ファクタリングは便利なので、利用する企業や個人事業主が増えてきました。しかし、ファクタリングの限度額はどのようになっているのか気になるところです。
この記事ではファクタリングの限度額や買取可能額についてお伝えします。どちらもファクタリングを利用するためには、きちんと把握しておきたいものです。
ファクタリングを正しく利用するために参考にしてください。
ファクタリングは限度額がない
ファクタリングは限度額がありません。なぜならば、売掛金の範囲内でしか資金を調達できないからです。そして、売掛債権には掛け目が存在するので、売掛債権に掛け目をかけた値が売掛金の限度額、売掛債権の買取額になります。
ここでは、以下の3点について詳しく説明します。
・ファクタリングは売掛金の範囲内
・ファクタリングは売掛金がないと利用できない
・売掛金×掛け目が限度額
今後のために、ファクタリングの限度額や仕組みをきちんと理解しておきましょう。
ファクタリングは売掛金の範囲内
ファクタリングは売掛金の範囲内でしか利用できません。したがって、限度額を設けることは不可能です。
たとえば、A社の売掛金が200万円だとします。このケースの場合、A社は200万円以内でしかファクタリングを利用できません。したがって、A社のファクタリングの限度額は200万円と考えられます。
ファクタリングは売掛金がないと利用できない
そもそも、ファクタリングは売掛金がないと利用できません。限度額を考えるにも、まずはファクタリングができるかどうか、売掛金があるか否かを考える方が先決です。
それというのも、ファクタリングは売掛金を早めに現金化するシステムだからです。通常であれば、売掛金が取引先から現金として回収できるのは、1~2ヶ月先になります。その間の資金繰りが厳しい場合、ファクタリングを利用すると、売掛金を早めに受け取れるのです。
なぜならば、ファクタリング会社が手数料を引いた分の売掛債権を買い取るからです。後ほど取引先から売掛金を回収できたら、ファクタリング会社に返金します。
このように、ファクタリングは売掛金がなければ成立しない資金調達法です。借金のように○○円必要だから借りるというシステムではありません。
売掛金×掛け目が限度額
ファクタリング会社によっては、掛け目を利用する場合があります。その場合、限度額は売掛金×掛け目です。この掛け目のパーセンテージは、ファクタリング会社によって異なります。
まずは掛け目について説明します。掛け目とは借金で言う担保のようなものです。つまり、もしも売掛金を返金しなかったら、掛け目の差額分は戻りません。しかし、きちんと売掛金をファクタリング会社に送金すれば、後ほど掛け目の差額分は戻ってきます。
つまり、掛け目は保証金のようなものと考えられます。ファクタリング会社は、万が一、売掛金を支払われない時のリスクに備えているのです。
仮に、P社が売掛金500万円でファクタリングを利用したとします。この場合の掛け目は80%、手数料は10%と設定します。
掛け目ありの場合
限度額:500万円×80%=400万円
P社が受け取れる金額:400万円-400万円×10%(手数料40万円)=360万円
売掛金を送金すれば戻ってくる分:500万円×20%=100万円(掛け目の差額)
掛け目なしの場合
限度額:500万
P社が受け取れる金額:500万円-手数料40万円=460万円
もしも、P社が売掛金を支払わなかった場合、ファクタリング会社の損失は、掛け目があれば360万円ですが、掛け目なしなら460万円です。このように、掛け目によって限度額が変わり、ファクタリング会社はリスクをある程度回避できます。
ファクタリング買取可能額には限度額がある
ファクタリング会社には、限度額が設定されている買取可能額があります。この額はファクタリング会社によって異なります。ここでは以下のポイントを説明しましょう。
・買取可能額はファクタリング会社の資金力
・ファクタリング会社の規模によって買取限度額がある
・複数の売掛金があれば買取可能額が上がる
ファクタリングについて、より理解を深めるためには、限度額が存在する買取可能額についても知っておきたいものです。
買取可能額はファクタリング会社の資金力
限度額がある買取可能額は、ファクタリング会社によっても異なります。買取可能額は、その会社の資金力を表すと言っても良いでしょう。
