診療報酬ファクタリング
タイトル:26文字
ディスクリプション:159文字
本文:3,794文字
総文字数:3,979文字
★キーワード出現率:診療報酬2位、ファクタリング1位
【タイトル】
診療報酬ファクタリングを利用するメリットとデメリット
【ディスクリプション】
一般企業は売掛債権でファクタリングを利用できますが、売掛債権を持たない業種はファクタリングは利用できないのか?売掛債権を持たない業種の中でも、特に注目したいのが病院などの医療機関です。こうした医療機関は診療報酬債権を利用した診療報酬ファクタリングの利用が可能。そんな診療報酬ファクタリングに関して解説していきましょう。
【リード】
「診療報酬ファクタリングは誰でも利用できる?」
「普通のファクタリングと何が違うの?」
一般企業を経営している方などにとっては、診療報酬ファクタリングはイメージしづらいサービスかもしれません。そんな診療報酬ファクタリングは一般的なファクタリングとは何が違うのか?どのようなサービスなのか?という点に関して解説していきましょう。
診療報酬ファクタリングとは?
一般的にファクタリングと言えば、企業が手元にある売掛債権をファクタリング会社に譲渡することで、売掛金の早期現金化を図る資金調達法として知られています。
そんなファクタリングにはいろいろな契約方法があり、中でも売掛債権をあまり持つことがない、歯科医院や病院といった医療機関が利用できるのが診療報酬ファクタリングとなります。
まずは診療報酬ファクタリングの基本を紹介していきましょう。
売掛債権ではなく診療報酬債権を譲渡
医療機関は患者を診療し、その報酬をその場で患者から受け取っています。これだけを見ると債権を持たないように見えますが、医療機関で患者が支払っているのは、診療報酬の自己負担分のみです。
基本的に患者は、保険を利用して診療を受けます。現状では社会保険も国民保険も、自己負担率は3割ですので、患者は診療報酬の内3割分だけを診療時に支払うことになります。
医療機関は診療報酬の残り7割を、国民健康保険団体連合会などから受け取る形になりますが、この保険負担分に関しては、1ヶ月分をまとめて請求し、原則2ヶ月後に支払われる形になっています。
医療機関がファクタリングで利用できるのは、診療報酬の7割にあたる保険適用分。各保険団体に請求する部分を診療報酬債権と呼び、この診療報酬債権を利用してファクタリングをすることになります。
契約は3社間ファクタリングとなる
一般的な債権買取型のファクタリング契約には、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがあります。
2社間ファクタリングの方がスピード感がある契約が可能ですが、その分手数料は高めの傾向にあり、3社間ファクタリングは現金化まで一定の期間が必要になりますが、その分手数料相場は安くなります。
診療報酬ファクタリングは原則3社間ファクタリングとなります。
一般的な売掛債権買取型のファクタリングの場合、3社間ファクタリングだと取引先にファクタリングを利用することを通知し、契約に参加してもらう必要があります。ファクタリング自体に違法性はないものの、取引先には「ファクタリングを利用するほど資金繰りが厳しい会社」という印象を与えかねません。
資金繰りの厳しい企業とは、取引を継続したくない、拡大したくないというのが企業の一般的な考え方。そのため、3社間ファクタリングを利用することで、後の取引に悪影響を及ぼす可能性が否定できません。
一方診療報酬ファクタリングの場合、取引先は健康保険団体です。仮にファクタリングを利用しようとも、後の取引に影響があるわけではなく、関係性は変わりませんし、取引の内容も変わることはありません。
診療報酬ファクタリングでは、3社間ファクタリングを利用するデメリットが少なく、その分メリットが大きいということができるでしょう。
診療報酬ファクタリングのメリット
診療報酬ファクタリングは、一般的な売掛債権買取型と基本的には同じ構造での契約となります。
医療機関は手元にある診療報酬債権をファクタリング会社に持ち込み、審査を受けます。審査の結果、契約条件が決定し、条件に問題が無ければ契約に進みます。契約には健康保険団体にも参加してもらう必要があるので、健康保険団体にファクタリングを利用する旨を通知して契約を行います。
契約成立後、診療報酬債権の額面金額に合わせた現金がファクタリング会社から入金され、健康保険団体から支払われる診療報酬は、直接ファクタリング会社に入金されます。
そんな診療報酬ファクタリングを利用するメリットに関して解説していきましょう。
診療報酬が約1ヶ月半ほど早く現金化できる
診療報酬請求を健康保険団体に出した場合、実際に診療報酬が入金されるのは2ヶ月後になります。この間医療機関は診療報酬の7割が受け取れないということになり、医療機関によっては経営が厳しくなるケースもあります。
