ここ数年、資金調達として多く利用されているファクタリング。
実は卸売業のキャッシュフロー改善にも役立つということをご存じでしたか？
売掛金の譲渡であるファクタリングは、売掛金が多く発生する卸売業でこそ活用して欲しい資金調達方法です。
では、ファクタリングがどのように卸売業のキャッシュフローの改善をもたらすのか、順を追って解説します。

卸売業でのキャッシュフローについてのお悩みとは？

まずは、卸売業においてキャッシュフローにどのような悩みが存在するのでしょうか。

仕入れありきの商売形態

卸売業とは、メーカーなどから商品を仕入れ、小売業者へ販売する事業を指します。
したがって、まずは小売業者へ販売する品物を確保しなくてはならず、その費用、つまり運転資金をあらかじめ用意する必要があります。

売掛金が発生しやすい

卸売業は売掛金が発生しやすい業態といわれています。
売掛金とは、商品やサービスを提供した代金を将来受け取る権利をいいます。掛け商売で発生し、決められた期間の後、取引先から代金を受け取ることができます。
卸売業ではこの売掛金が発生しやすいといわれています。つまり、商品を販売してもその代金を回収できるのが1か月から数か月先となってしまうということです。
その間にも新たな品物を仕入れて販売しなくてはいけませんが、その仕入れの代金をどう捻出するかが問題となります。
解決方法の一つとして売掛金のサイト（支払いまでの期間）の短縮を取引先に依頼するという方法があります。
しかし、一度設定した支払いサイトの短縮はなかなか容易ではありません。

価格競争や原価高騰による影響を受けやすい

前もって商品を仕入れ、在庫をし、必要としている小売業者などに販売するのが卸売業者の仕事内容です。
昨今は様々な原料が高騰しています。それに伴って仕入れ原価の高騰も進んでいます。
また、他商品との差別化の困難からどの市場でも激しい価格競争も繰り広げられています。
安く仕入れたいのが小売業者の心情ですから、仕入れ原価が高騰しているからといって販売単価を上げるのもなかなか難しいのが現状といえるでしょう。
メーカーと小売業者との間にいる卸売業者は、これらの影響を受けやすいといえます。

在庫コストの問題

在庫がなくては、販売相手のニーズに即座に答えることは難しいです。
一定の在庫を確保する必要が卸売業にはありますが、在庫を保有する、管理する、どちらにも人件費や倉庫代などのコストが発生してしまいます。在庫が増えるほど、コストは上がってしまいますが、在庫の数が足りないのでは話になりません。
流動性の低い在庫は次第に時間の経過により流行が過ぎてしまって価値が減ってしまったり、経年劣化によって品質が悪化することが考えられます。
どのようにして適切な量の在庫を保有し、それらの在庫の流動性を高めるかが重要な課題です。

このように卸売業では他業種にはない悩みが存在します。

そもそもファクタリングとは？簡単に解説

本記事では卸売業のキャッシュフロー改善の手段としてファクタリングの有用性を紹介していきますが、そもそもファクタリングとはどんなものか簡単に解説します。
ファクタリングとは利用者の持つ売掛債権をファクタリング業者に譲渡することによって現金を得る資金調達方法のひとつです。
売掛金の譲渡となるため、融資ではありません。そのため、利用者の負債を増やすことはありません。
また、審査基準が融資とは異なるため、融資を受けられなくてもファクタリングは使用が可能となります。
審査や手続きが融資よりもスピーディな点も特徴です。

注意すべき点は、手数料が存在するということです。
ファクタリングでは売掛金の金額から手数料を引いた金額がファクタリング業者から利用者へ支払われます。売掛金の満額を受け取れない点はあらかじめ留意しておきましょう。

ファクタリングはキャッシュフロー改善に役立つ？

業績が黒字でも、キャッシュフローがマイナスとなる場合があります。
これは売上が計上されるタイミングと実際に現金が入金されるタイミングが異なる場合に起こります。
要するに、売り上げはあっても、売掛金の回収ができない状態ではキャッシュフローはマイナスとなってしまうということです。

ファクタリングは支払い期日到来前の売掛債権の現金化であるので、このキャッシュフローの改善に役立つといえるでしょう。

卸売業でファクタリングを活用するメリットとは

ここからは、実際に卸売業の方でファクタリングを活用するメリットを紹介していきます。
主に4つのメリットが挙げられます。

 回収サイトの短縮に役立つ
 融資が利用できない際にも活用できる
 貸し倒れの回避に役立つ
 与信管理の手助けにもなる

順番に紹介していきます。

回収サイトの短縮に役立つ

先にも少し触れましたが、ファクタリングは支払い期日到来前の売掛金の現金化です。
したがって、ファクタリングをおこなうことで自然と売掛金の回収サイトの短縮となります。
支払いサイトの短縮を取引先に持ち掛けることが難しい場合でも、ファクタリングを活用することで支払いサイトを短縮し、運転資金に回すことができます。

融資が利用できない際にも活用できる

ファクタリングと融資では審査の観点が異なります。
融資においては、融資先の財政状況や経営状態が審査の対象となります。
しかし、ファクタリングでは「売掛金が確実に回収できるかどうか」が審査対象となるので、主に売掛債権の信用性や売掛先の状況が審査対象となります。
そのため、融資は断られてもファクタリングをすることはできるというパターンがおこりえます。
融資してもらえるか自信がない場合、また融資によって負債を増やしたくない場合にはファクタリングが有効な資金調達となります。

貸し倒れの回避に役立つ

ファクタリングで使用した売掛金が回収前に売掛先が倒産してしまうなどの事態に陥った場合、その損失はファクタリング業者が負担します。
ファクタリングは基本的に「償還請求権なし」の取引だからです。
償還請求権とは金銭債権などが債務者から支払われない場合にさかのぼって支出した費用の返還を求めることができる権利のことです。
ファクタリングで償還請求権がある場合、取引した売掛金の回収不可能に陥ったときにファクタリング業者はファクタリングの利用者にその売掛金分の代金を求めることができるのです。
しかし、ファクタリングは原則「償還請求権なし」の契約です。
結果としてファクタリングを利用することで、売掛金の貸し倒れリスクの回避に役立つのです。

与信管理の手助けにもなる

繰り返しになりますが、ファクタリング業者は取引で得た売掛債権の回収が最重要事項となります。
ファクタリングの審査では、利用者ではなく、以下の売掛先や売掛債権の信用度が重視されます。

 売掛金の回収は確実にできるのか
 売掛先の経営状態は良好か
 売掛先の財政状態は良好か

これらは取引先の与信管理でも重要な観点ではないでしょうか。
ファクタリング業者はこれらの審査のプロともいえます。
ファクタリングをすることで、自社だけでなく、ファクタリング業者という別の視点からも取引先を精査することとなり、与信管理の手助けにもなります。

ファクタリングは卸売業のキャッシュフロー改善に最適？ファクタリングを活用するメリットとはまとめ

いかがでしたでしょうか。
卸売業においてファクタリングがキャッシュフローの改善に役立つということと、ファクタリング活用のメリットについて紹介しました。
卸売業において課題である運転資金の調達を手早くできるだけでなく、売掛金回収サイトの短縮や貸し倒れリスクの回避、さらには取引先の与信管理の手助けにもなるという副次的な効果もファクタリングにはあります。
適切にファクタリングを活用することで、キャッシュフローの改善や経営的課題の解決に役立ててください。