「ファクタリングと日本政策金融公庫どっちが有利?」
「資金繰りの改善ができるのはどっち?」
企業経営者が取り得る資金調達の方法にはいろいろな方法があります。その中でも特に有利に利用できると言われているのが日本政策金融公庫からの融資やファクタリングの活用です。
ではなぜこれらの資金調達法が有利なのか?そして日本政策金融公庫とファクタリングであれば、どちらが資金調達に有利なのか?こういった点に着目し、具体的に解説していきたいと思います。
日本政策金融公庫とは?
日本政策金融公庫とファクタリングの違いを知るために、まずはそれぞれに関して簡単に説明していきたいと思います。
まずは日本政策金融公庫から解説していきましょう。
財務省が管轄する特殊会社
日本政策金融公庫は、財務省が直接管轄する特殊会社であり、言い換えれば公的な金融機関となります。
企業などに融資を行う金融機関としては、銀行などがありますが、銀行にしても民間企業です。民間企業である以上、利益を上げるために営業を行っており、企業に対する資金融資に関しても、何より利益が出るかどうかが最優先となります。
銀行のような民間企業による資金融資の審査が厳しいと言われるのはこの利益追求の部分が大きく関係しています。銀行は貸し付けを行い、その金額に金利をかけて回収します。つまり、自行が貸し付けた以上の金額を回収できなければ、貸し付ける意味がないということになります。
そのため資金融資のための審査では、申し込んだ企業の現状の経営状況だけではなく、長期的に見て返済を問題なく続けられるかどうかが審査されます。事業計画書や、業務改善計画書など、多くの書類の提出が求められるのは、長期的な視野での審査のためです。
一方日本政策金融公庫は公的機関のため利益追求をする必要がありません。主な目的は日本国内での雇用創出や地域の活性化という部分。民間の金融機関とはその目的が違うことが大きな特徴です。
一般的に見て銀行等の民間金融機関の融資と比較すると、審査に通りやすく、また金利などの貸し付け条件も企業に有利な条件となることが多くなります。
好条件といえども貸金契約となる
銀行等の民間金融機関と比較すると、より好条件で融資を受けることができる日本政策金融公庫。その目的が違うため、仮に銀行から融資を断られた企業であっても、日本政策金融公庫からは借り入れることができたというケースも少なくありません。
非常に利用しやすい日本政策金融公庫ではありますが、資金融資に関してはあくまでも貸金契約となります。貸金契約ですから当然返済の義務はありますし、一定程度の厳しさの審査が行われることは間違いありません。
銀行よりも借り入れができる可能性は高いものの、貸金契約のため返済の義務があり、自社の信用情報にも影響を与えるのが日本政策金融公庫の融資ということになります。
ファクタリングとは?
続いてファクタリングの基本的な仕組みや、特徴に関して解説していきましょう。ファクタリングにもいろいろな契約方法がありますが、ここではその基本となる債権買取型のファクタリングを中心に解説していきます。
売掛金を早期現金化する
ファクタリングという資金調達法は、企業が持つ売掛債権をファクタリング会社に売却し、売掛金を入金期日前に現金化するという資金調達法です。
日本国内においても商取引は掛け取引が基本です。そのため多くの企業はある程度の売掛債権を持っており、この債権を権利の形で保有するのではなく、早期に現金化することで資金繰りを改善するというのが主な目的です。
早期現金化という点に注目すると、現金を手にするまでのスピード感は、日本政策金融公庫の比ではありません。日本政策金融公庫に融資を依頼した場合、審査に通過して融資を受けられたとしても、申し込んでから2週間~1ヶ月程度は時間が必要です。
一方ファクタリングは申し込みから現金化までおよそ2~3日、早ければ申し込み即日に現金化ということも可能です。
とにかく急ぎ現金が必要な場合、即対応できる資金調達法ということになります。
貸金契約ではないため利用しやすい
上記の通りファクタリングは、売掛債権を売却し、その売却益として売掛金に準じた金額を受け取ることができる契約です。つまり貸金契約ではなく債権譲渡契約であるということになります。
貸金契約ではありませんので、当然利用した企業の信用情報にも大きな影響を与えません。ファクタリングを利用しても、その後の資金融資審査で大きく不利になるということはなく、この点でも非常に利用しやすい資金調達法ということができるでしょう。
資金調達にはどちらが有利?
日本政策金融公庫による融資とファクタリングによる資金調達。自社の資金繰りを改善し、より安定した経営状態を目指すにはどちらを利用するのが有利なのか?この点に関して考えておきましょう。
それぞれのメリットとデメリット
どちらが資金調達に有利かを考えるにあたって、まずはそれぞれを利用するメリットとデメリットを考えてみましょう。
日本政策金融公庫は上記の通り公的機関であり、利益を出すことを目的とはしていません。そのため融資に関する審査は銀行などよりも緩い傾向にあり、また契約条件である金利も安い傾向にあります。
利用企業から見ると、より好条件で資金を借り入れることができるというのが大きなメリットです。また、その使途により、ある程度高額な融資も希望することができますし、何より起業前や起業直後など、また売掛債権がない状態でも融資を受けられる可能性があるという点がメリットでしょう。
一方デメリットは金利が安いとはいえ貸金契約であるという点。貸金契約である以上、借り入れることができる金額には限度がありますし、長期間にわたって返済していく義務も生じます。
もうひとつ申し込みから融資までにある程度時間がかかるというデメリットもあります。急ぎ現金が必要といった状況では、利用しても対応が間に合わない可能性があるという点はデメリットといえるでしょう。
ファクタリングのメリットは、何より貸金契約ではないため、返済の義務もありませんし、信用情報にも影響がないという点です。仮に申し込んだ企業が債務超過の状態でも、赤字経営でも、売掛先の信用度が高ければ利用できる可能性があり、この点は大きなメリットとなります。
また、現金化スピードの早さも大きなメリットです。急な支出にも十分対応できるスピード感で現金が手にできるのは経営者としてはありがたい限りといったところでしょう。
反面デメリットとしては、売掛債権がないと利用できないという点と、売掛金以上の金額を手にすることができないという点。創業間もない企業など、まだ売掛債権がない状況ではファクタリングを利用できません。また、ファクタリングで手にできる現金は売掛金の金額以下という形になります。必ずしも資金繰り改善に必要な金額を手にすることができるとは限らないというのはデメリットと言えるでしょう。
目的によって使い分けるのがベスト
日本政策金融公庫にもファクタリングにも、それぞれメリットとデメリットがあります。上手に利用するという点では、こういったメリットとデメリットをしっかりと把握したうえで、自社にとってどちらを選択するのがベストかを判断して利用するのがベストということになります。
もっと言えば、日本政策金融公庫やファクタリングに限らず、いろいろな資金調達法を総合的に比較検討し、その中でベストのものを選ぶのがベストでしょう。
まとめ
この記事では日本政策金融公庫とファクタリングに関して、その特徴やメリット、デメリットを紹介してきました。あくまでも大まかなイメージとしてですが、根本的な資金繰り改善に役立ち、長期的な視野で利用するのであれば日本政策金融公庫の融資、その瞬間の現金不足に対し、スピード感を持って対応するのであればファクタリングを利用するのがおすすめといったところでしょう。
いずれにせよいろいろな資金調達法の特徴を知り、自社の状況に合わせて上手に使い分けるのが経営安定への最善策と思われますので、しっかりと知識を身に着けていきましょう。