資金調達の手段を増やすためにいろいろと調べていたら、ファクタリング以外に請求書先払いというサービスを見つけることがあるかもしれません。
また、同じく先払いという言葉を使ったサービスには、先払い買い取りというサービスもあります。
これら先払いという単語を使ったサービスと、ファクタリングの違いなどに関して詳しく説明していきましょう。
ファクタリングを言い換えれば請求書先払いサービス
「ファクタリング」と「先払いサービス」の違いが良くわからないという方もいらっしゃるかと思いますが、請求書先払いサービスとファクタリングはほぼ同じ意味と考えて問題ありません。
ここで「ほぼ」という表現を使ったのは、ファクタリングにはいろいろな契約方法、サービスがあるからです。
ファクタリングは請求書先払いという形式の契約の他に、保証型ファクタリングや医療費用ファクタリング、さらに将来債権ファクタリングなどいろいろな種類があります。
保証型とは、売掛先に対する与信管理などにも利用できる契約方法で、万が一売掛金が入金されなかった場合、売掛金をファクタリング会社に保証してもらうという形式です。
医療費用ファクタリングは、医療機関が利用する形式で、医療費の保険料部分を先払いしてもらうサービス。
さらに将来債権ファクタリングは、まだ発生していない債権を対象にしたファクタリングとなります。
それぞれの詳細なシステムや流れに関しての説明は省きますが、ファクタリングにはいろいろな種類があり、そのうちのひとつが請求書先払いサービスということになります。
売掛金を入金期日前に先払いしてもらえるサービス
いろいろな種類があるファクタリングの中でも、もっとも契約件数が多く、メジャーな契約方法が「売掛債権買取型」のファクタリングであり、これが請求書先払いと同じサービスということになります。
企業が手元にある売掛債権を、ファクタリング会社に譲渡することで、売掛金の早期現金化を図るのが債権買取型ファクタリング。
つまり請求書(売掛債権)を利用して、売掛金を先払いしてもらうという形となります。
企業経営にとってはありがたい資金調達法
債権買取型は多くの企業にとって、非常にありがたいサービスです。
その理由が現金化の早さと、貸金契約ではないという点。
金融機関などから資金融資を受ける場合、申し込みから入金まで、早くても2週間程度、場合によっては1ヶ月単位の時間が必要になります。
ファクタリングの場合は、申し込みから2~3日程度で入金されるのが一般的であり、最近では即日入金に対応するファクタリング会社も増えています。
欲しいときにすぐ現金が手に入るというのがファクタリングを利用する大きなメリットです。
また、ファクタリングは上記の通り債権譲渡契約であり、貸金契約ではありません。
貸金契約の場合、当然ですが返済の義務が生じますし、会社の信用情報にも影響があります。
貸金契約ではないファクタリングは、いくら利用しても会社の信用情報に影響はなく、後に金融機関などから事業資金の融資を受ける場合の審査において有利になるという特徴があります。
ファクタリングは利用しやすく、さらにメリットも多いことから近年利用企業が増えている状況です。
個人事業主やフリーランス向けの先払いサービスもある
ファクタリングを利用できるのは企業・法人のみではありません。
ファクタリング会社の中には、個人事業主やフリーランスの請求書にも対応した、小口債権特化型の会社も存在します。
売掛債権の額面金額が低いことが多い個人事業主などは、これまでなかなかファクタリングを利用できませんでしたが、こうした低額の売掛債権も取引対象にしているファクタリング会社を利用することで、急な出費に対応できるようになりました。
先払い買い取りとファクタリングの違い
企業や個人事業主の方を対象に考えれば、ファクタリングと請求書先払いサービスは同じものであるということができます。
しかし利用者を個人の方に絞った、「先払い買い取り」とファクタリングを比較すると、その内容に違いがあることが分かります。
そんな先払い買い取りとファクタリングの違いに関して紹介しておきましょう。
先払い買い取りのシステム
まずは先払い買い取りサービスの流れを紹介しておきましょう。
流れを文章だけで伝えるとなんだか良くわからないかと思いますので、商品と代金を仮定して説明します。
・利用者がまだ購入していない15万円のスマホの画像を先払い買取業者に送り、そのスマホを買い取りに出すと伝える
・先払い買い取り業者は、そのスマホを10万円で買い取ると利用者に伝える
