ファクタリングFactoring

2023.11.26

過去の判例で分かるファクタリング契約の基本的な構造

「ファクタリングの裁判があったっていうけどやっぱり違法なの?」
「ファクタリングを利用すると訴えられるの?」

などという間違った認識を持っている方もいらっしゃるかと思います。確かにファクタリングに関する裁判は多く、イメージとしてはグレーなイメージとなるかもしれません。

しかし過去の判例をしっかりと読み込めば、ファクタリングに違法性がないことは分かるかと思います。

この記事では過去の判例を基に、ファクタリングの基本的な考え方や、ファクタリング会社の選び方などを考えていきたいと思います。

ファクタリングの判例

ファクタリングに関する裁判は数多く開かれており、その多くは民事裁判となります。

では実際にファクタリング契約においてどのような判例があるのかを確認していきましょう。

利用者側が勝訴した判例

ファクタリングの判例として取り上げられることが多いのが、2017年3月に大阪地方裁判所が出した判例です。

この裁判では、原告である利用者が、被告であるファクタリング会社と行った契約が、債権譲渡契約ではなく貸金契約であったとして申し立て、利息制限法の金利上限を超えて支払った金額を返済することを求めた裁判です。

裁判で焦点となったのは、この契約が債権譲渡契約か貸金契約かという点です。

・ファクタリング会社は売掛債権の一部を利用者に入金
・残額に関しては売掛金入金後に入金

結果的に売掛債権はファクタリング会社に譲渡された形ですが、問題はファクタリング会社の支払いが2度に分かれており、残額の支払いが売掛金入金後であったという点。

売掛金入金後に支払うということは、売掛金が未回収だった場合、支払われなかった可能性があるということです。つまり、ファクタリング会社は、売掛金未回収のリスクを負っていなかったと判断され、この契約はファクタリング契約ではなく、売掛債権を担保とした貸金契約であるという判決が出ました。

結果、ファクタリング会社は、過払い金の返還を命じられるという利用者側が勝訴した判例となります。

ファクタリング会社側が勝訴した判例

ファクタリング会社側が勝訴した判例に関しては、具体的な判例こそありませんが、その多くが利用者側が売掛金を支払わないということをきっかけに裁判になったケースとなります。

利用者側の主張の多くは、結んだファクタリング契約は貸金契約であり、貸金業者の登録を行っていないファクタリング会社が結ぶのは違法であるというもので、もし裁判所がこの主張を認めれば、確かに売掛金を支払う必要はなくなるケースも考えられます。

しかし、ファクタリング契約として必要な条件を満たしている契約の場合、ファクタリング契約は債権の譲渡契約ですので、貸金契約とはなりません。

裁判所が契約内容を精査し、ファクタリング契約(債権譲渡契約)として問題ないと判断されれば、原則ファクタリング会社が勝訴するという形になります。

判例から見るファクタリング契約の基本

上記の判例から、ファクタリング契約の基本となる部分に関してしっかりと理解しておきましょう。

大きなポイントは2つです。

手数料はファクタリング会社が自由に設定できる

まずはファクタリング契約の手数料に関して。

ファクタリングと同じ資金調達法であり、金融機関からの融資や商工ローン、手形割引といった方法はすべて貸金契約となります。

貸金契約の場合、契約を結べるのは貸金業登録を行っている企業のみであり、その金利に関しては利息制限法という法律の下に上限金利が設定されています。

つまり、どの貸金業者と契約を結ぶにしても、金利の上限は法律で定められているということになります。

一方ファクタリング契約は債権譲渡契約であり、貸金契約ではありません。債権譲渡契約に関しては、その手数料の上限を定めた法律は存在しません。つまり、ファクタリング会社が自由に手数料を設定できるということになります。

ファクタリングという契約においては、その手数料の高さから違法性を感じる方もいるかと思いますが、原則どんな手数料でも違法ではないというのがファクタリング契約の基本となります。

売掛金の未回収リスクはファクタリング会社が負う

判例でもっとも注目されるのは、ファクタリング契約(債権譲渡契約)なのか貸金契約なのかという点です。貸金契約であれば、契約できるのは貸金業者のみですし、金利も上限が法律で決まっています。

