「天候不順の影響で作物が不作で資金繰りが厳しい」
「納品した作物の代金支払いが遅くて資金繰りが難しい」
多くの農業従事者の方が感じる悩みではないでしょうか。
そんな悩みを解消する可能性を持つのがファクタリングという資金調達法です。
ファクタリングとは、売掛債権を早期現金化する資金調達法であり、近年利用企業も増えている方法です。
このファクタリングは、農業と非常に相性が良く、上手に利用することで資金繰りの悩みを解消できる可能性を持っています。
その理由に関して解説していきましょう。
農業における資金繰りの問題点
「定年退職後は田舎で農業でもしながらのんびり暮らしたい」
そんな考えを持っている、都会でサラリーマンをしている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、農業というのは老後にのんびりできるほど甘い産業ではありません。
もちろん自給自足を目指すという程度であれば、のんびり暮らしながらということもある程度可能かもしれませんが、農業で生活していくだけの収入を得ようと考えた場合、資金繰り等いろいろなことを考える必要があります。
農業の資金繰りが難しい理由はいくつかありますが、その中でも代表的なポイントを紹介します。
支払いサイトが長い
農業従事者の多くは、生産した作物をJAに売ることで収入を得ています。
もちろん、中には契約農家として外食チェーンやレストラン、食品加工会社と直接契約しているケースもあるかと思いますが、大半の農業従事者はJAが取引先となります。
このJAとの取引においては、支払いサイトが長くなるという問題点があります。
支払いサイトとは、売掛金が発生してから入金があるまでの期間のことです。
つまり作物を納品してから、その作物の代金が支払われるまでの期間です。
JAの場合基本的には数か月後、作物によっては半年後の支払いということも珍しくありません。
一般的な商取引における支払いサイトは1ヶ月(30日間)程度が中心で、長くても2ヶ月というケースがほとんど。
この傾向から考えると、農業は支払いサイトが非常に長いということが分かるかと思います。
農繁期と農閑期がハッキリしている
農業には「農繁期」と「農閑期」があります。
作った作物が出荷できる状態にまで成長したタイミングが農繁期、そうなるまでの期間が農閑期ということになります。
農業従事者は1つの作物のみを生産していると、年に1度か2度程度しか農繁期がなく、ほかの期間は全て農閑期となります。
基本的に収入があるのは、作物を納品する農繁期のタイミングのみとなりますので、1年のほとんどの期間は収入がないということになります。
そのため多くの農家は1つの作物ではなく、複数の作物を育てることで、農繁期となる時期を増やし収入の安定化を図っています。
しかし複数の作物を生産するということは、それだけコストも必要になるということ。
一概に賢い方法とは言い切れない問題があります。
いずれにせよ、収入がある時期とない時期がハッキリしているというのが農業の資金繰りの難しいポイントといえるでしょう。
収入が不安定になるケースが多い
農業における最大の敵は「自然」です。
特に近年は毎年のように異常気象という言葉を聞くほど天候が不安定な状況が進んでいます。
例年と比較して日照時間が短い、気温が高い、雨量が多い・少ないという天候現象は、作物の出来に直接影響を与えます。
半年間精魂込めて育て上げた作物が、1度の台風で出荷できない状態になるというのも珍しくない話。
このように収入が安定しないというのが農業の資金繰りの難しさに直結しているといえるでしょう。
農業従事者の資金調達法の特徴
天候などの影響により収入を安定させるのが難しく、しかも支払いサイトが長い農業。
そんな農業従事者が資金繰りに困った場合に考える資金調達法に関して、その特徴とともに紹介していきましょう。
公的機関から融資を受けやすい
農業従事者が資金繰りに困った場合に頼るのが公的機関です。
その中心となるのがJAバンクや日本政策金融公庫などでしょう。
農業というのは日本の食を支える重要な産業ですので、国や行政機関から保護されることが多く、JAバンクや日本政策金融公庫から資金調達をしやすいという特徴があります。
一般的な企業経営者からみれば、考えられないような条件・状況でも資金融資を受けることができるのが農業の特徴です。
融資を受ける以上返済は必要ですが、それでも融資を受けやすいというのはひとつの特徴といえるでしょう。
個人事業主が多いため銀行からの融資が難しい
