ファクタリングとは、売掛債権を譲渡し、売掛金の早期現金化を図る資金調達法です。
欧米などでは浸透している資金調達法ですが、日本国内ではまだそこまで浸透していない状況といえるでしょう。
そんな状況ゆえに、ファクタリング契約におけるトラブルも少なくなく、トラブル解決のために弁護士を利用するという企業も少なくないようです。
では、何が問題となるのか、そしてその問題はなぜ発生するのか。こういった点に注目して解説していきたいと思います。
弁護士を利用するということは、弁護士費用が必要になるということ。
せっかくファクタリングで手にした現金を、弁護士費用として支払うようなことがないように、しっかりと知識を身に着けておきましょう。
ファクタリングは違法?合法?
ファクタリングというのは、売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、売掛金を早期現金化する方法です。
この契約自体は原則合法です。
ただし、債権譲渡契約としてきちんとルールを守っていればということになります。
近年ファクタリングサービスを提供する会社は増加傾向にありますが、その中にはいわゆる悪徳業者と呼ばれるような業者が紛れ込んでいるのも事実。
こうした悪徳業者と契約してしまうと、契約自体が違法契約となっているケースがあります。
法律を守り、誠実に営業しているファクタリング会社との契約であれば、基本的に弁護士に相談するようなことはなく、合法な契約を結んでいると考えていいでしょう。
ファクタリング契約に関して弁護士に相談するケース
弁護士事務所の中には「ファクタリング問題に強い」と広告を打ち出している弁護士事務所も少なくありません。
つまり、それだけファクタリング契約において法的な問題が存在するケースが多いということでもあります。
なぜ弁護士に相談することになってしまうのか。その主な原因に関していくつか紹介していきましょう。
契約内容に違法と思われるポイントがある
弁護士に相談するケースとしてもっとも多いのが、ファクタリング契約の内容に関することでしょう。
・手数料が高すぎる
・取引先にファクタリングの利用を知られてしまう
・付随されている契約内容に不明点がある
弁護士に相談する内容として多いのはこのあたりではないでしょうか。
ただし、注意すべき点は、ここに紹介した項目のすべてが違法になるとは限らないことです。
特に覚えておきたいのが手数料に関して。
ファクタリングの手数料に関しては、法的な制限はありません。
多くの方が理解されていないのが、ファクタリング契約は貸金契約ではないという点です。
貸金契約の場合、金利に関しては貸金業法という法律において上限が定められています。
しかし、ファクタリング契約は貸金契約ではないため、貸金業法という法律の範囲外の契約となります。
そのため、上限金利(手数料)というものは存在しないため、仮に手数料が相場以上であっても、原則違法ではないということになります。
また、取引先にファクタリングの利用が知られてしまうような契約であっても、その契約自体は違法ではありません。
もちろん、「取引先に知られずに契約できます」と謳っておきながら、取引先にファクタリング契約に関して知られるような契約を結んでいればそれは違法ということになりますが、こういったケース以外では違法ではありませんので、弁護士に相談して解決できるかどうかは難しいところです。
いずれにせよ、ファクタリング契約を結ぶ際は、契約書にサインする前にしっかりと契約書の内容をチェックするようにしましょう。
契約書に書いてある項目すべてを理解し、納得したうえで契約しないと、後に弁護士に相談する、弁護士費用が必要になるなど、余計な時間と出費が必要になってしまうケースがあり危険です。
売掛金をファクタリング会社に入金するのが難しくなった
弁護士に相談するとなると、売掛金をファクタリング会社に入金するのが難しくなってしまったというケースも考えられます。
こういったケースでは、弁護士に事情を説明し相談し、弁護士の方からファクタリング会社と交渉をしてもらうという形になりますが、売掛金の支払いを免除されるということはまずありません。
弁護士に代理で交渉してもらい、ある程度猶予をもらってしっかりと支払う必要が生じますので、資金調達の方法を考えておくべきでしょう。
もちろん、こうした場合も、ファクタリング契約自体に違法な部分があれば、支払いを免除される可能性はあります。
弁護士に相談する場合は、契約に関する情報をすべて開示し、法的な判断を仰ぐようにしましょう。
