ファクタリングFactoring

2024.02.28

買取り型ファクタリングで意識したい残りの条件

「ファクタリングって結局何?」
「ファクタリングは債権の買取り契約ってどういう流れになるの?」

ファクタリングは、売掛債権をファクタリング会社が買取りすることで、売掛金が早期現金化されるという資金調達法です。

ファクタリング契約において重要なのはやはり手数料。手数料以外の残りの条件に関してはその後に意識すべき項目となります。

この記事では買取り型のファクタリングの仕組みや流れ、そして契約の際に意識すべきポイントなどをまとめていきます。

買取り型のファクタリングの仕組み

ファクタリングにはいろいろな契約方法がありますが、もっともポピュラーな契約が、債権買取り型の契約です。この債権買取り型の契約には、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングという方法があり、それぞれ仕組みがやや違います。

まずは、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの仕組みや流れに関して解説しておきましょう。

2社間ファクタリングの仕組み

2社間ファクタリングとは、ファクタリングを利用する会社(利用企業)と、ファクタリング会社の2社の間で契約する買取り型ファクタリング契約です。もっとも利用されるケースが多い買取り型の契約方法であり、一般的に「ファクタリング」といえば、この債権買取り型の2社間ファクタリングのことを指します。

★債権買取り型の2社間ファクタリングの流れ
・利用企業がファクタリングしたい売掛債権をファクタリング会社に持ち込む
・ファクタリング会社で審査が行われる
・審査の結果契約条件が決定する
・契約条件に異存がなければ契約
・契約後、売掛債権の額面金額から手数料や諸経費、さらに掛け目を差し引いた残りの金額が現金として利用企業の口座に振り込まれる
・取引先から入金期日までに売掛金が利用企業の口座に入金される
・利用企業は掛け目を差し引き、残りの金額をファクタリング会社に送金する

一部耳慣れない言葉もあるかもしれませんが、まずは流れを把握しておきましょう。

2社間ファクタリングの場合、利用企業が自社のみの判断で利用することができ、取引先には連絡せずに利用できる買取り型の契約方法です。

ファクタリング自体は合法な債権買取り契約ですが、ファクタリングを利用するということは、それだけ資金繰りが厳しいという印象を他社に与えかねません。取引先にこうしたイメージを持たれると、今後の取引に悪影響を及ぼす可能性が考えられます。どんな企業でも、資金繰りが厳しい、経営状態が良くない企業との取引は、できれば避けたいところですので、それは当然でしょう。

こうした事情を考えると、取引先に知られず利用できる債権買取り型の2社間ファクタリングを利用する企業が多いというのも頷けるところです。

3社間ファクタリングの仕組み

3社間ファクタリングとは、上記の2社に加え、売掛先である取引先も含めた3社間で契約する方法です。

★債権買取り型の3社間ファクタリングの流れ
・利用企業がファクタリングしたい売掛債権をファクタリング会社に持ち込む
・ファクタリング会社で審査が行われる
・審査の結果契約条件が決定する
・契約条件に異存がなければ、契約する旨をファクタリング会社に通知する
・ファクタリング会社と利用企業の連名で、取引先に債権譲渡の通知が行われる
・取引先が債権譲渡を了承すると、正式に契約が締結される
・契約後、売掛債権の額面金額から手数料や諸経費、さらに掛け目を差し引いた残りの金額が現金として利用企業の口座に振り込まれる
・売掛金の入金期日までに、取引先からファクタリング会社に直接売掛金が入金される

ポイントは、契約の際に取引先に債権譲渡通知が必要となり、取引先の了承がないと正式な契約が行えないという点です。そのため申し込みから現金入金までにある程度時間が必要となるため、現金化スピードという点では2社間ファクタリングに劣るということになります。

ファクタリングを利用する場合のポイント

買取り型のファクタリングの仕組みや大まかな流れは上で解説した通りです。そこでここからは買取り型のファクタリング契約における注意点、意識したいポイントに関して詳しく解説していきましょう。

手数料に注目

ファクタリング契約において、もっとも注目すべきは手数料の存在です。極端に言ってしまえば、手数料さえきちんとチェックできれば、残りの項目には大きな差はありませんので、強く意識する必要はないともいえます。

ファクタリングの手数料には、法的な規制がありません。同じ資金調達法である貸金契約の場合、利息制限法という法律があり、どんな金融機関もこの利息制限法で定められた範囲内で金利を設定しなければいけません。

