「ファクタリングとベンチャーキャピタルって何が違うの?」
「どっちを利用するのが賢いの?」
まだ株式上場をはたしていないベンチャー企業などにとって、資金調達は大きな課題です。そんな資金調達法には、通常の資金融資以外にも、ファクタリングやベンチャーキャピタルといった方法があります。
では、ファクタリングとベンチャーキャピタルにはどのような特徴があるのか?そしてどちらが資金調達法として優秀なのかなどについて解説していきたいと思います。
ファクタリングとは?
ファクタリングとベンチャーキャピタルを比較するために、まずはファクタリングの仕組みや特徴に関して簡単に説明していきます。
売掛金を早期現金化する
ファクタリングは手元にある売掛債権をファクタリング会社に譲渡することで、売掛金を早期現金化するという資金調達法です。売掛債権さえあればどの企業も利用することができる手軽さがポイントです。
また、ファクタリングでは審査が行われますが、この審査も金融機関の融資審査と比較すると通りやすく、この点でも利用しやすい資金調達法といえるでしょう。
利用しやすく現金化が早い
上記の通り、ファクタリングの大きな特徴は、利用しやすいこと。さらに現金化が早いという特徴もあります。
ファクタリングの場合、申し込んでから現金が手に入るまで、およそ2~3日程度。遅くとも1週間程度で現金が手に入ります。また、近年では申し込み即日に現金化に対応するファクタリング会社も増えており、現金が必要なシーンで即対応できる資金調達法となっています。
売掛金額の範囲内しか現金化できない
ファクタリングのデメリットもいくつかありますが、特にベンチャーキャピタルによる投資を受けるということと比較する場合、ピックアップしておきたいのが手に入る金額に関してです。
ファクタリングは売掛債権を売却し、その売却益として現金を受け取ります。受け取る現金は、売掛金から手数料や諸経費などを差し引いた金額となります。売掛債権の額面金額以上の現金を手にすることはできませんので、調達できる資金に限界があるというデメリットがあります。
ベンチャーキャピタルとは?
続いてはベンチャーキャピタルに関して簡単に解説していきましょう。ここではベンチャーキャピタルを受けるベンチャー企業の視点で解説していきましょう。
ベンチャー企業に対する投資
ベンチャーキャピタルとは、投資家が、ベンチャー企業に対し投資を行うというもの。また株式上場前のベンチャー企業の株式を投資家などが購入するというものです。
ベンチャー企業は投資家からの資金融資を受け、その資金を事業に活用できます。その結果、ベンチャー企業の業績が上がり、株式市場に上場した時に投資家は持っている株式を売却し、その売却益を得るというものです。
返済義務がない
ベンチャーキャピタルは投資家に株式を売却することで、資金調達を受けるという方法です。受け取ることができる資金は、あくまで投資によりものですので、当然返済する義務がありません。
企業の資金調達となると、金融機関から資金融資やビジネスローン、商工ローンなどが中心ですが、こういった資金調達法はすべて貸金契約ですので、当然ですが金利とともに返済する義務が生じます。
これはベンチャーキャピタルとファクタリングに共通する部分ですが、返済義務が生じませんので、その点では利用しやすい資金調達法といえるでしょう。
投資家や投資会社がいないと成立しない
ベンチャーキャピタルは投資家などから資金を投資してもらう資金調達法です。そのため大前提として、自社に対して投資をしてくれる投資家や投資会社などが存在しないと、そもそも利用できないということになります。
投資を受ける金額などにもよりますが、投資家からみれば投資した資金が回収できるかどうか不透明な、非常にリスキーな部分がありますので、投資家がすぐに見つかるというものでもありません。
ベンチャーキャピタルは利用することができれば大きな資金調達法ですが、利用できる企業はある程度限られているという問題があります。
経営方針などを受け入れる必要がある
投資の形で資金融資を受けるため、返済の義務が生じないベンチャーキャピタルですが、デメリットとしては経営方針などが自由に決められないという点が挙げられます。
投資家に株式を購入するだけではなく、株主となるため、当然ですが経営方針の決定権を持ちます。自社でありながら経営方針に関しては、投資家の方の意見に従う必要があるため、自分で思い描いたような経営はできなくなる可能性があります。この点がデメリットといえるでしょう。
どちらが資金調達としては優秀か?
ファクタリングとベンチャーキャピタルは全く違う資金調達法です。共通する部分は返済の義務がないという点のみで、本質は大きく違います。
では、ベンチャー企業の方が企業経営していく中で、どちらの方法が資金調達法として優秀なのか?この点に関して簡単に説明していきます。
上の質問に先に答えを示しますが、どちらがより優秀ということはありません。どちらにも特徴があり、その特徴を考えると、状況によって使い分けるというのが最適解といえるでしょう。
どんな状況でどんな資金調達法を選ぶべきか。このあたりを簡単に解説していきます。
一時的な資金繰り改善ならファクタリング
ファクタリングは売掛金を早期現金化するという資金調達法です。現金化のスピードが早く、しかも気軽に利用できるというのが大きなメリットです。
このメリットを考えると、ファクタリングを利用する状況は、急にある程度の現金が必要になったケース。つまり一時的な資金不足に対し、非常に効果が大きい資金調達法ということができます。
一方ファクタリングの利用が推奨できない状況は、例えば事業拡大をする場合や、新規事業に参入する場合、また製造業で新たな工場を建設する場合や、新規で支店・支社を開設する場合などでしょう。
ファクタリングは素早く現金が手にできる反面、売掛金以上の現金は調達できないというデメリットがあります。より多くの事業資金が必要な場面では有利な資金調達法とは言えないでしょう。
事業拡大や企業の成長を目指すならベンチャーキャピタル
ベンチャーキャピタルは、投資家からの投資を募り、事業資金を投資してもらう資金調達法です。利用する条件としては、なにより投資家が「投資したい」と思うような事業を行うなどの必要があります。
ベンチャーキャピタルを利用するのに適した状況とは、ファクタリングとは違い多くの資金を必要とするケース。投資金額に関しては状況次第ではありますが、少なくとも売掛金の金額以内といったような上限は設定されません。
これから新規事業を始める、また事業拡大を目指すなど、より多くの資金を必要とするシーンでぜひ利用したい資金調達法となります。
ただし、急ぎ現金が必要なシーンなどではベンチャーキャピタルは利用しにくい資金調達法となります。何しろ資金を提供してくれる投資家が必要になるため、まずは投資家を探す必要があり、さらにその投資家に投資をしてもらうためのプレゼンテーションも必要になります。
どうしても投資までには一定の時間が必要となり、即効性という点ではファクタリングの大きく劣る資金調達法となります。
まとめ
企業の資金調達、特にまだ開業間もないようなベンチャー企業の資金調達は大きな課題といえます。そのためには、いろいろな方法を手段として持っておくのが重要です。
金融機関からの資金融資はもちろん、ベンチャー企業ならではの資金調達法に、ベンチャーキャピタルという方法があります。株式上場前に投資家などに株式を販売し、資金を手にする方法です。
こうしたベンチャーキャピタルや、ファクタリングといった資金調達法を駆使し、しっかりと資金繰りを改善しながら事業を展開していくのが重要。そのためにもベンチャーキャピタルやファクタリングなどの特徴、メリット、デメリットなどをしっかりと理解して、状況に合わせて利用できるようにしておきましょう。