債権譲渡契約であれば、貸金業者である必要はありませんし、手数料の上限も決まっていません。

判例を見て分かるのが、債権譲渡契約か貸金契約かを判断するポイントが、「売掛金の未回収リスクの所在」であることです。

債権の譲渡契約においては、その債権に関するすべての権利が譲渡されます。つまり、売掛金の未回収リスクも併せて譲渡されるということになりますので、ファクタリング契約において、売掛金の未回収リスクはファクタリング会社が負う必要があります。

ファクタリング会社は手数料を受け取る代わりに売掛金の未回収リスクを負う、利用企業は手数料は支払うものの、売掛金の未回収リスクを負わず、売掛金を早期現金化する。これがファクタリング契約の正しい関係であり、基本となります。

判例を参考にしたファクタリング会社の選び方

ファクタリング契約に関するさまざまな判例を見ることで、ファクタリング契約の基本を知ることができますし、なによりファクタリング会社の選び方を知ることができます。

判例から見えたファクタリング会社の選び方に関して、いくつか紹介していきたいと思います。

手数料は安すぎず高すぎず

過去の判例で多いのが、いわゆる悪徳業者によるファクタリング詐欺ともいえる判例です。ファクタリング契約と言いながら、実質的には貸金契約を結ぶ、しかも利息制限法を無視した高い金利で結ぶといった判例は非常に多く、この悪徳業者に引っかからないというのが非常に重要になります。

ファクタリング会社を装った悪徳業者というのは確実に存在します。こういった悪徳業者に引っかかると、仮に裁判で勝訴しても、自社の情報が悪徳業者に知られることとなり、ほかの悪徳業者に情報が渡ってしまえば、常に悪徳業者に付け狙われることになります。

悪徳業者を避けるには、いろいろなポイントがありますが、まずは何より手数料に注目しましょう。悪徳業者が提示する手数料は、安すぎるか高すぎるかの両極端であるケースがほとんどです。

手数料が安いケースは、その手数料を餌に不当な契約を結び、後に厳しく取り立てるという形になります。顧客がとにかく急ぎ現金を欲しがっていると分かれば、反対に高い手数料での契約を迫ってくるでしょう。

一般的な手数料相場と比較し、高すぎる、安すぎるという場合は契約には慎重になることをおすすめします。

償還請求権の有無を確認

ファクタリング契約では、原則売掛金の未回収リスクはファクタリング会社が負います。そこで契約時に注目したいのが償還請求権の有無です。

償還請求権とは、売掛金が未回収となった場合、利用企業が売掛債権を買い戻さなければいけないという契約です。つまり、未回収リスクが利用企業にあるという形の契約となります。

過去の判例を見ても、償還請求権のある契約は、ファクタリング契約ではなく貸金契約であるとした判例が多く、ファクタリング契約は原則ノンリコース契約(償還請求権のない契約)であるべきということになります。

契約の前に契約書をしっかりとチェックし、償還請求権の有無をチェックしておきましょう。

できれば複数社を見比べる

過去の判例を見ても、裁判沙汰になる契約の多くは、手数料の高さと償還請求権の有無が問題となっています。そこでおすすめしたいのが、複数のファクタリング会社に申し込むという形です。

いわゆる相見積もりのように、複数のファクタリング会社に同じ売掛債権を持ち込み、どのような条件での契約となるかを提示してもらいます。こうすることで手数料の相場も分かりますし、ほかと比較することで変な特約がついていないかどうかのチェックも可能となります。

ファクタリングを利用するタイミングでは、そんな時間の余裕はないという方も多いかと思いますが、特に初めてファクタリングを利用するという場合にはこの方法が最もおすすめとなります。

ファクタリングの判例のまとめ

ファクタリング契約に関する判例にはほかにもいろいろなケースがあります。判例を見ることで、ファクタリング契約とは何なのか?またファクタリング契約で問題となる点はどこなのか?ということが分かるようになります。

裁判所のHPでは、過去の判例検索をできるサービスもありますので、過去の判例が気になるという方は、調べてみるのもいいかもしれません。

過去の判例も踏まえて、ファクタリングの基本を再確認しておきましょう。

・ファクタリング契約(債権譲渡契約)は合法
・手数料はファクタリング会社次第(法的制限なし)
・売掛金の未回収リスクはファクタリング会社が負う

この3点をよく理解したうえで、今後ファクタリング契約を結ぶ際は上記の通りかどうかをよくチェックしてから契約するようにしましょう。

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