ファクタリングFactoring

2023.12.20

ファクタリングの利用で貸借対照表に好影響が出るって本当?

「ファクタリングを利用すると評判は下がる?」
「ファクタリングを利用したら貸借対照表がキレイになった!」

ファクタリングという資金調達法は、日本国内ではまだメジャーな方法ではありません。また、給料ファクタリングというファクタリングに関しては多くの裁判が行われ、違法判決が出るなど、ファクタリング自体が違法であるというイメージが強いのも事実です。

しかしファクタリングは違法ではありません。金融庁もその利用を推奨している資金調達法ですし、上手に活用すれば非常に便利な資金調達法となります。

そしてファクタリングの利用は、貸借対照表にも好影響を与えるといわれています。

では、ファクタリングを利用するとなぜ貸借対照表に好影響があるのか?このあたりを中心に解説していきたいと思います。

ファクタリングの利用で貸借対照表はどうなる?

ファクタリングは手元にある売掛債権をファクタリング会社に譲渡することで、売掛金を入金期日前に現金化する資金調達法です。

このファクタリングの大きなポイントは、債権譲渡契約であり、貸金契約ではないという点です。

資金調達の方法としては、ファクタリング以外にも金融機関からの資金融資やビジネスローン、商工ローンといった金融商品を利用する方法や、手形を担保に現金を借り入れる手形割引などが考えられます。

こういった資金調達法はすべて貸金契約となります。貸金契約ですので、当然金利の支払いが必要になりますし、返済の義務が生じます。

ファクタリングは貸金契約ではないので、金利の支払いも、返済の義務もありませんし、貸借対照表の上でも貸金契約とは違った仕訳の仕方となります。

売掛金が現金になることでオフバランス化ができる

ファクタリングを利用すると、貸借対照表にある売掛金が現金という形に変わります。その結果貸借対照表はすっきりするかと思います。これをオフバランス化といい、企業の持つ貸借対照表としては理想的な状態になるとも考えられます。

貸借対照表というのは、その企業の経営状況を判断するための材料となり、ほかの企業や金融機関も貸借対照表の情報を基に、その企業の状況を判断しますので、貸借対照表が理想の形になるというのは非常に有利な状況になるということになります。

貸借対照表をオフバランス化するメリット

貸借対照表をオフバランス化するのは、企業としてある意味理想的な状況になると書きましたが、具体的にはどのような評価になるのか。この点を簡単に紹介しておきましょう。

健全な経営ができている印象を与える

まずは上記の通り、貸借対照表がオフバランス化されることで、健全な経営状態にあるというイメージを他社に与えることができます。

売掛金がなく、現金が増え、さらに借入金も増えないのですから、他社から見れば現金をしっかりとプールして、少ない借り入れでしっかり経営できているという形に見えるわけです。

他社から見て健全経営に見えるということは、その後の取引に関しても好影響があると考えられます。

資金融資審査で有利になる

貸借対照表がオフバランス化されることで、後に資金融資の審査にも好影響を与える可能性があります。

資金融資の審査では、いろいろな項目がチェックされますが、その中でもよくチェックされるのが自己資本比率です。自己資本比率とは、総資本における自己資本の割合であり、この割合が高い方が資金融資の審査では有利になります。

自己資本比率と同時に注目されるのが現金比率です。現金比率とは、投資可能な資産の中で現金が占める割合のことを指します。

自己資本比率も、現金比率も、ファクタリングを利用し、貸借対照表をオフバランス化することで高くなります。つまりファクタリングを利用することで、貸借対照表からの情報としては、資金融資の審査に通りやすくなるということになります。

ファクタリングという資金調達法は、売掛債権の額面金額以上の資金は調達できない方法です。仮に事業拡大などでまとまった資金が必要な場合、ファクタリングでは追いつかない可能性が高くなります。

こういったまとまった資金が必要な時は、ファクタリングではなく資金融資を受けるのが得策。普段ファクタリングでしっかりと貸借対照表をオフバランス化していれば、こうしたいざとなった時に資金融資を受けやすくなります。

資金融資は必要か?