一概にはいえませんが、農業従事者は銀行からの資金融資を受けるのが難しいといわれています。
その理由は、農業従事者の多くが個人事業主のためです。
また、上記の通り収入が不安定な職業でもあるため、一般的な企業が受けるような銀行からの融資は受けにくいという特徴があります。
JAバンクや日本政策金融公庫などからは借りやすいものの、もしそこで借りられない場合、資金調達の道がなくなってしまうというのが農業の特徴と考えていいでしょう。
農業とファクタリングは相性がいい
資金繰りが難しい農業において、今後ぜひ利用を検討していただきたいのがファクタリングです。
ファクタリングとは、売掛債権を譲渡し、売掛金の早期現金化を図る資金調達法。
近年利用する企業も増えている、比較的新しい資金調達法です。
このファクタリングという資金調達法は、農業という分野と非常に相性がいいシステムとなっています。
なぜ相性がいいのか、その点を解説していきます。
取引先が安定しているため手数料が安くなるケースが多い
ファクタリングは売掛債権を譲渡する契約となるため、契約の際重視されるのが、その売掛金が必ず入金されるのかという点です。
そのためファクタリングの審査においては、申し込んだ企業の審査と同様に、売掛先である取引先の経営状況が重視されます。
そう考えると農業はファクタリングに向いているということになります。
最初にも書いた通り、多くの農業従事者はJAに作物を納品します。
つまり取引先はJAということになり、売掛金の回収ができないという事態は発生しません。
取引先の信用度は限りなく高いということになります。
取引先の信用度が高いということは、ファクタリングの審査に通過しやすいのはもちろん、契約の際に必要となる手数料も安くなる可能性が高いということ。
より有利な条件でファクタリング契約できる可能性が高い農業は、ファクタリングに向いている業種ということになります。
返済の必要がないため利用しやすい
ファクタリングの大きな特徴のひとつが、借入金ではないという点が挙げられます。
確かに農業はJAバンクや日本政策金融公庫からの融資を受けやすい業種です。
しかし資金融資である以上、一定の利息をつけて返済する必要があります。
ファクタリングは手元にある売掛債権を譲渡する契約であり、借り入れ契約ではありません。
当然返済の必要はなく、後の資金繰りに影響を与えることもありません。
収入が不安定になる可能性が高い農業こそ、ファクタリングに最適な業種といえるでしょう。
農業従事者がファクタリングを利用する際の注意点
ファクタリングは比較的最近利用され始めた資金調達法のため、農業従事者の方の中にはまだ利用したことがないという方も多いかと思います。
そこで、これからファクタリングを利用するという方のために、ファクタリング会社を利用する場合の注意点を紹介しておきましょう。
すべてのファクタリング会社が農業従事者に対応しているわけではない
現在日本全国に数多くのファクタリング会社があります。
しかし、そのすべてのファクタリング会社が、農業従事者に対応しているわけではありませんので注意が必要です。
上記の通り農業従事者には個人事業主の方も多いかと思います。
ファクタリング会社の中には個人事業主は対象外としている会社もありますし、農業という業種を対象外としている会社もあります。
これからファクタリング会社を探すという方は、その会社が農業に対応しているかどうかをチェックの上、事前に電話等で農業従事者は対象になるのかどうかを確認するようにするといいでしょう。
悪徳業者につかまる可能性がある
新たにファクタリング会社を探す際に注意したいのが悪徳業者の存在です。
現状日本の法律には、ファクタリングに関する専用の法律がない状況です。
また、ファクタリング会社を始める際にも、認可や免許が必要という状況ではありません。
そのため、ファクタリング会社の中には、ファクタリング会社を騙った悪徳業者がいるのも事実です。
ファクタリング会社を探す際は、こうした悪徳業者に引っかからないよう、しっかりと見極めることが重要となります。
ファクタリングと農業についてのまとめ
農業は国内の食料自給率を高めるためにも重要な産業です。
しかし、収入が天候の影響を大きく受けたり、支払いサイトが長く資金繰りが難しかったりするなどの問題を抱えている業種でもあります。
そんな農業において、資金繰りの面で非常に有効になるのがファクタリングの利用です。
取引先が安定している農業は、ファクタリングでも有利な契約を結びやすい業種。
ファクタリングという新たな資金調達法を上手に活用し、資金繰りを改善していきましょう。