「ファクタリングって経営が順調なら利用しない方がいい?」
「ファクタリングで資金融資が有利になるって本当?」
ファクタリングという資金調達法があることは知っていても、それがどのような仕組みで、どのような効果をもたらすのかまでしっかりと把握している方は少ないかもしれません。
ファクタリングには、単に売掛金の早期現金化という利用法だけではなく、財産圧縮することで企業の会計情報を改善するという効果も見込めます。
では実際にどのような利用法が考えられるのか?ファクタリングを利用した財産圧縮とはどのようなものかについて解説していきましょう。
ファクタリングの効果的な利用法
ファクタリングとは、手元にある売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、売掛金を入金期日前に現金化するという資金調達法です。金融機関からの資金融資と比較すると審査難易度も低く、また貸金契約ではなく債権譲渡契約であるため返済の義務がないため手軽に利用できる資金調達法でもあります。
そんなファクタリングは、どんな目的で、どのようなタイミングで利用するのか?まずはこのあたりを確認しておきましょう。
急な支出に対応する
まずはなんといっても急な支出に対する対応でしょう。原材料費の高騰や、ガス・電気などの料金値上げ、さらに円高や円安などドル円市場の値動きなどの影響で、急な出費が必要になるケースはあるかと思います。
もちろん設備の修理や買い替えといった場合も急に支出が必要となるケースもあるでしょう。こうした一時的な出費の対応として、ファクタリングは非常に有効な資金調達法といえます。
バランスシートのオフバランス化
ファクタリングを利用することで、売掛債権は現金に変わります。そのため、バランスシートはオフバランス化されます。バランスシートがオフバランス化されることで、財務状況も把握しやすくなり、他社に対して健全な経営ができている企業であるという印象を与えることができるようにもなります。
財産圧縮を行い経営状態の改善をする
例えばファクタリングで手にした現金で、有利子負債の返済をするとします。そのことで財産圧縮という形になり、後の資金確保に好影響をもたらす可能性も考えられます。
財産圧縮とは読んで字のごとく、企業としての財産が減ってしまうという反面、しっかりと利益が確保できていれば、企業の自己資本比率などが好転するという結果も期待できるでしょう。
ファクタリングは単に資金を確保するというだけではなく、後の資金確保に好影響を与えるという利用法も考えられるということになります。
ファクタリングで財産圧縮する方法
では、ファクタリングを利用して財産圧縮を行う方法について簡単に解説していきましょう。実際にはここで解説する項目だけではなく、ざまざまな問題や事情が絡んでくるとは思いますが、分かりやすく説明するために、極力シンプルな形で財産圧縮の方法とその効果を紹介していきます。
ファクタリングで得た現金で有利子負債を返済する
どのように財産を圧縮するかというと、有利子負債、つまり借入金を圧縮することで財産圧縮を行います。そのためまずはファクタリングで得た現金で、借入金の返済を行いましょう。
そのためには、企業としての財政状況が良好なタイミングで、余裕を持ってファクタリングを利用する必要があります。ある程度利益が安定して出ており、資金面で不安がないというタイミングで利用するのがいいでしょう。
ファクタリングを利用し負債資本倍率や自己資本比率が改善される
結論
ファクタリングを利用し、有利子負債を返済すると実際にどうなるのか。簡単な数字で見てみましょう。
まず、条件として以下の条件の企業であるとします。
総資産 5,000万円
有利子負債 4,000万円
自己資本 1,000万円
この時点での負債資本倍率は、4,000万円÷1,000万円で4.0となります。同じく自己資本比率は、1,000万円÷5,000万円で20.0%です。
この状況の企業が、ファクタリングで1,000万円の現金を手にし、その1,000万円を有利子負債の返済に充てたとしましょう。そうなると、上記の数字は次のように変わります。
総資産 4,000万円
有利子負債 3,000万円
自己資本 1,000万円
こうなると、負債資本倍率は3,000万円÷1,000万円で3.0に、自己資本比率は1,000万円÷4,000万円で25.0%となります。負債資本倍率は下がり、自己資本比率が上がるため、対外的なイメージとしては、より健全な経営ができている企業というイメージになります。
負債資本倍率が下がり、自己資本比率が高くなれば、金融機関等の資金融資審査の場合も、審査に通りやすくなり、資金融資を受けやすくなります。これがファクタリングによる財産圧縮の大きな効果です。
ファクタリングで財産圧縮するメリット
財産圧縮は、企業としての総資産が減少するという意味で、ネガティブに捉えられるケースがある反面、他社からの評価が高くなるという側面もあります。ファクタリングで財政圧縮を行うと良い側面、メリットについて説明していきましょう。
資金融資審査などで有利になる
まずは上記の通り、資金融資審査の場面で流離になる可能性が高いという点です。金融機関等からの資金融資は、企業経営をしていく以上なくてはならないものです。その審査で有利になるのは大きなメリットと言えるでしょう。
例えば近い将来事業拡大のため、新たな設備投資を考えていたり、新たな支店や倉庫などを確保する予定があるなど、大きな支出が控えている企業は、資金融資を考えているでしょう。
その前にファクタリングを利用し、財産圧縮を行えば、資金融資審査においても有利な状況を作り出すことが可能。資金融資を受けることができれば、事業拡大など予定通りの経営が目指せるかと思います。
また、特に銀行形のファクタリング会社を利用した場合、その親会社である銀行にもファクタリングの利用状況は共有されるため、融資審査においてあまり有利にはならないとも言われています。ただし、経営状態が良好な中でのファクタリングの利用に関しては、こうした心配はあまり必要ないでしょう。
ファクタリングの利用が融資審査に影響を与えるとすれば、それはファクタリングをしないと経営が回らない状況であるというのがマイナスに影響するのであって、余裕がある中で利用したファクタリングは、融資審査に影響を与えないからです。
近い将来金融機関からの融資を考えている企業は、その前にファクタリングで財産圧縮をし、より審査で有利になるようにしておくのがおすすめです。
経営状況が改善され取引にも好影響が出る可能性がある
財産圧縮により、企業としての資産が少なくなるということは、悪影響ばかりではありません。財産圧縮によって、企業の資産は圧縮されますが、反対に言えばより少ない資産でしっかりと利益を挙げている企業ということにもなります。
企業としての評価が上がれば、当然取引先からの印象も良くなり、より取引が行いやすくなる、新規の取引が成立しやすいなどのメリットが考えられます。
ファクタリング・財産圧縮のまとめ
ファクタリングには急ぎ現金を確保するという利用法だけではなく、自社の会計情報を健全化するという利用法もあります。しっかりと利益が上がっており、資金面でも問題がないという状況で、財産圧縮を目的として利用するというのが方法のひとつ。
財産圧縮を行うことで、負債資本倍率や自己資本比率が良化し、金融機関等から資金融資を受ける際の審査で有利になることが考えられます。
このようにファクタリングにはさまざまな活用法がありますので、まずはファクタリングという資金調達法の基本をしっかりと身に着け、自社にとってもっとも有効に利用できる要に考えておくといいでしょう。