企業の経済状態は、社会情勢に左右されることが多いものです。たとえば、予期せぬコロナ蔓延やウクライナ情勢のために、売上が落ちたり原材料が入って来なくなったりなど、世の中には困ったことが起こります。
そんな状況下になると、支払予定の売掛金が先延ばしになる延現金になってしまうことも考えられます。延現金は売掛側にとっては助かるものですが、下請け企業にとっては困りものです。
しかし、そんな延現金は、ファクタリングで解決できる可能性があります。この記事でノウハウを説明しましょう。
延現金とファクタリングの豆知識
まずは延現金とファクタリングについて説明します。それぞれ、どんな役割を担うものか知っておきたいものです。下記でそれぞれの概要を解説します。
・延現金とは
・ファクタリングとは
延現金、ファクタリングはどのような内容なのかを知っておくことで、今後起こり得る状況にも対応できます。
延現金とは
延現金とは、売掛金の支払い日を延長することです。つまり、通常ですと2ヶ月以内に支払うべきである売掛金を3ヶ月以上先などに延ばすやり方です。
通常、売掛金は2ヶ月以内に支払われます。しかしながら、企業の諸事情により支払いが遅れる場合が考えられます。
支払いを延ばすには手形を利用する方法がありますが、それ以外のやり方として延現金が存在します。この方法は、「期日現金払い」や「期日指定振り込み」とも言われます。どちらかというと取引先と下請けの関係を利用した口約束に近い売掛金の支払い方法です。
延現金は、取引先にとっては、都合の良い方法です。しかし、延現金を持ちかけられた下請け側としては、断るに断れません。下請けとしては、売掛金は早めにほしいものの、取引先との関係を悪化させたくないと考えます。
したがって、延現金は、下請け企業にとっては、あまり受けたくない売掛金の支払い方法です。
ファクタリングとは
ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社に売却して現金化させる、資金調達法の一つです。
政府からも奨励されている安全な方法なので、ここ数年で採用する企業が増えてきました。
しかし、海外に比べれば普及しているとは言えません。そのため、企業や個人によっては、借金と勘違いする場合があります。それを見越して、取引先にバレないようにファクタリングを行うケースは少なくありません。
延現金の不安をファクタリングで解決できる理由
上記で説明した延現金は、下請け企業にとっては、不安に思うものです。そんな不安を払拭させる対策として用いられるのがファクタリングです。
ここでは、なぜファクタリングが延現金の不安を解決できるのか、考えられる理由を4つ挙げます。
・延現金を早期現金化できる
・取引先のリスクに備えられる
・3社間ファクタリングならば手数料が安い
・負債にならないので安心して利用できる
下請け企業にとって、やっかいな延現金をファクタリングの利用で解決できるならば、ありがたいことです。
延現金を早期現金化できる
ファクタリングの利用で、延現金を早期現金化できます。そのやり方について説明します。
A社は取引先のB社から延現金をお願いされました。貴重な取引先の願いをきかないわけにもいかず、渋々承諾したA社です。しかし、A社も資金に余裕はありません。
そんな折にファクタリングの存在を知りました。売掛金を早めに現金化できる方法なので、試してみたいと思いファクタリング会社に申し込みました。
その結果、A社はB社に対する売掛債権をファクタリング会社に売却し、現金を手にしました。このようにして、A社は延現金を早期現金化できたのです。
取引先のリスクに備えられる
ファクタリングは、ほとんどの会社がノンリコースを採用しています。ノンリコースとは、「償還請求権」がないという意味です。
万が一取引先企業が倒産した場合、売掛金が回収できなくなったとしても、ファクタリング会社は利用側に売掛金の返却を求められません。つまり、売掛債権はファクタリング会社に譲渡しているので、利用側はノータッチで良いのです。
3社間ファクタリングならば手数料が安い
ファクタリングの手数料は安いとは言えません。しかし、3社間ファクタリングであれば手数料は安く、相場は1~9%です。
