ファクタリングFactoring

2024.03.13

ファクタリングを利用する前に知っておきたい基本的な構造

「ファクタリングって違法じゃないの?」
「ファクタリングを利用するメリットって?」

近年日本国内でも利用が広まっている資金調達法、ファクタリング。簡単に言ってしまえば、売掛債権を譲渡することで、売掛金を早期現金化するという方法です。

とはいえ、これだけの情報ではファクタリングを利用するメリットや、利用する際の注意点などは伝わりにくいかと思います。また、ファクタリング契約に関する訴訟案件も存在するため、ファクタリング自体が違法行為、グレーな行為であるというイメージを持つ方もいらっしゃるでしょう。

そこでこの記事では、ファクタリングの基本的な構造から、実際にファクタリングを利用する際のポイントや注意点までしっかりと解説していきます。

ファクタリングの基本構造と特徴

まずはファクタリングの基本構造を解説していきましょう。

商取引においては掛け取引が一般的です。取引先から発注を受け、先に商品やサービスを納品。納品時に請求書などを発行し、その後対価を受け取るという流れです。このつまり、商品やサービスを納品してから、実際に支払いが行われるまでにタイムラグが発生するということ。

この納品済みで支払い待ちとなる対価を売掛金と呼び、この売掛金を受け取る権利を売掛債権と呼びます。

商取引に関する当たり前のことを書きましたが、この売掛債権を持っていることこそがファクタリングを利用する際の条件となります。

売掛債権を譲渡して売掛金の早期現金化を図る

ファクタリングの基本的な構造は、売掛債権をファクタリング会社に譲渡して、売掛金を入金期日前に現金化するというものです。

ファクタリングの利用を希望する企業は、手元にある売掛債権をファクタリング会社に持ち込みます。ファクタリング会社は、その売掛債権に対して審査を行います。審査の結果、契約するための条件(手数料やファクタリング対象金額など)をファクタリング会社が決めて、その結果を利用企業に通達。

提示された条件に問題がなければ、利用企業とファクタリング会社の間で契約が結ばれ、売掛金から手数料や諸経費などが差し引かれた現金が入金されるという流れとなります。

ファクタリング会社は、売掛債権を譲り受けることで売掛金の未回収リスクを負うことになりますが、その代わりに手数料を受け取ることができます。利用する企業は、手数料を支払うものの、売掛金の未回収リスクを回避することができます。

これがファクタリングの流れであり、基本的な構造となります。

比較的審査に通りやすい

上記の流れで行われるファクタリング契約ですが、利用する企業にとってメリットとなる特徴としては、まずは審査に通りやすいという点が挙げられます。

同じ資金調達の方法としては、資金融資という方法があります。金融機関から資金融資を受ける際にも、当然ですが融資審査が行われます。融資審査で審査されるのは返済能力です。貸し付けを行う以上、その後長期間にわたって返済する必要があり、申し込んだ企業にその返済能力があるのかどうかというという点が、貸し付ける金融機関にとってはもっとも重要なポイントとなるからです。

融資審査では、長期的な視点での審査が行われるため、必要となる使用や計画書も多くなりますし、審査に通るのが難しくなります。

では、ファクタリング審査でもっとも重視されるのはどこか。それは、持ち込まれた売掛債権が現金化されるかどうかという点です。上で説明したファクタリングの流れを見てもわかる通り、ファクタリング契約とは売掛金が現金化されればほぼ問題なく契約が履行されるということになります。ファクタリング会社はこの点を重視します。

そうなると必然的に重視されるのは、ファクタリングを利用する企業の信用情報以上に、売掛金を支払う取引先の信用情報ということになります。極端に言ってしまえば、利用する企業が債務超過の状況でも、赤字経営の状況でも、取引先が大企業であったり公的機関であれば、ファクタリング審査には通過する可能性が高いということになります。

融資審査のような長期的な視点での審査が必要ないファクタリング審査は、通過しやすいという特徴があるということになります。

貸金契約ではない

ファクタリング契約は債権譲渡契約であり貸金契約ではありません。

多くの資金調達法は貸金契約となります。金融機関からの資金融資はもちろん、ビジネスローン、商工ローン、手形割引などはすべて貸金契約です。

資金調達のために貸金契約を結ぶと、当然ですが自社の信用情報に影響があります。どんな企業でも借り入れることができる金額には上限があり、その上限を突破してしまえば債務超過という状況に陥ってしまいます。