ファクタリングは債権の買取り契約ですので、金利というものは存在しません。そのためファクタリングの手数料は利息制限法の対象外であり、手数料はファクタリング会社ごとに独自に決定するということになります。

もちろん契約ですので、手数料以外の残りの条件も注目すべきではありますが、残りの条件に関しては、大きな差は出ないかと思います。手数料とは、利用企業にとっては純粋な損失となる部分ですので、まずは手数料を比較検討し、残りの項目に関しては参考程度に意識すればいいでしょう。

掛け目という考え方

手数料以外の残りの条件に関しては強く意識する必要はないと書きましたが、それでも意識するとすれば掛け目の存在でしょう。

掛け目とは、売掛債権の額面金額の、どの程度の割合でファクタリングできるかを定めた数値です。仮に額面金額100万円の売掛債権に対して、掛け目が90%の場合、ファクタリングの対象となるのは90万円ということになります。

この掛け目はファクタリング会社ごとに設定されますので、手数料と併せて比較検討する材料となります。

また、掛け目に関しては、単純に高ければいいというものではありません。

仮に100万円の売掛金に対し、掛け目80%で手数料10%となると、早期現金化されるのは72万円となります。掛け目90%で手数料10%であれば現金化されるのは81万円です。一見81万円の方が有利に見えますが一概にそうは言い切れません。

掛け目によってファクタリング対象外となった残りの金額に関しては、売掛金からそのまま自社が受け取ることになります。上の例でいえば、掛け目80%なら、売掛金のうち残りの20%である20万円はそのまま自社が受け取る形になります。

そう考えると、売掛金が入金された時点で受け取る金額は、掛け目80%&手数料10%の場合、72万円+20万円で92万円、掛け目90%&手数料10%の場合、81万円+10万円で91万円ということになります。つまり掛け目80%の方が、損失が少なくなるということです。

早期に必要な現金が、72万円で足りるのであれば、掛け目80%の方が自社にとっては有利な契約となりますので、しっかりとファクタリング対象外の残りの金額を見極めた上で契約するようにしましょう。

ファクタリング契約で意識したい点

ファクタリングの基本的な部分は上記の通り。基本的には手数料と掛け目に注目し、残りの部分に関しては、その後に意識するというのがポイントになります。

特に手数料の部分は、残りの部分よりも優先的に意識するべきでしょう。掛け目に関してはしっかりと計算し、自社が必要とする現金を確保できるのかどうかという点に注目。また、掛け目は高ければいいというものでもありませんので、手数料と併せて考えるようにしましょう。

残りの条件にも注目

ファクタリング契約では、手数料や掛け目以外にも意識したい残りの部分があります。実際に契約となった場合は、残りの条件にも十分注目してください。

特に注目すべきは、償還請求権の有無と、債権譲渡登記に関してです。

債権譲渡登記は2社間ファクタリングではほぼ付随される契約条件です。売掛債権の譲渡が行われた事実を登記所に登記し、公的な記録として残す契約です。これは債権の二重譲渡を防ぐという意味でも重要になります。

債権譲渡登記に関しては、ないのに越したことはありませんが、登記なしの場合手数料や掛け目が厳しくなる傾向にありますので、そこまでして拒否することもないでしょう。契約に盛り込む前提で注目したいのが、登記費用。登記は原則司法書士に委任して行われます。この登記費用にはファクタリング会社ごとに差が出ますので、ここは注目しておきましょう。

償還請求権とは、仮に売掛金が未回収となった場合、一度譲渡した債権を利用企業が買い戻さなければいけないという契約。

ファクタリング契約は、この償還請求権のないノンリコース契約が原則です。契約書に償還請求権が付随されている場合は、売掛債権を担保とした貸金契約となりますので、付随されていないことを十分に確認した上で契約しましょう。

まとめ

ファクタリングとは、売掛債権の買取り契約です。契約においては注目すべきポイントがいくつかありますが、中でも重要になるのが手数料と掛け目。極端な話それ以外の残りのポイントはそこまで重視する必要はないといってもいいほどこの2点が重要になります。

ファクタリングを利用する際は、可能であれば複数のファクタリング会社に審査をしてもらい、もっとも好条件で契約できる会社を探しましょう。

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