ファクタリングというと、聞いたことはあるけれども、意味はよくわからない場合も多いものです。そんなファクタリングを行う企業や個人事業主、フリーランスは増えつつあります。今後、採用したいと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この記事ではファクタリングの意味を正しく理解できるように、融資との違いを取り上げてみました。
ファクタリングの意味とは?
ファクタリングを正しく行うためには、その意味について正確に知っておきたいものです。ここでは、ファクタリングの意味に関する、以下の事柄をお伝えします。
・売掛債権を売却する資金調達法
・債権の売買
・2社間ファクタリングと3社間ファクタリング
それぞれわかりやすく説明します。
売掛債権を売却する資金調達法
ファクタリングには、売掛債権を売却する資金調達の意味もあります。
通常、労働の対価は仕事を終えて2ヶ月以上先の場合が多いものです。しかし、それまで待てない状態の企業や個人事業主も少なくありません。たとえば、資金繰りが厳しい、負債がある、新しい事業の資金がほしいなど、それぞれの切羽詰まった事情が考えられます。
そんな場合に売掛債権をファクタリング会社に売却し、現金を得る手法がファクタリングです。資金調達の意味を活かしたシステムです。
債権の売買
上記のように、ファクタリングは売掛債権の売買を意味します。
債権の売主は、ファクタリング会社に売掛債権を売却し、手数料を引いた現金を手に入れます。今までは2ヶ月以上経たないと貰えなかった報酬を早めにもらえるようなものです。
そして、実際に取引先の企業から売掛金を振り込まれたら、速やかにファクタリング会社に支払うといった流れです。
上記で触れたようにファクタリングには手数料があります。それには2つの意味があることを知っておいてください。1つはファクタリング会社にとっての儲けを意味します。もう1つの意味は、売掛金が支払われなかった場合の補填です。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリング
売掛債権の売買を意味するファクタリングには、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングが存在します。ここでは、それぞれの意味を説明します。
2社間ファクタリングは、売掛債権の売主とファクタリング会社の2社による取引を意味します。それに対し、3社間ファクタリングの意味は、売主とファクタリング会社、取引先の3社によるファクタリングということです。つまり、2社間ファクタリングに取引先の企業が加わります。
これら2つの手法は手数料が異なります。2社間ファクタリングの場合は、10~30%ですが、3社間ファクタリングの場合は、それより安く1~9%です。
3社間ファクタリングの手数料の安さは、売掛金未回収リスクの低さを意味します。2社間ファクタリングの場合は、ファクタリング会社と取引先は契約を交わしません。そのため、ファクタリング会社は、取引先会社が売主に売掛金を払わなくても何もできません。万が一のことですが、売掛金未回収の危険は考えられます。
しかし、3社間ファクタリングの場合は、取引先とファクタリング会社も契約を交わすので、取引先が売掛金を支払わないことは考えにくいものです。手数料が安いのはそのためです。
こうした2社間ファクタリングや3社間ファクタリングの意味も把握しておくと、実際に取引をするときに役立ちます。
ファクタリングと融資の意味上の違い
ファクタリングと似た言葉に融資があります。融資は借金なので、意味においてはファクタリングと異なります。
その他、以下に関しての意味の違いを紹介します。
・契約上の違い
・現金化までの期間
・審査対象
・負債になるか否か
・金利と手数料の違い
これら5つのポイントについて詳しく説明します。
契約上の違い
ファクタリングと融資では、根本的な意味の違いはもちろんですが、制約上の違いもあります。
融資は金銭消費貸借契約ですが、ファクタリングは債権譲渡契約です。金銭消費貸借契約は、お金の貸し借りを意味します。債権譲渡契約の意味は、債権を相手に譲渡することです。
こうした違いについても知っておくと、融資とファクタリングの違いをより深く認識できます。
現金化までの期間
現金化した債権やお金を受け取れるまでの期間にも違いがあります。
