会社を経営する際に負債は免れないものです。中でも利子を伴う有利子負債は、できれば減らしたいと考える方は多いのではないでしょうか。
そんな有利子負債を減らす対策の一つとして、ファクタリングがあります。今回は、有利子負債とファクタリングの関係について考えてみます。
有利子負債とファクタリングについて
まず、有利子負債はどんな負債なのか、ファクタリングとはどんな手法なのか、きちんと理解しておきたいものです。ここでは、それぞれの概要や特徴を説明します。
・有利子負債とは利子を伴う負債
・ファクタリングとは資金調達方法の一つ
有利子負債やファクタリングについて、正しく理解しておくと会社のピンチの際にも役立ちます。
有利子負債とは利子を伴う負債
有利子負債は負債の一種で、利子を伴う負債です。その特徴を下記に挙げてみます。
・1年以内の短期間で支払う流動負債も、長期の負債になる固定負債も、有利子負債に含まれる
・金融機関の融資、社債、コマーシャルペーパーなどが含まれる
・支払いは後で利子は必要ない場合は有利子負債にならない(買掛金、未払金、支払手形など)
・企業への信用が元になっている負債
・適度なスピード感で返済すべき負債
・資金の少ない企業が大きなリターンを期待して行うレバレッジ効果もある
・有利子負債が増えるのは企業経営上でマイナスになる
有利子負債は、金融機関の融資など利子を伴う負債のことです。また、利子が必要ない買掛金などは、有利子負債に含まれません。
こうした有利子負債は、信用できる企業だからこそ組める負債です。そのため、返済計画を立てきちんと返済することが必須です。
ただし、利子があるので、返済する時には借りた額以上のお金が必要になります。企業としては、できれば減らしたいものですが、レバレッジ効果による大きな儲けも期待できます。
たとえば、500万の融資でビジネスを行い、1,000万円の儲けがあれば、500万円の利益です。利子を払ったとしても、企業にとっては大きな儲けになります。こうしたレバレッジ効果を期待して、有利子負債を活用する企業も存在します。
ファクタリングとは資金調達方法の一つ
ファクタリングは資金調達方法の一つで、売掛債権をファクタリング会社に売却して資金を得ます。その特徴を下記に挙げてみます。
・ファクタリングは借金ではない
・ファクタリング会社に手数料を支払う
・ファクタリング会社によって資金調達のスピードが異なる
・すべてオンラインで対応できる場合もある
・審査はあるが、融資の審査よりもゆるい
・取引先の状況による審査なので利用側が赤字でも通る
ファクタリングはファクタリング会社によって、手数料、資金調達のスピード、オンライン対応などに違いがあります。
また、ファクタリング会社による審査はありますが、取引先が売掛金を払えるかの審査です。そのため、取引先が赤字でなければ審査は通ります。銀行の融資審査より時間がかからず通りやすいのが特徴です。
有利子負債を減らすためにファクタリングを利用できるか
有利子負債を減らすためにファクタリングを利用することは可能です。ここでは、ファクタリングを利用することで、どのようなことができるか説明します。
・ファクタリングでオフバランス化が図れる
・オフバランス化で有利子負債を減らせる
・ファクタリングは決算書を改善できる
有利子負債はなるべく減らしたいものです。そのために、ファクタリングによってできることを知っておきましょう。
ファクタリングでオフバランス化が図れる
ファクタリングによってオフバランス化を図れるのは、ファクタリングが負債にあたらないからです。
なぜならば、上記で説明しましたように、ファクタリングは現金調達のための手法で負債とは異なります。よって、ファクタリングで得た資金は負債として計上されません。
こうしたオフバランス化を図ることで、負債の少ない企業とみなされます。それにより、企業の信用力は高まるものです。
オフバランス化で有利子負債を減らせる
貸借対照表に負債や資産が記載されないことをオフバランス化と言います。それによって、有利子負債を減らすことが可能です。
その理由は、ファクタリングによって得た資金を有利子負債の返済に充てられるからです。こうした返済によって、資産、負債の両方が減るため、オフバランス化を進められます。
このように、ファクタリングで売掛債権を売却して現金化すれば、総資産額も負債も増えません。そして、説明しましたように、有利子負債を減らすことも期待できます。
ファクタリングは決算書を改善できる
