「支払いサイトって何?」
「支払いサイトが120日を超えるとファクタリングできないって本当?」
日本の商取引においては、掛け取引が基本です。先に商品やサービスを納品し、その後に対価を受け取るという契約方法です。
こうした掛け取引には、支払いサイトがあり、この支払いサイトの長さがファクタリング契約にも大きく影響します。
そこでこの記事では、支払いサイトが120日など長い売掛債権でファクタリングを申し込む場合のポイントなどを解説していきます。
ファクタリングと支払いサイトの関係
ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社に譲渡して、売掛金を入金期日前に現金化する資金調達法です。このファクタリング契約の条件に関しては、ファクタリング会社が独自の審査の上で決定します。この契約条件において注目される1つのポイントが支払いサイトです。
支払いサイトが長いと、ファクタリング契約は難しくなるため、基本的には支払いサイトの短い売掛債権で申し込むのがおすすめとなります。
まずは、支払いサイトの意味や、サイトが長いとファクタリング契約にどんな影響があるのかを解説していきましょう。
支払いサイトとは?
支払いサイトとは、取引代金の締め日から、実際に売掛金が支払われる入金日までの期間を指します。
商取引における掛け取引の場合、商品やサービスの発注を受けた日から、売掛金の入金日までを支払いサイトと考える考え方もあります。
一般的な支払いサイトは、30~60日間程度であることが多く、長いケースで120日間など長期間にわたる売掛債権もあります。
支払いサイトが長いとファクタリング契約は難しくなる
支払いサイトが120日間などと長くなると、なぜファクタリング契約が難しくなるのでしょうか。
支払いサイトが長いということは、ファクタリング契約をしてから売掛金が入金されるまでの期間が長いということになります。この期間が長いということは、その間に売掛金を支払う取引先の業績が悪化し、売掛金が未回収となる可能性があります。つまり、支払いサイトが長いほど売掛金の未回収リスクは高いということです。
ファクタリング会社が重視するのは、持ち込まれた売掛債権が現金化されるかどうかです。売掛金の未回収リスクが少ない債権ほど、好条件で契約ができます。反対にリスクの大きい債権では契約が難しくなりますので、支払いサイトが長い債権ほど契約は難しくなります。
支払いサイト120日の売掛債権は?
一般的な商取引の支払いサイトは30~90日間であり、120日間などそれ以上の支払いサイトを持つ売掛債権はそう多くはありません。
では、支払いサイトの長い売掛債権とはどのような債権か、そして支払いサイトが長い債権でファクタリングを申し込んだ場合、どのような契約になるかを考えていきたいと思います。
手形取引が多い
まず、そもそも支払いサイトが120日となるような売掛債権はどのような債権かを考えてみます。
業界によっては、支払いサイトが120日間を超えるような売掛債権が発生する業界もありますが、一般的な商取引で考えると、手形取引が考えられます。
商取引の支払いサイトが60~90日間だとしても、支払日の支払方法が現金払いではなく手形払いである場合、手形が振り替えられる日までの期間がありますので、実質支払いサイトは120日間となるケースがあります。
ファクタリング契約が難しい
支払いサイトが120日以上などと長くなった場合、当然売掛金の未回収リスクは高くなりますので、ファクタリング契約自体が難しくなります。
ただし、取引先が行政機関や公的機関などの場合は、支払いサイトが長くとも売掛金の未回収リスクは高くなりませんので、ファクタリング契約には影響がないケースが多くなります。
手数料が高くなる
支払いサイトが120日間など長い場合でも、ファクタリング契約ができるケースもあります。ただし、支払いサイトが長いほど、ファクタリング手数料は高くなると考えて間違いありません。
ファクタリングの手数料は、ファクタリング会社ごとに独自に設定します。契約前の審査で契約するかどうか、するのであればどのような条件かを決めるのが一般的です。支払いサイトが長いほど、この契約条件は厳しくなり、そのひとつが手数料でしょう。ファクタリングにおける手数料は、利用する企業にとっては損失です。
仮に1,000万円の売掛債権に対し、手数料が5%違うと、それだけで損失が50万円も代わるということになります。
支払いサイトが長い売掛債権でのファクタリング契約は、それだけ悪条件の契約となる可能性が高くなるのがデメリットです。
掛け目が低くなる
ファクタリング契約の条件としては、手数料以外に掛け目という条件があります。これは、売掛債権の額面金額の何割がファクタリング対象となるかを定めた数値です。
一般的なファクタリング契約の掛け目は、80~95%程度に設定されますが、支払いサイトが120日間など極端に長い債権の場合は、この掛け目がより低く設定されるケースが多くなります。
仮に1,000万円の売掛債権で申し込んでも、掛け目が70%、手数料が20%となると、早期に手に入る現金の計算式は以下の通りです。
1,000万円×70%×80%=560万円
1,000万円の売掛債権で申し込んでも、早期に現金化されるのは妬約半額の560万円となります。
ちなみに掛け目で除外された金額に関しては、売掛金入金日に入金され、そのまま自社の取り分となります。
支払いサイトが長い傾向のある業界
支払いサイトが長い傾向にある業界というのも存在します。こうした業界では、支払いサイトが120日を超えることもあり、ファクタリングの利用が難しくなります。
支払いサイトが長い傾向にある業界の場合は、その業界に特化したファクタリング業者を利用することで、ファクタリングが利用しやすくなりますので、覚えておきましょう。
建築業界
建築業界は、受注を受けて完成した商品(建造物など)を納品するまでに期間が長く、極端に支払いサイトが長い業界と言えます。さらにその期間中にも、下請け業者への支払いや、建材を購入する代金の支払いなど、多くに支払いが必要な業界です。
近年では「進捗払い」として、毎月ごとに工事の進捗状態に併せた支払いが行われる契約も増えていますが、やはり多いのは建造物が完成し引き渡した時点での支払いという契約です。
建築業界の方は、建築業界に特化したファクタリング会社がありますので、こういったファクタリング会社を選んで申し込むようにしましょう。
IT業界
IT業界も比較的支払いサイトが長く、120日間を超えるような契約も少なくありません。特にプログラムを構築するような作業の場合、納品までに120日間を超えることは珍しくないため、どうしても支払いサイトも長くなります。
IT業界に関しても、ファクタリングを利用する場合、IT業界に強いファクタリング会社を探すのがおすすめです。
ファクタリング・120日のまとめ
ファクタリングは売掛債権を譲渡し、売掛金を入金期日前に現金化する資金調達法です。ファクタリング契約の際、契約条件に大きく影響する原因の1つが、支払いサイトの長さでしょう。
一般的な商取引の支払いサイトは、30~60日程度、長くとも90日程度となりますが、支払いが手形の場合や、一部業界の商取引においては、支払いサイトが120日を超えることもあります。
支払いサイトが長くなると、ファクタリング契約自体が難しくなる、契約できても手数料や掛け目などの条件が厳しくなるケースもありますので、ファクタリングで申し込む場合は、支払いサイトの短い売掛債権で申し込むのがおすすめです。