ファクタリングFactoring

2024.03.16

でんさいファクタリングとは?特徴やメリット・デメリットを解説

「でんさいの意味がよくわからない」
「でんさいとファクタリングとでんさいファクタリングの違いって?」

同じ売掛債権に関するサービスであるということもあり、でんさいとファクタリングの違いをハッキリ理解していないという方もいらっしゃるかと思います。

そこにでんさいファクタリングという新たなサービスが加わり、さらにわかりにくい状況になっています。

この記事ではでんさいファクタリングに注目して、でんさいとの違い、ファクタリングの違いなどを中心に詳しく解説していきたいと思います。

でんさいとは?

でんさいとは正式には「電子記録債権」のことを指し、全国の銀行や信用金庫が設立した「株式会社 全銀電子債権ネットワーク」の略称でもあります。

イメージとしてはこれまで商取引で多く利用されてきた手形に代わる決済手段ですが、手形以上に利用しやすくなっているのが特徴です。

でんさいを利用するには、上記の株式会社が提供する「でんさいネット」に加入する必要があり、加入には審査が行われます。

納入企業、支払い企業の双方がでんさいネットに加入している必要がありますが、両社が加入していればネット上の債権を利用しての取引が可能となります。

一括ファクタリングとは?

でんさいファクタリングを説明する前に、「一括ファクタリング」という仕組みについて簡単に説明しておきましょう。と、いうのも、でんさいファクタリングは厳密にいえば「でんさい一括ファクタリング」を指すことが多いためです。

そのために一括ファクタリングの仕組みを理解しておきましょう。

一般的にファクタリングといえば、商品やサービスを納入した企業、つまり売掛債権を持つ債権者である企業が、その債権をファクタリング会社に譲渡するというサービスを指します。

しかし一括ファクタリングを契約するのは、債権者(納入企業)ではなく、債務者である支払い企業となります。支払いをする企業が、すべての債務に関して一括で支払えるようにするのが一括ファクタリングです。

一般的に売掛金は、債権者(納入企業)との契約に則り、売掛金を現金で支払ったり、手形で支払ったり、また現金で支払うにも相手に合わせて支払先の金融機関が違ったりといろいろな形で支払うことになります。そのための経費や、手形を発行する際の手間、印紙税なども逐一必要です。

この手間や経費を抑えるのが一括ファクタリング。債務者が発生した売掛債務に関してすべて金融機関にその管理を委託し、委託を受けた金融機関が、支払期日までに書く納入企業(債権者)に対して支払いを行います。

債務者(支払い企業)は1ヶ月単位で、金融機関が支払う売掛金を一括で入金。合わせて手数料も金融機関に支払います。

このシステムにファクタリングという名称がついているのは、債権者である納入企業が、希望すればファクタリングを利用できるからです。一括ファクタリングを提供している金融機関が、納入企業が希望した場合は売掛金入金期日前に現金を支払ってくれるということになります。

形としては、債務者、債権者、金融機関による3社間ファクタリングができるということです。

債権者(納入企業)がファクタリングを希望した場合、一般的には審査が必要ですが、そもそも債務者と一括ファクタリング契約を結んでいる時点で審査に落ちるということはありません。金融機関は債務者に支払い能力があると判断しているからこそ一括ファクタリングの契約を結んでいるわけですから当然でしょう。

債権者としては比較的安い手数料でファクタリングを利用できるということになります。

でんさいファクタリングとは?

ここまででんさいと一括ファクタリングについて解説してきました。読んでいる方のご想像通り、でんさいと一括ファクタリングを組み合わせたものがでんさいファクタリングとなります。

管理する債権がでんさいとしてまとめられることで、管理や債権譲渡のデータもすべて電子上で一括管理することができるようになり、利用する企業にとっても、金融機関にとっても管理に関するコスト削減や、人的ミスなどを減らすことができるようになります。

債務者(支払い企業)が契約する

でんさいファクタリングを利用するかどうかを決めるのは債務者(支払い企業)です。

債権者(納入企業)は、債務者(支払い企業)がこのでんさいファクタリングを利用している場合に限り、その債務者に対する売掛債権を気軽にファクタリングすることができるようになります。

でんさいファクタリングのメリット

でんさいファクタリングのメリットは、でんさいのメリットと一括ファクタリングのメリットを合わせたようなものと考えて間違いありません。

債務者のメリットとしては、でんさいを利用するため、手形の発行に関する手間やコスト削減ができますし、債務の管理などの業務も一括で金融機関に任せることができます。

債権者のメリットとしては、ファクタリングですので償還請求権がないという点。仮に債務者が倒産するなどといったことがあっても、支払いが滞ることはありません。また、希望すればファクタリングとして早期現金化もできますので、資金繰りの改善にも利用できます。

そのほかのメリットにも触れておきましょう。

債権者(納入企業)がでんさいネットの加入していなくても利用可能

でんさいのサービスを活用するためには、原則債権者も債務者もでんさいネットに加入している必要があります。

しかしでんさいファクタリングの場合、契約を申し込む債務者(支払い企業)はでんさいネットに加入する必要がありますが、債権者(納入企業)はでんさいネットに加入する必要はありません。

でんさいネットへの加入は、審査があるなど手間がかかるものですが、その手間が不要であるというのは債権者にとってはメリットといえるでしょう。

通常のファクタリングよりも手数料は安い傾向

上記の通り、債務者がでんさいネットを利用している場合、債権者はその債務者に対する売掛債権をファクタリングすることができます。

このファクタリングに関しては、原則3社間ファクタリングとなるため、通常の2社間ファクタリングと比較して手数料は安くなります。

また、でんさいネットの契約をしているということは、それだけ金融機関が債務者(支払い企業)の支払い能力を信頼しているということ。支払い企業の支払い能力が高いということは、当然手数料も安くなるということになります。

つまり、債務者(支払い企業)がでんさいネットを利用している場合、債権者(納入企業)はより有利な条件でファクタリングが申し込めるということになります。また、ファクタリングが不要であれば、申し込まなければ通常通りの支払いとなり、手数料も不要となります。

でんさいファクタリングのデメリット

債務者にも債権者にもメリットが大きいでんさいファクタリングですが、当然利用にはデメリットも存在します。その点はしっかり理解しておく必要があるでしょう。

提供している会社が少ない

でんさいファクタリングに関しては、でんさいのサービスと、ファクタリングのサービスを同時に提供できる会社しか提供することができません。つまり、でんさいファクタリングのサービスを提供しているのは金融機関、特に銀行に限られるということになります。

この先銀行以外の業種が参戦する可能性はありますが、2024年現在、でんさいファクタリングのサービスを提供しているのは、大手都市銀行や一部地方銀行のみとなっています。現状中小企業など多くの企業が自由に利用できるサービスではないというのがデメリットとなります。

また、でんさいファクタリングを申し込めるような大きな企業でも、サービスを提供する機関が少ないため、よりよい条件を探すということも難しくなります。

まとめ

売掛債権に関するサービスとして、でんさいやファクタリングがあり、さらにそのふたつを組み合わせたようなでんさいファクタリングというサービスもあります。

でんさいファクタリングは、一般的なファクタリングと違い、売掛債権を持つ債権者ではなく、売掛先である債務者が利用するサービスです。

でんさいを利用したファクタリングのため、債権者がファクタリングの利用を希望した場合、比較的好条件でファクタリング契約ができる傾向にあります。

でんさいファクタリングが利用できる企業の方で、資金繰りに関して悩んでいるという経営者の方は、でんさいファクタリングの利用も検討してみるといいでしょう。

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