ファクタリングは決算書を改善できるものです。その理由を説明するには、自己資本比率やROAと言われる総資産利益率を理解しておく必要があります。ここでそれぞれについて説明しましょう。
%で示される自己資本比率は、自己資本÷総資本×100で求められます。また、ROAと呼ばれる総資産利益率(%)は、利益÷総資産×100で求めることが可能です。
どちらも数値が高い方がより評価できる企業となります。そのためには、ファクタリングでオフバランス化を推進することが大事です。ファクタリングの活用によって、総資産や総資本が減れば数値の向上が期待できるからです。
たとえば、自己資本比率の場合、数値が高ければが高いほど、自己資本で経営できている優良な企業とみなされます。また、総資産利益率であるROAの数値も高ければ高いほど、効率よく資産を活用している優秀な企業と解釈できます。
このように、ファクタリングを活用することで、決算書をより改善できるのです。
有利子負債でファクタリングを利用する際のポイント
有利子負債を減らすためにはファクタリングが有効です。そしてそのためには、より良いファクタリング会社を選ぶ必要があります。ここでは、有利子負債を減らすためのファクタリング会社を選択する際、気を付けたいポイントを4点挙げます。
・ファクタリング会社によって異なる手数料率をチェックする
・売掛債権には買取可能額がある
・ファクタリングで調達できる額に注意する
・売掛金の支払期限・一括払いに要注意
これらに気を付けてファクタリング会社を選びましょう。4つのポイントについては以下で詳しく説明します。
ファクタリング会社によって異なる手数料率をチェックする
ファクタリングを行う際には、ファクタリング会社に手数料を払うものですが、その額はファクタリング会社によって異なります。企業としては、より低い手数料率のファクタリング会社を選びたいものです。
また、ファクタリングの手法によっても手数料率が異なります。手数料率が低いのは、利用側、ファクタリング会社、取引先の3社による3社間ファクタリングの場合です。利用側とファクタリング会社による2社間ファクタリングが最大約20%に対し、3社間ファクタリングは最大約9%です。
ただし、取引先にファクタリングを知られたくない場合は、2社間ファクタリングがおすすめです。
売掛債権には買取可能額がある
ファクタリング会社によって、売掛債権の買取可能額が異なります。したがって、ファクタリング会社を選ぶ際には、買取可能額を確認しておきたいものです。
たとえば、メガバンクが親会社になっているファクタリング会社であれば、数億単位など、高額な売掛債権も取り扱います。逆に小規模なファクタリング会社の場合は、1,000万円程度が買取可能額となる場合が多いでしょう。
ファクタリングで調達できる額に注意する
ファクタリングで調達できる額は、売掛金の金額の範囲内です。それ以上の調達はできないことを認識しておきましょう。
たとえば、売掛金が500万であれば、ファクタリングで調達できる額は500万から手数料を引いた額のみです。借金ではないので、それ以上の額を調達することはできません。そのため、ファクタリングを行う際には、売掛金の金額を正しく確認しておく必要があります。
売掛金の支払期限・一括払いに要注意
売掛金には支払期限があり、一括払いで支払うことになっています。このあたりもきちんとファクタリング会社に確認しておきましょう。
ここで、ファクタリングの流れを確認しておきましょう。まず、ファクタリング会社に売掛債権を売却し、現金で支払ってもらいます。その後、売掛金の支払期限が設けられるので、期限を守って支払うことが大事です。また、売掛金の支払いは一括払いが常識です。
万が一、売掛金の支払いが遅れる場合、また売掛金を分割して支払いたい場合は、速やかにファクタリング会社に相談しましょう。
有利子負債とファクタリングのまとめ
利子を伴う負債にあたる有利子負債を減らすために、ファクタリングを活用するのはありです。そうすることでオフバランス化が可能になり、有利子負債を減らせます。
なぜならば、ファクタリングで得た資金で有利子負債の返済が可能になるからです。結果、有利子負債を減らせます。
このように、有利子負債を減らすためにファクタリングを活用するには、より良いファクタリング会社を選びたいものです。手数料率、買取可能額などを念頭に置いて選択するようにしましょう。
また、ファクタリングで調達できる額は売掛金を上回れないこと、売掛金の支払期限を厳守すること、売掛金が一括払いであることもファクタリングの常識として認識しておいてください。