大規模なファクタリング会社の方が、買取可能限度額が高額です。それに比べ、小規模なファクタリング会社は、それほど資金力がないため、大規模な会社ほどの買取可能限度額を用意できません。
ファクタリング会社の規模によって買取限度額がある
小規模なファクタリング会社は1,000万円くらいが買取可能な限度額です。小規模な会社の場合は資本金がそれほど多くなく、数百万円くらいのケースが多いためです。したがって、多額のファクタリングには、向いていません。
また、メガバンクなどが経営している大規模なファクタリング会社の場合は、買取可能になる限度額が数億円以上と高額です。そのため、売掛債権が数億円の場合は、こうした大規模なファクタリング会社に依頼することをおすすめします。
複数の売掛金があれば買取可能の限度額が上がる
複数の売掛金があれば、1つのみより、ファクタリング会社の買取可能額つまり限度額が上がります。
たとえば、複数の会社と取引している場合です。S社の売掛金300万円、N社の売掛金200万円と2つの売掛金があるとしたら、2社あわせれば500万円になります。その場合、ファクタリングの限度額は500万円です。
ファクタリング会社としても、売掛債権の買取が複数ある方が大きな利益になります。
限度額いっぱいのファクタリングの事例
限度額いっぱいのファクタリングの事例を2つお伝えします。
・中小企業L社の場合
・個人事業主Gさんの場合
こうした事例を参考にして限度額いっぱいのファクタリングを利用しましょう。
中小企業L社の場合
資金繰りが厳しい中小企業のL社は、売掛債権を売却して、原材料の買取額に回さないと、従業員の給料や機械のメンテナンス代が厳しい状態です。
そこで、中小企業向けのファクタリング会社を見つけ、さっそくファクタリングを利用しようとしました。まずは買取の限度額を尋ねたところ、1,000万円が限度額という回答でした。
L社の売掛債権は3つあり、合わせても1,000万円には満たなかったので、限度額を超えることはありません。
L社の場合、H社の売掛債権100万円、M社200万円、O社50万円で合わせて350万円なので、1,000万円の買取可能の限度額を超えません。
このファクタリング会社は、80%の掛け目がありました。そして、手数料はすべて2社間ファクタリングのため15%です。限度額、手数料、受け取る額は以下の計算になりました。
限度額:350万円×80%=280万円
手数料:280万円×15%=42万円
L社が受け取る額:280万円-42万円=238万円
L社は期日通り、ファクタリング会社に売掛金を送金しましたので、後ほど掛け目の差額になる70万円を受け取れました。
個人事業主Gさんの場合
個人事業主のGさんは、新しいパソコンを購入したため、資金繰りが厳しい状態です。そこで、売掛金の支払が遅いY社の売掛金をファクタリングで賄おうとしました。
ファクタリング会社によっては、個人事業主不可のことがあるので、個人事業主でも可能なファクタリング会社を選びました。小規模な会社なので、買取限度額は数百万と考えられます。実際に聞いてみたところ、800万円ということでした。
Gさんの売掛債権は30万円なので、限度額を超えていません。そのため、無事にファクタリングを利用できました。
Gさんの手数料は2社間ファクタリングになるので、10%です。掛け目はありませんでした。したがって、以下の金額がGさんの手元に入る分です。限度額とともに記載します。
限度額:30万円
受け取れる額:30万円-3万円(10%の手数料)=27万円
Gさんは、ファクタリングで得た27万円で家賃を払ったり、友人にお金を返したりできました。そして、取引先から売掛金が振り込まれた後、期日通りにファクタリング会社に送金したのです。
ファクタリングの限度額についてのまとめ
ファクタリングには限度額はありません。ただ、強いて言えば、売掛金の範囲内が限度額です。
しかし、ファクタリング会社によっては、売掛金に掛け目をかけた分が売掛債権の買取額になる場合があります。その際は、売掛金×掛け目が限度額になります。
また、ファクタリング会社により買取可能額が異なるため、買取可能額が限度額とも言えます。一般的に小規模のファクタリング会社の買取限度額は1,000万円以内、大規模なファクタリング会社であれば、資産力があるので、億単位以上になるでしょう。