・先払い買い取り業者から、購入のための代金15万円が利用者に振り込まれる
・利用者は振り込まれた15万円でスマホを購入し、先払い買い取り業者に送る
・先払い買い取り業者はスマホの買い取り代金10万円を利用者に入金する
・後日、利用者は借りていた購入代金の15万円を先払い買い取り業者に返済する
なんとなく流れはご理解いただけたでしょうか。
仮に利用者が給料日前で現金が不足している状態だと考えると、その時点で10万円の現金が手に入るということになります。
購入代金の15万円を返済するのが給料日後と考えれば、利用者は急場を凌ぐための現金を手にできるということになります。
これが最近では専用アプリなどもある、先払い買い取りのシステムです。
先払い買い取りはファクタリングのような債権買取契約ではない
先払い買い取りのシステムはファクタリングとほぼ同じと言うことができます。
先払い買い取りとファクタリングの違いは、利用者が個人か法人かという点、そして売掛債権の譲渡契約かどうかという点です。
契約としては決定的な違いがありますが、システムとしては同じなため、先払い買い取り業者の中には、「先払いファクタリング」と称してサービスを提供しているケースがあります。
先払い買い取りを利用する場合の注意点
先払い買い取りのサービスは、一見グレーな印象を受けるサービスです。
しかし現行の法律においては、このサービスは違法であるとは言い切れません。
利用者は商品の購入代金を返済する必要がありますが、ここに金利がかかっていないということは、先払い買い取り業者は金利を収入にしていないということになります。
そのため貸金業法には抵触せず、正当な取引ということになります。
闇金業者がいる可能性が高い
とはいえ、こうした先払い買い取り業者の中には、闇金業者が多く潜んでいるのも事実です。
闇金業者はこの先払い買い取りのシステムを悪用し、結果高金利でお金を貸し付けているのと同じような状況を作り出し利益を得ています。
闇金業者による先払い買い取りを利用した貸金方法
先払い買い取りに関しては、大手企業が参戦しているように、原則違法行為ではありません。
では、闇金業者がどのように不当な利益を得ているのか、さらにそんな闇金業者を見抜くポイントはあるのかという点に関して解説していきましょう。
キャンセル料名目で利息分を支払わせる
上で紹介した仮定の話で、闇金業者の主な手口を紹介しましょう。
15万円のスマホを10万円で買い取るという契約に、買い取りキャンセルが発生した場合のキャンセル料は40%と設定したとします。
闇金業者は、買い取りに出されたスマホに対し、傷があるなどの文句を付け、買い取りを拒否します。
さらに買取ができなかったという理由で、購入代金の返済日に、キャンセル料の6万円を加えた21万円を請求するわけです。
これは見方を変えると、短期間の借り入れに対し、高額な金利が発生している貸金契約と同じとなり、闇金業者は違法に収入を得るということになります。
金融庁からも注意勧告が出ている
こういった闇金業者の手口に関しては、金融庁でも把握しており、HP上に注意勧告を出しています。
では、闇金業者かどうかを見抜くポイントをいくつか紹介しておきましょう。
まずは大前提として、古物商としての許認可番号があるかどうか、その番号が正しい番号かどうかをチェックしましょう。
商品を買い取り転売することで利益を得るには古物商の登録が必須です。
また、先払い買取サービスを利用するには、会員登録が必要となります。
この会員登録の際、必要以上の個人情報が必要になる会社も怪しい会社となります。
勤務先や毎月の収入、他からの借り入れ情報など、およそ先払い買い取りに必要ない個人情報まで聞き出すのは、その個人情報を売買して利益を得ようとする闇金業者の手口です。
ここも闇金業者かどうかを判断するポイントとなるでしょう。
ファクタリングと先払いについてのまとめ
手元にある請求書、売掛債権を利用して、売掛金の先払いを受けるサービスをファクタリングと言います。
日本国内ではまだファクタリングという言葉が一般的ではないため、またファクタリングにはいろいろな種類があるために、あえてファクタリングと言う言葉を使わず、「請求書先払いサービス」としている業者も少なくありません。
個人向けのファクタリングとしては、先払い買取サービスなどがあります。
お金の流れなどのシステム自体はファクタリングと同じですが、債権の譲渡をしているわけではないので、契約としては別のものとなります。
個人向けの先払い買取サービスには闇金業者がいる可能性が高いので、利用は十分に注意しましょう。