医療機関は使用している機器も高額なケースが多く、こうした医療機器の入れ替えやメンテナンスなどが必要になると、一時的に大きな現金が必要になるもの。こうしたケースでは特に現金不足が懸念されます。
診療報酬ファクタリングは3社間ファクタリングですので、申し込みから現金化まで10日~2週間ほどの時間は必要になりますが、それでも通常よりも1ヶ月以上早く現金が手に入ることになります。
早期に現金が必要な場合、非常に利用しやすいサービスといえるでしょう。
審査に通りやすい
ファクタリングの審査は、原則審査に通りやすい資金調達法と言われています。それでも審査に通過する割合は70%とも80%とも言われており、必ず審査に通過できるわけではありません。
この審査に関してですが、診療報酬ファクタリングは一般的なファクタリングよりも審査に通過しやすいというメリットがあります。
ファクタリングの審査で重視されるのは、申し込んだ企業ではなく、取引先の信用度です。持ち込んだ債権の売掛金が現金化されるかどうか、きちんと期日に支払われるかどうかがもっとも重視されます。
その点診療報酬債権は、取引先が健康保険団体です。公的機関に近い性質を持ち、日本の健康保険制度の根幹をなす機関が取引先のため、売掛金(診療報酬)が支払われない、支払いが遅れるというケースはまず考えられません。
取引先の信用度という点では非常に高く、さらに審査に通りやすい3社間ファクタリングでもあるため、審査の通過率は非常に高い契約といえるでしょう。
手数料が安い傾向にある
繰り返しになりますが、診療報酬ファクタリングは3社間ファクタリングです。そのため手数料相場も安くなるというメリットがあります。
一般的な売掛債権のファクタリングの場合、2社間ファクタリングで手数料は10~30%程度、3社間ファクタリングで1~9%が相場となります。
3社間ファクタリングは、取引先も契約に参加するため、売掛金の未払いリスクが低く、その分手数料設定も安くなる傾向にあるわけです。
診療報酬債権も売掛金(診療報酬)の未払いリスクは限りなく低いため、当然ですが手数料相場は安くなります。ファクタリングにおける手数料は、利用企業(医療機関)にとって純粋な損失となる部分ですので、その手数料を安く抑えることができるのは大きなメリットといえるでしょう。
診療報酬ファクタリングのデメリット
診療報酬ファクタリングには、手数料が安く審査に通りやすいというメリットがあります。しかしメリットがある以上、反面デメリットもあるもの。そんな診療報酬ファクタリングのデメリットに関しても説明しておきましょう。
請求した診療報酬全額がファクタリング対象にはならない
診療報酬の請求は、全額が必ず支払われるわけではないという特徴があります。医療機関が書類とともに請求を出しますが、請求した金額通りに支払いが行われるわけではありません。健康保険団体が精査を行い、診療報酬として正しく請求されている分のみが支払われます。
基本的にはほぼ全額が支払われますが、全額が必ず支払われるわけではないということもあり、ファクタリングの対象となるのは額面金額の80~85%程度。この点はデメリットといえるかもしれません。
ちなみにファクタリング対象外となった金額に関しては、健康保険団体からファクタリング会社に入金された後、ファクタリング会社からそのまま入金されますので、大きな損失はありません。
対応しているファクタリング会社が少ない
診療報酬ファクタリングに関しては、対応しているファクタリング会社がある程度限定されるというデメリットがあります。
一般的な売掛債権のファクタリングと違い、多くの企業が利用できるサービスではないため、対応しているファクタリング会社も多くはありません。そのため複数のファクタリング会社から、もっとも条件のいいファクタリング会社を選ぶというのが難しいケースがあります。
とはいえ、診療報酬ファクタリング自体、比較的好条件で契約できるケースが多いファクタリングですので、大きなデメリットではありませんが、あまり選択肢がないという点ではある程度デメリットといえるでしょう。
診療報酬ファクタリングのまとめ
一般的な企業が売掛債権でファクタリングを利用するように、医療機関は診療報酬債権を利用した診療報酬ファクタリングが利用できます。
診療報酬ファクタリングは、3社間ファクタリングとなり、しかも取引先が健康保険団体と非常に信用度の高い取引先となるため、手数料なども安く好条件で契約しやすいファクタリングとなります。
診療報酬ファクタリングは、利用できるのが医療機関のみと、比較的顧客が限られているサービスでもあるため、すべてのファクタリング会社が対応しているわけではありません。ネットなどでしっかりと対応しているファクタリング会社を探し、できるだけ好条件で契約できるファクタリング会社を見つけましょう。