企業経営上、新規事業を始めるタイミングや、事業規模拡大のためには、まとまった資金が必要となります。こうしたタイミングでは、当然ながら資金融資の必要性は高くなります。

では、それ以外のタイミングで、資金融資を受ける必要はあるのでしょうか?特に大きな出費がない場合、基本的に借金をしたくはないというのが基本的な考え方かと思います。

しかしそれはあくまでも個人の話。企業としては、時には資金融資を受けることが経営にプラスになるケースも考えられます。

信用のある会社であることをアピールできる

企業としてまとまった資金融資を受けているということは、それだけ金融機関から信用されているという証拠になります。

企業経営者の方であればお分かりかと思いますが、資金融資の審査は簡単ではありません。その審査に通過し、資金融資を受けているということは、それだけ経営状況が良い、また将来的にも不安が少ない企業という印象を取引先に与えます。

取引先とすれば、こうした経営が安定した企業であれば積極的に取引をしたいということになりますので、より仕事がしやすくなるのは間違いありません。

もちろん融資を受ける以上、金利を支払う必要性はありますが、その金利以上のプラスがあるのが資金融資です。

ファクタリングを利用する際の注意点

ファクタリングを利用することで、貸借対照表をオフバランス化でき、その結果取引先や金融機関からの評価が高くなるという可能性があります。

もちろんこれは、資金に困った時に、貸金契約で資金調達をするよりは、という意味でもあります。

しかしそんなファクタリングも、利用に関しては慎重になるべきポイントもあります。ファクタリングを利用する際に、注意すべきポイントに関してまとめていきましょう。

手数料は純粋な損失となる

ファクタリングでは手数料が必ず必要になります。手数料に関しては、契約方法や契約する売掛債権で差がありますが、概ね相場としては、2社間ファクタリングで10~30%、3社間ファクタリングで1~9%程度です。

この手数料に関しては、純粋に経営上の損失となります。貸借対照表に仕訳する際も、手数料は「売上債権売却損」で仕訳します。

仮に100万円の売掛債権で手数料が10%なら、単純計算で10万円の損失です。ファクタリングを利用する回数が増えれば、その分損失も大きくなるということは常に頭の片隅に入れておきましょう。

ファクタリング頼りの経営にならないようにする

一番の問題は、いくらファクタリングが利用しやすく、便利な資金調達法だからと言って、運転資金がファクタリング頼りになってしまうことです。

上記の通り、ファクタリングの利用頻度が高くなれば、その分損失も大きくなっていきます。損失が大きくなれば、当然ですが経営も厳しくなりますし、経営が厳しくなれば当然資金繰りが厳しくなり、再びファクタリングに頼るという状況になりかねません。

ファクタリングというのは、あくまでも企業経営をする中で、どうしても現金が足りなくなった場合に利用する緊急の手段。そういった緊急事態が起きた場合、すぐに資金融資などの借り入れを考えるのではなく、ファクタリングという方法を優先的に考えるというのがおすすめの利用法です。

ファクタリング・貸借対照表のまとめ

ファクタリングという資金調達法は、借り入れにはならないため、非常に利用しやすい資金調達法です。特に急な出費があったタイミングなどでは、非常に大きなプラスとなります。

急に原材料費や原油代が高騰したり、円高や円安の影響を受けるなど、社会的な変化のために資金が必要になるケースもありますし、事業に使用している機器や設備の修理、買い替えなどで急に出費が必要になるケースもあるかと思います。

こうした急な出費にこそファクタリングがおすすめです。

ファクタリングを利用することで、売掛金が現金に変わるため、貸借対照表はオフバランス化され、オフバランス化されることで、金融機関や取引先など、他社からの評価は高くなる可能性があります。

急場の資金はファクタリングで都合をつけて、まとまった事業資金が必要な場合は金融機関などからの資金融資を頼る。そんな考え方がおすすめとなります。

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