「ファクタリングは有利な資金調達法だからできるだけ高い債権で利用した方がいい?」
「安い債権で利用した方がいいって聞いたけど本当?」
売掛債権を譲渡することで、売掛金を早期現金化するファクタリング。手軽に利用できることもあり、利用企業も増えています。
では、このファクタリングですが、一体どの程度の金額の債権で利用するのがいいのでしょうか。
おすすめはできる範囲で安い債権での利用となります。その理由や、できるだけ安い債権で契約する方法などに関して解説していきます。
ファクタリングはできるだけ安い債権で申し込もう
ファクタリングを利用する場合、何かしらの理由で急ぎ現金が必要であるケースが多いかと思います。そんな時、ある程度余裕のある金額の売掛債権でファクタリングを申し込み、余裕のある資金運用を目指したくなるものです。
しかし、そんな時こそできるだけ安い売掛債権で申し込むのがおすすめです。
安いといってももちろん必要最低限の現金が手に入る債権で申し込む必要はあります。考え方としては余裕を持った金額の売掛債権ではなく、必要最低限の現金を受け取れる売掛債権で申し込むということです。
その理由について解説していきます。
ファクタリングの仕組み
まずはファクタリングの仕組みを知っておきましょう。ファクタリングは売掛債権を譲渡し、売掛金を早期現金化する資金調達法です。
資金調達法の中では数少ない、借入金とならない方法であり、自社の信用情報を傷つけずに利用できることから、近年利用する企業も増えています。
そんなファクタリングですが、例えば額面金額50万円の売掛債権を譲渡して、50万円が受け取れるということはありません。そのあたりを解説していきましょう。
売掛債権に掛け目を掛ける
ファクタリング契約では、多くの場合「掛け目」という数値が設定されます。掛け目とは、額面金額の何割がファクタリングの対象になるかという数値です。掛け目の相場は70~90%と言われていますが、中には掛け目なしという契約も存在していますので、すべての契約で掛け目が採用されるというわけではありませんので、その点は覚えておきましょう。
仮に額面金額50万円の売掛債権に対し、掛け目が90%であれば、ファクタリングの対象金額は45万円となります。残りの5万円に関しては、売掛金が入金された時、そのまま利用企業の手に残る金額です。
このように、ファクタリングには掛け目という考え方が存在することを知っておきましょう。
手数料を差し引く
掛け目をかけたファクタリング対象金額に対し、手数料が差し引かれます。この手数料はファクタリング会社にとっての売り上げに当たる部分です。
ファクタリングには2社間ファクタリングと3社間ファクタリングという契約方法がありますが、2社間ファクタリングの手数料相場が10~30%程度、3社間ファクタリングで1~9%程度となっています。
3社間ファクタリングは、売掛金を支払う取引先も契約に加わるため、売掛金の未回収リスクが低くなり、手数料相場も安くなります。
仮に上で考えた50万円の売掛債権で掛け目90%の上、手数料が10%の場合、早期に受け取れる現金は、45万円×90%で40万5000円という計算になります。
50万円の売掛債権で、早期に手にできる現金が40万5000円というのは、想像よりも安いイメージがあるかもしれません。実際にはこの40万5000円から、さらに事務手数料や債権譲渡登記費用なども差し引かれますので、実際に手にできる現金金額は30万円程度になるかと思われます。
これだとずいぶん安いというイメージになるでしょう。
できるだけ安い債権も申し込むのがおすすめな理由
ファクタリングで手にできる現金金額は、実際の額面金額と比較すると意外と安いものです。それでもできるだけ安い金額の売掛債権で利用するのをおすすめするには理由があります。そんな理由を2つ紹介していきましょう。
ファクタリングは売掛金の先払い
ファクタリング
ファクタリングの仕組みはこの記事で紹介した通りです。簡単に言ってしまえば、売掛金の先払いのようなシステムであるといえます。
ファクタリングを利用することで、当然そのタイミングでは現金が手に入り急場を凌げます。また、借入金でもありませんので、自社の信用情報も傷つかず、返済の義務もありません。
ただし、売掛金の先払いですから、実際には売掛金が入金されるタイミングで手にできる金額がなくなるということです。今現在を乗り越えることができても、その売掛金入金予定日にまた資金繰りが厳しくなるような事態はあまりおすすめできません。
そのため、できるだけ安い売掛債権で申し込むのがおすすめということになります。売掛金を先払いしてもらうシステムですから、その売掛金入金日に大きなダメージを受けないためにも、できるだけ安い売掛債権での利用がおすすめとなります。
手数料は純粋な損失となる
ファクタリングにおいて手数料がない契約は考えられません。ファクタリング会社の売り上げとなるのは、この手数料の部分だけですので、それが0ということはないわけです。
ちなみにこの手数料は、ファクタリング会社ごとに自由に設定できるシステムになっています。そのため同じ売掛債権を持ち込んでも、ファクタリング会社によって手数料の設定も変わります。
この手数料に関しては、利用する企業にとっては純粋な損失となります。差し引かれた手数料に関しては帰ってくるものではありませんので、払った分だけ損をするわけです。
そう考えると、手数料はできるだけ抑えるのが得策です。そのためには手数料の安いファクタリング会社と契約するのが重要ですが、同じくらい重要になるのが、できるだけ安い債権で申し込むという点です。
申し込む売掛債権が安いほど、損失に当たる手数料の金額も安いということになります。
できるだけ安い債権で契約する方法
では、実際にできるだけ安い債権でファクタリングを利用するためには、どのような情報があるのかを考えてみましょう。
額面金額の違う複数の債権で申し込む
まずは売掛金額の違う複数の売掛債権を用意します。急ぎ必要な現金金額が50万円の場合、50万円以上の売掛債権を複数用意してファクタリングを申し込み、それぞれ契約条件を提示してもらいましょう。
ファクタリングの契約前には審査が行われます。この審査で、どのような条件で契約できるかが決まりますので、この審査まで複数の債権で申し込みます。
必要最低限の安い債権で契約をする
審査の結果が出たら、その中で必要な金額を手にすることができる債権を選び、その債権でファクタリングを申し込み、ほかの債権はキャンセルします。
ファクタリングの審査で需要視されるのは、売掛金が現金化されるかどうかです。持ち込んだ売掛債権の売掛先が違えば、当然契約条件も変わります。
例えば必要な現金が50万円で、80万円と100万円の2つの売掛債権で申し込んだとしましょう。
80万円の売掛債権は、掛け目90%、手数料10%という審査結果が出て、100万円の売りあっけ債権は掛け目80%、手数料15%だったとします。どちらの売掛債権も、手数料以外に差し引かれる金額を8万円とします。
80万円の売掛債権は、早期に受け取れる現金が56万8000円、100万円の売掛債権は60万円となります。この場合は迷わず80万円の売掛債権で申し込むようにしましょう。
ファクタリング・安いのまとめ
ファクタリングは非常に利用しやすく、また借入金とはならない契約ですので、ついつい利用しすぎてしまうことがある資金調達法です。とはいえ、ファクタリングは売掛金の先払いシステムであり、支払う手数料は利用企業にとっては損失となります。
そのためできるだけ安い金額の売掛債権で申し込むのがポイントです。必要最低限の安い債権で申し込むことで、支払う手数料も安いという結果になり、後の資金繰りもやりやすくなります。