3社間ファクタリングは、利用側、ファクタリング会社、取引先の3社によるファクタリングです。ファクタリング会社が払った売掛金は、取引先企業が支払います。そのため、ファクタリング会社にとっては未回収リスクが低くなります。
因みに利用側とファクタリングのみの2社間ファクタリングもあります。こちらの方は売掛金未回収のリスクが考えられるので、手数料の相場は10~30%と高めです。
負債にならないので安心して利用できる
ファクタリングは負債にならないため、帳簿を赤字に染めません。前にご紹介した通り、ファクタリングは借金ではなく、資金調達法の一つです。
これ以上負債を増やしたくないと考える企業にとってはありがたいものです。また、この先銀行から融資を受けることになった時に、負債が多いと断られる可能性も考えられます。負債は少ないに越したことはありません。
延現金に対するファクタリング活用事例
ここでは、延現金に対するファクタリング活用事例を紹介します。今後の延現金におけるファクタリング活用時の参考にしてください。
・取引先の延現金に快く応じられた
・信頼できるファクタリング会社を選んだ
・早期現金化でリスクを乗り切った
活用事例をいくつか認識しておくと、いざという時に思い出して参考にできるものです。
取引先の延現金に快く応じられた
山田さん(仮名)は、工場を経営しています。小さいながらも順調な経営ができていました。
ある時、取引先のスーパーから、延現金の話を持ち掛けられました。山田さんは一瞬とまどったのですが、すでにファクタリングを利用していたので、ここもファクタリングの利用で乗り切れると確信しました。
安心感があったので、延現金に快く応じられたのです。山田さんはすぐに懇意にしているファクタリング会社に連絡し、ファクタリングを頼みました。その後、すぐに売掛金がファクタリングによって支払われたのです。
信頼できるファクタリング会社を選んだ
鈴木さん(仮名)は地域にいくつか支店がある弁当店を経営しています。コロナ禍では経営が大変でしたが、コロナが5類に移行されたこともあり、客足が戻ってきました。
そんな折、取引先の会社から、延現金を頼まれたのです。付き合いの長い取引先だったので、今後の取引の継続も考え、鈴木さんはOKしました。
しかし、できれば売掛金は早めにもらいたいものです。鈴木さんは売掛債権を売却できるファクタリング会社を探しました。いろいろと探したところ、手数料が安め、即金に応じるといった特徴のあるファクタリング会社に決めました。
そこの担当者はファクタリングに詳しい人です。素人の鈴木さんにわかりやすく教えてくれました。おかげで初めてのファクタリングでもとまどうことなく行えたのです。鈴木さんはファクタリング会社選びの大切さを実感しました。
早期現金化でリスクを乗り切った
小さな個人商店を経営する田中さん(仮名)は、赤字を出してしまい困っていました。それなのに、取引先企業に延現金を頼まれたのです。「考えさせてください。」と言ったものの、相手は引き下がりません。
田中さんとしては、昔から付き合いのある大事な取引先を失いたくなかったので、仕方なくOKしました。しかし、売掛金が遅れるとなると、従業員への給料や店の商品の仕入れなど、かかるお金をどのように工面したらいいか思い悩みました。
そこで、田中さんは延現金をファクタリングで乗り切ろうと考えました。地域の会社がよく利用しているファクタリング会社を調べ、契約にこぎつけたのです。
田中さんの努力のおかげで、店には大きな影響はありませんでした。3社間ファクタリングを用いたので、ファクタリング会社への支払いは、取引先が行います。また、手数料が安かったので助かりました。
このようにして、田中さんは倒産の危機を乗り越えました。
延現金とファクタリングについてのまとめ
取引先に持ちかけられた延現金は、なかなか断れないものです。しかし、その不安はファクタリングで解決できます。
ファクタリングによって、取引先に対する売掛金を早めに受け取れます。そして、たいていのファクタリング会社は、ノンリコースを採用しているので、万が一、取引先が倒産しても売掛金の返還は求められません。利用側としては助かることです。
もしもファクタリングが初めてであれば、信頼できる会社を探してください。そんなファクタリング会社に相談して延現金の不安を払拭しましょう。