融資の場合は2週間から4週間かかることが多いです。しかし、保証協会による保証を付けるならば、さらに長くなります。そして、ファクタリングですと、通常は2日から4週間です。このように、圧倒的にファクタリングの方が早いです。
現金が手に入る期間は、利用者にとっては重要なことです。しっかり覚えておきましょう。
審査の対象
融資もファクタリングも審査がありますが、審査の対象はそれぞれ異なります。
借金を意味する融資で審査される対象は、お金を借りる人本人です。しかし、売掛債権の売買を意味するファクタリングの場合は取引先です。
売掛債権の売主は、取引先からもらえる報酬を意味する売掛債権をファクタリング会社に売却します。したがって、ファクタリング会社に売掛金を支払う義務があるのは、取引先です。そのため、ファクタリング会社は取引先に売掛金を払える財力があるか否か審査します。
負債になるか否か
負債は借金を意味するので、融資の場合は負債になります。しかし、ファクタリングは債権の譲渡なので、負債になりません。
ただし、こうした正しい意味を理解せず、ファクタリングを負債と誤解する場合があります。取引先には、正しい意味をわかりやすく説明できるようにしましょう。
金利と手数料の違い
金利と手数料は意味上の違いはありますが、どちらもその会社の収入になります。
金利は融資の場合に使う言葉で1年間に1~9%くらいが相場です。たとえば、100万円を借りて金利が5%の場合は、お金を返す際に100万円の5%にあたる5万円が上乗せされることを意味します。
ファクタリングの場合は手数料がファクタリング会社の収入源になります。相場は上記で説明したとおりです。2社間ファクタリングの場合は、買取債権金額の10~30%、3社間ファクタリングの場合は1~9%です。
ファクタリングの意味を理解した利用方法
ここからは、ファクタリングの意味を正しく理解した上での利用方法を挙げてみます。
・フリーランスによる少額での利用
・企業による資金確保
これらについて、例を出して説明します。
フリーランスによる少額での利用
ファクタリングは、フリーランスによる少額での利用が可能です。売掛債権を売却して現金化できるのは、収入が不安定なフリーランスにとってはありがたいものです。こうしたファクタリングの意味を正しく理解して活用しましょう。
たとえば、フリーランスとして働くグラフィックデザイナーRさんの場合です。複数の会社と取引しているとします。そして、それぞれの会社によって報酬日や報酬金額が異なります。
A社、B社、C社との契約があり、A社が一番仕事を終えてから報酬をもらえるまでの期間が長く、報酬金額も高いと想定します。ある月は出費が多く、A社からの収入が頼りでした。しかし、収入をもらえるまで2ヶ月以上かかります。Rさんは一人暮らしなので、家賃や光熱費の支払いが、なかなか大変です。
こんな場合はファクタリング会社に少額ファクタリングを申し込むことが可能です。A社の売掛債権を売却して現金化できます。
企業による資金確保
企業による資金確保のために、債権の売買を意味するファクタリングを行うことがあります。取引先から振り込まれる予定の報酬を売掛債権としてファクタリング会社に売却します。
たとえば、もっと儲けを出して会社を盛り上げたいと考えているS社があるとします。資金繰りはあまり良いとは言えない状態なので、取引先からの報酬も早めにもらえれば助かります。たとえば、社内のプロジェクトにお金を費やし、今後の活動に役立てることが可能です。
そこで、S社は取引先のM社を売掛先にした売掛債権をファクタリング会社に売却し、売掛金分の資金を得ました。大きな資金を確保できるようになったので、プロジェクトに力を入れられるようになりました。
このような企業間のファクタリングもよくあるものです。ファクタリングは負債ではなく、資金調達方法を意味します。そのため、負債を増やさなくて済むので、企業でも個人事業主、フリーランスでも安心して利用できます。
ファクタリングの意味についてのまとめ
ファクタリングの意味は、売掛債権の売買による資金調達です。借金ではないので、負債ではありません。
融資と比べてみると、その違いは意味の上でも明らかです。たとえば、融資は金銭消費貸借契約ですが、ファクタリングは債権譲渡契約になります。また、ファクタリグは負債を意味しないので、現金化までもスムーズです。因みに融資の場合は、保証協会などの絡みのために遅くなる傾向があります。
企業やフリーランス、個人事業者でも、ファクタリングの意味を正しく理解し、うまく使いこなすことが大事です。