債務超過の状況に陥ってしまえば、それ以上融資を受けることは難しくなり、最終的には経営が行き詰まり、倒産という最悪の結果につながりかねません。

ファクタリングは貸金契約ではなく債権譲渡契約のため、利用しても原則信用情報に影響は与えません。バランスシート上でいえばオフバランス化が望めますので、むしろ健全経営を行っている企業であるという印象を他社に与えることも可能です。

急ぎ必要な現金を確保でき、しかも将来的に信用情報に影響を与えないというのが、ファクタリングを利用する大きな特徴といえるでしょう。

ファクタリングを利用するポイント

資金調達法でありながら、貸金契約ではなく、しかも審査にも通りやすいファクタリング。資金調達の方法で悩んでいる経営者の方の中にはぜひ利用したいと考えている方も多いかと思います。

そこで、そんなファクタリングを利用する、特にこれから初めて利用する方に知っておいていただきたい、ファクタリング利用のポイントをいくつか紹介しておきましょう。

初めて利用する場合は相見積もりがおすすめ

ファクタリングを初めて利用する場合、もしくは利用はしているものの、利用しているファクタリング会社を変更したいと考えているケースなどでおすすめしたいのが相見積もりです。

ファクタリングを利用する流れとしては、まずは売掛債権をファクタリング会社に持ち込み、審査を受ける必要があります。この審査の結果、契約条件が決定しますが、契約条件が決定したら必ず契約しなければいけないというわけではありません。

多くのファクタリング会社は、審査までは無料で対応していますので、このシステムを利用しましょう。

ファクタリング会社の変更、もしくは新規利用を考えている方は、気になるファクタリング会社をいくつかピックアップし、その複数社に対して同じ売掛債権で審査を申し込みしましょう。

複数社から審査結果を受け取ることで、各社の契約条件を比較検討することができ、その中から自社にもっとも有利な条件での契約をすることができます。

このように複数社から相見積もりを受け取るメリットはもうひとつあり、それが悪徳業者に引っかかる可能性を低くすることができるというもの。

ファクタリング会社の中には、ファクタリング会社の名を騙る悪徳業者が存在しています。悪徳業者は法外な手数料でファクタリング契約を迫ったり、ファクタリング契約に見せかけて、法外な金利での貸金契約を結ぶなどの行為を行います。

さらに、厳しい取り立てや業務の妨害、さらに企業の細かな情報をほかの悪徳業者に売りつけるなどの被害も考えられます。こうした被害に遭わないためにも、複数のファクタリング会社の契約条件を比較検討するのは重要なポイントとなります。

2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違い

もうひとつ、ファクタリングを利用する際、最初に決めておくべきポイントが、2社間ファクタリングにするか、3社間ファクタリングにするかというポイントです。

2社間ファクタリングは、ファクタリングを利用する企業と、ファクタリング会社の2社間で結ばれる契約、3社間ファクタリングはこの2社に加え、売掛先である取引先も含めた3社間で結ばれる契約となります。

2社間ファクタリングは、原則取引先にファクタリングの利用を知られることなく利用でき、しかも申し込みから現金化までが最速即日と非常に早いのがメリットです。

反面デメリットもあり、それが手数料の高さ。2社間ファクタリングの手数料相場は10~30%程度と言われており、3社間ファクタリングよりも不利な条件での契約となります。

3社間ファクタリングは2社間ファクタリングと比較すると手数料が安く、1~9%程度が手数料相場となります。これは利用する企業にとって大きなメリットでしょう。

デメリットはまず現金化のスピードが遅いという点。契約に3社の合意が必要なため、申し込みから現金化まで1~2週間程度かかることも珍しくなく、急ぎ現金が必要な場合には大きなデメリットとなります。

また、取引先にファクタリングの利用を知らせる必要があるという点もデメリットとなりかねません。取引先が「ファクタリングを利用するほど資金繰りに困っている企業である」という印象を持つと、後の取引に悪影響を及ぼす可能性があります。

こうしたメリットとデメリットを踏まえた上で、どちらの契約方法を選ぶのかを決定するようにしましょう。

まとめ

ファクタリングの利用は、金融庁など公的機関が推奨しているように、合法な資金調達法であり、比較的利用しやすい方法でもあります。

もちろん利用にはメリットもデメリットもありますが、その構造や特徴などを理解しておけば、メリットを最大限に生かし、デメリットをできるだけ小さくすることも可能です。

利用の際はまずファクタリングの構造を理解し、自社に最適な方法で利用できるように考えて利用しましょう。

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