譲渡した債権に問題があった
これはどちらかと言えば利用企業のミスであるケースが多い問題です。
債権の二重譲渡や、不存在の債権で契約してしまった場合です。
こうしたケースでは、利用企業が詐欺罪などに問われるケースもありますので、早急に弁護士に相談し、弁護士からファクタリング会社に事情を説明してもらい、大きな問題とならないように手を打つ必要があります。
早急に弁護士に相談しましょう。
ファクタリング契約で弁護士を頼らないために
ファクタリング契約は原則合法な契約です。
ファクタリングを利用して、弁護士に相談するということは基本的にはないはずですが、それでも弁護士に相談するという方がいるのも事実です。
そこで、弁護士に相談するようなことがないように、あらかじめ気を付けておきたいポイントに関していくつか紹介しておきましょう。
ファクタリングの基本的な構造を理解する
まずはファクタリングの基本的な構造を理解しておきましょう。
ファクタリングにはいろいろな種類がありますが、もっともポピュラーなのが債権買取型の契約です。
この債権買取型のファクタリング契約には、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがありますが、より利用者の多い2社間ファクタリングに関して、基本的な流れ・構造を紹介しておきましょう。
・利用企業が手元にある売掛債権をファクタリング会社に持ち込む
・ファクタリング会社が審査を行う
・審査の結果手数料や契約内容が決まる
・契約内容に問題がなければ契約を取り交わす
・契約が成立すると、売掛金から手数料などを差し引いた金額がファクタリング会社から利用企業に振り込まれる
・取引先から利用企業に売掛金が入金されたら、その売掛金をファクタリング会社に入金する
2社間ファクタリングの基本的な流れは上記の通りです。
利用企業は手数料を支払うことで売掛金の早期現金化が叶い、ファクタリング会社は売掛金未回収のリスクを負うものの、手数料を手にすることができるということになります。
ファクタリングを利用する場合、まずはこの基本的な流れを把握しておきましょう。
手数料の相場を知る
基本的な流れを知った上で注目したいのが手数料です。
最初にも紹介した通り、ファクタリング契約の手数料に関しては法的な制限はありません。しかし、一般的な相場というものはあり、この手数料相場を知ることが重要なポイントとなります。
手元にある売掛債権に対する手数料相場を知るもっとも有効な方法は、複数のファクタリング会社で審査を受けることです。
いくつかのファクタリング会社で審査を受ければ、どの程度の手数料が相場なのか、一目で判別できるということになります。
いわゆる相見積もりのようなものですので、その結果をしっかりと確認し、もっとも有利な条件で契約できる会社と契約することで、後に弁護士に相談するような手間を省くことができます。
契約に付随する事項をきちんと確認する
ファクタリング契約の契約書で、チェックすべきポイントは手数料だけではありません。契約においてどのような付随項目があるかにも十分注意して契約を結ぶようにしましょう。
特に注意したいのが「償還請求権」の有無。
ファクタリング契約では償還請求権ナシの契約(ノンリコース契約)が基本です。
償還請求権がある契約は、利用した企業に売掛金未回収のリスクが残ってしまうため、利用企業としては非常に不利な契約となります。
契約書に償還請求権がある契約の場合は、弁護士に相談し、取り消してもらえるよう交渉してもらうのがおすすめです。
ほかにも「債権譲渡登記」や「債権譲渡通知」などの項目にも注目してください。
弁護士に相談して解決できないケースもありますが、気になるようであれば弁護士に相談し、どのように対応すべきかを知っておくようにしましょう。
ファクタリングと弁護士についてのまとめ
原則ファクタリング契約は合法な契約です。
ルール通りに契約が交わされていれば弁護士に相談する必要はありません。
しかし、契約の内容や、契約後の状況によっては弁護士への相談が必要になる可能性はあります。
また、ファクタリング業者がいわゆる悪徳業者の場合などは、迷わず弁護士に相談をしましょう。
ファクタリングを利用するということは、事業資金に何らかの問題があるというケースが多いでしょう。
そんな状況で弁護士に相談し、弁護士費用を支払うのは大きな痛手となります。
まずは弁護士に相談するようなことがないように、ファクタリングの構造や基礎的な部分をしっかり学び、手数料の相場も分かるように相見積もりを利用するのがおすすめです。