ファクタリングを行うには、決算書にもファクタリングを行った事実を記載するものです。その場合、ファクタリングは決算書に良い影響を与えるといいます。
それはなぜなのか、ファクタリングと決算書の良好関係について探ってみました。また、ファクタリング、決算書それぞれの注意事項も紹介します。
この記事を読むことで、ファクタリングや決算書の知識を得られます。会社経営に役立つでしょう。
ファクタリング・決算書の豆知識
まずは、ファクタリングや決算書の豆知識をお伝えします。以下の内容をご確認ください。
・ファクタリングは資金調達方法
・決算書は会社の状態を表す書類
ファクタリングや決算書について正しい知識を持つことは大事です。基本を押さえておけば、今後の業務に活用できます。
ファクタリングは資金調達方法
ファクタリングは、日本政府に奨励されている資金調達のための手法です。ただ、日本にそれほどはびこっていないので、借金と誤解されることがあります。負債ではないことをご理解ください。
ファクタリングは、取引先から売掛金を支払ってもらう権利である売掛債権をファクタリング会社に売却し、現金を得る資金調達方法です。
通常、売掛金が支払われるまで、2~3ヶ月かかりますが、ファクタリングによってすぐに現金化できます。そのため、資金繰りが厳しい時などに便利です。そんなファクタリングの流れは以下の通りです。
ファクタリング会社に申し込み
↓
書類の提出後、ファクタリング会社による審査(取引先に支払能力があるか審査される)
↓
審査が通り次第、契約の締結
契約の締結後、売掛債権が売却され、手数料を引いた現金がファクタリング会社から支払われます。
ファクタリング会社と利用側による2社間ファクタリングの場合、利用側が期日までにファクタリング会社へ売掛金を支払います。
また、ファクタリング会社と利用側、取引先による3社間ファクタリングの場合は、取引先がファクタリング会社に売掛金を支払います。
決算書は会社の状態を表す書類
決算書とは会社の状態を表す書類で、損益計算書・貸借対照表の2種類があります。これらは会社の儲け、財政状態といった会社の状況を表します。
そのため、決算書を確認すれば、会社の状況や取引先の状況がわかるでしょう。
ファクタリング会社によっては、決算書が提出書類の一つになっている場合があります。利用側の経営状態を確認するためです。ケースバイケースですが、経営状態が良くない会社だと、売掛金を支払わずに倒産してしまう可能性があるからです。
ファクタリングと決算書が良好関係の理由
ファクタリングと決算書は良好な関係にあると言われています。その理由として考えられることを3つ紹介します。
・ファクタリングによって負債を減らせる
・資金の流れが明確化される
・売掛金のトラブルを避けられる
これらについて知っておくと、ファクタリングを行う際に役立ちます。
ファクタリングによって負債を減らせる
ファクタリングによって負債を減らせます。その理由を下記で説明しましょう。
たとえば、A社は負債を抱えていて、これ以上は負債を増やせない状態とします。しかし、資金繰りが厳しい状態はまだ続いています。そんな場合はファクタリングで売掛金を早めに現金化すれば、負債を増やさずにその場をしのげるのです。
このように、ファクタリングを行えば、負債を増やさずに資金を調達できます。
資金の流れが明確化される
決算書によって、キャッシュフローとも言われる資金の流れが明確化されます。
知っておきたいお金の流れは以下です。
・現金を支払う予定はどうなっているか
・支払い額はどの程度か
・入金予定はいつになるか?
・入金額はいくらか?
