとデメリットがあります。そんなメリットとデメリットを解説していきましょう。

未回収リスクを回避できる

ファクタリング契約はノンリコース契約が原則です。売掛債権を譲渡することで、その売掛金が未払いにとなるリスクもまとめてファクタリング会社に譲渡することができます。

ファクタリングを利用することで未回収リスクを回避でき、確実に現金を手にできるという点はメリットといえるでしょう。

現金化が早い

ファクタリングにはいくつかの契約方法があります。もっともメジャーな契約方法である2社間ファクタリングを利用した場合、現金化までのスピードが早いというメリットがあります。

一般的なファクタリング契約で2~3日以内、早い場合は申し込み即日に現金化が可能なのがファクタリングの大きなメリットと言えます。

審査に時間がかかる

ファクタリングのメリットは現金化スピードの早さですが、こと小口債権プール型で申し込む場合は、このメリットを享受できない可能性が高くなります。

ファクタリングに関しては、契約前に必ず審査が行われます。この審査において、持ち込まれた売掛債権が現金化されるかどうかが審査されますが、プール型での申し込みの場合、審査対象に企業が増えるため、当然審査にも時間がかかるということになります。

ファクタリング会社の中には、プール型の申し込みに関しては、売掛債権の信用力を統計的に把握したうえで審査を行うケースもありますが、その場合も通常のファクタリング審査よりも時間はかかります。少なくとも即日現金化というのはかなり難しくなるでしょう。

対応してくれるファクタリング会社が限定的

プール型の申し込みに関しては、すべてのファクタリング会社が対応しているわけではありません。それだけ申し込み先が限定されることになります。

とはいえ、小口の売掛債権を1つずつ申し込むと言っても、小口債権に対応しておるファクタリング会社も多いわけではありませんので、やはり対応するファクタリング会社は限定的です。

対応する会社が少ないということは、それだけ他社との比較検討が難しいということになり、好条件での契約が難しくなります。

プール型の売掛債権証券化を利用するメリットとデメリット

同じくプール型の売掛債権証券化にもメリットとデメリットがあります。こちらについても解説していきましょう。

まとめて申し込める

売掛債権証券化に関しては、プール型という形式がそもそも存在していることもあり、複数の小口債権をまとめて申し込むことに何も問題がありません。

手元にある売掛債権が小口でしかも数が多いという企業にとっては、利用しやすい資金調達法といえるでしょう。

未回収リスクを回避できる

売掛債権証券化もファクタリングと同様に、売掛債権を譲渡する契約であり、売掛債権の未回収リスクがない契約ということになります。

売掛債権の未回収リスクに関しては、最終的には証券を購入した投資家が請け負うことになります。

手続きが煩雑

売掛債権証券化に関しては、何より利用にあたっての手続きが非常に煩雑であるといおう大きなデメリットがあります。手元にある売掛債権をSPVに持ち込めばその場で売れるというものではありません。

売掛債権を証券化するという手間のかかる作業をSPVが行うこともあり、それに必要な手続きが多数発生します。また、取引先(売掛先)に対しても、証券化の利用を通知して同意してもらわなければいけません。複数の小口債権をまとめてプール型で申し込むという場合、すべての売掛先から同意をもらう必要があり、かなり手間のかかる作業になります。

現実的に売掛債権証券化というスキームは確立していますが、実際に証券化を利用している企業はほとんどなく、中小企業に関してはほぼ利用していないというデータもあります。

小口債権プール型の資金調達法としては存在するものの、現実的に利用できるような方法ではないというのが正直なところでしょう。

ファクタリング・プール型のまとめ

小口の売掛債権が多数ある業種としては、卸売業者などが考えられます、多くの売掛先に、比較的金額の小さい売掛債権が多数ある傾向が強い業界です。

こうした小口債権を債権流動化で活用しようとした場合、取れる手段が限定的であるという問題はあります。

利用しやすさなどを考えると、ファクタリングが最も利用しやすい資金調達法でしょう。ファクタリング会社にもさまざまな会社があり、中には小口債権に強い、個人・フリーランス向けのファクタリング会社もあります。こうした会社を利用すれば、必要な金額だけを手にすることも可能でしょう。

複数のファクタリング契約をするのが手間であるとう場合は、プール型で申し込めるファクタリング会社を探しましょう。数は限られているとはいえ、それなりに対応してくれるファクタリング会社もあります。

ファクタリングは、いろいろなケースで利用しやすい資金調達法です。ファクタリング会社の窓口に問い合わせ、自社の事情を説明すれば、最適な契約方法を提示してくれるかもしれませんので、積極的に活用していきましょう。

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