これらを知っておくとお金が足りなくなる前に、ファクタリングによって現金を調達することが可能になります。
売掛金のトラブルを避けられる
ファクタリングは売掛金のトラブルも避けられます。それにより、決算書に赤字を記載せずに済むので、決算書を汚しません。
また、ファクタリングを行うことで売掛金の未払いを防げます。なぜならば、ファクタリング会社に手数料を引いた売掛金を払ってもらえるからです。
万が一、取引先が倒産したとしても大丈夫です。ほとんどのファクタリングは、償還請求権なしのノンリコースで設定されています。したがって、たとえ取引先が倒産しても売掛金を買い戻せない仕組みになっているのです。
決算書やファクタリングの注意事項
ここで紹介するのは、決算書やファクタリングに関しての注意事項です。
・ファクタリング会社によっては決算書の提出を求めることがある
・悪徳なファクタリング会社に要注意
・ファクタリングの手数料は売掛債権売却損に仕訳する
これらはファクタリングを正しい方法で行うため、また決算書を正しく記入するために知っておいた方が良いことです。
ファクタリング会社によっては決算書の提出を求めることがある
ファクタリングを行うには、ファクタリング会社による審査を受けます。上記にも書きましたが、その際、提出書類の一つに決算書を求められることがあります。
決算書の提出による審査への影響は、さほどありません。しかし、心配であれば決算書を求めないファクタリング会社を選びましょう。
一般的にファクタリング会社で求められる書類を以下に挙げます。
・登記簿謄本(法人のみ)
・身分証明書
・場合によっては決算書や確定申告書
・入金確認のための「通帳」
・売掛債権の証明ができる納品書や請求書
・取引先とかわした基本契約書
審査に支障がないようにきちんと用意しておきましょう。
悪徳なファクタリング会社に要注意
残念なことに悪徳なファクタリング会社が存在します。騙されないように十分に気をつけてください。
悪徳と思われるファクタリング会社の特徴は以下です。
・固定電話がなく携帯の番号を提示する
・住所など所在地が曖昧
・公式ホームページがない
・見積もりを出さないか適当な見積もり
・契約書がないか簡単な契約書
・一般的な手数料(2社間ファクタリング会社:約10~30%、3社間ファクタリング:約1~9%)より著しく高い
・審査がない、審査が簡単という言葉を頻繁に出す
・審査に必要な書類が極端に少ない
・担保や保証人を求める
上記のような様子が見られたら、悪徳なファクタリング会社か悪徳な闇金融の可能性があります。特に担保や保証人を求めるならば、確実に借金です。
少しでも怪しいと感じたら、場合によっては警察に相談しましょう。取引は絶対にしないようにしてください。
悪徳ファクタリング会社の事例です。
1 闇金業者と契約しそうになった
Aさんは経営する食品会社の資金繰りが厳しかった時、ファクタリングを考えました。すでに負債をいくつか抱えていたので、これ以上は決算書を汚したくないと思ったからです。
インターネットでいくつかのファクタリング会社を探し、その中で審査が簡単、即日入金など、利用者にとって好条件ばかりを載せている会社を見つけました。
しかし、そこの会社は住所がレンタルオフィスのような場所で電話番号が携帯、公式ホームページがないなど、疑問に思うところがありました。
Aさんは疑いながらも、すぐにでも現金がほしかったので、契約しようとしました。企画書の提出も不要だったことも助かると思ったからです。
とはいえ、話を聞けば聞くほど、疑問が膨らんだため、けっきょくのところ契約はやめました。相手が担保や保証人を要求してきたからです。もしかしたら、闇金業者かもしれないと直感で感じました。
2 決算書なしに惹かれたが、怪しい会社だった
Bさんは印刷会社を営んでいますが、ここのところは注文が減り困っていました。そんな時、ファクタリングで売掛金を早めに現金化できると知り、ファクタリングを始めたいと思ったのです。
さっそく、ファクタリング会社を探し、簡単な書類提出で応じてくれる会社を見つけました。負債の記入があるため、余り見られたくない決算書が提出不要なところも気に入ったのです。
しかし、そこの会社はあまりにも手数料が高かったのです。相場よりもかなり上回る額だったので、何か違和感があり、契約しませんでした。
ファクタリングの手数料は売掛債権売却損に仕訳する
ファクタリングの手数料は売掛債権売却損と仕訳します。決算書に記載する際に踏まえておきましょう。
売掛債権売却損は、取引先から売掛金を支払ってもらう権利である売掛債権を売却した際の損失という意味と考えられます。この損失額がファクタリング会社に支払う手数料です。
ファクタリング会社の手数料は、会社ごとに異なるので、なるべく安い金額の手数料で取引したいならば、複数のファクタリング会社の手数料を調べてみましょう。その中で一番安い手数料の会社を探すことが可能です。
手数料が安い場合は、決算書に記載される売掛債権売却損の金額も安くなり、損失が少ない決算書になるでしょう。
ファクタリングと決算書についてのまとめ
ファクタリングは、決算書がマイナスイメージになる負債ではなく、資金調達のための方法です。そのため、決算書を汚さないので、決算書とファクタリングは良好関係と言って良いでしょう。
このように、決算書の上でもファクタリングはおすすめの手法ですが、依頼する会社選びには気を付けたいものです。中には、ファクタリング会社を装った闇金業者も潜んでいます。ご注意ください。