ファクタリングFactoring

2023.05.31

ファクタリングで売掛債権の一部買取は出来る?
仕組みを詳しく解説!

事業者の決済前の売掛債権をファクタリング会社が買取して、手数料を差し引いた金額で売掛債権を本来の入金サイクルよりも先んじて現金化する、昨今の新しい資金調達方法であるファクタリング。

ファクタリングはコロナ渦以降の社会情勢の変化によって資金繰りに逼迫している多くの事業者に利用されており、ファクタリング業界への新規参入も多く、市場が急成長しています。

そんなファクタリングにおいて、売掛債権の全額ではなく、一部買取には対応してくれるのでしょうか?

この記事ではそんなファクタリングにおける一部買取に関して、詳しく解説していきます。
ファクタリングの利用を検討されている事業者様は、是非この記事をご一読ください。

ファクタリングは一部買取できる?

最初に結論から言うと、ファクタリングはあくまで売掛債権の売買契約を、利用者とファクタリング会社の間で締結する契約になりますので、売掛債権の一部分だけを買い取り対象にする事は非常に難しいです。

例えば、元々一社の売掛先に対して、100万円の売掛債権があったとします。
この売掛債権の内、30万円だけをファクタリングしたいので一部買取したい、というニーズがあったとします。

この場合、売掛債権は分割することが出来ませんので、ファクタリングという手段では一部買取という方法はとることが出来ません。

又、このようなケースはファクタリングではなく、貸付に該当します。

では、貸付とファクタリングには、どのような違いがあるのでしょうか?

ファクタリングと貸付の違い

本稿では、ファクタリングと貸付の違いに関して詳しく説明していきます。
先程の通り、売掛債権の分割による一部買取は、ファクタリングではなく貸し付けに該当します。
ここで解説する違いは、下記になります。

・契約の種類
・審査の対象
・返済義務の違い
・信用情報への影響

契約の種類

ファクタリングと貸付には、契約の種類に違いがあります。

ファクタリングは売掛金の売買による資金調達方法になりますので、利用者が保有している売掛債権をファクタリング会社に譲渡する、債権譲渡契約を結ぶことになります。

しかしながら、貸付の場合は売買ではなく、あくまで金銭の貸し借りであるため、金銭消費貸借契約を結ぶことになります。
これが、契約の種類の違いです。

また、ファクタリングは利用者が所有する資産を売却することで、資金を得ることが出来る資金調達方法ですので、自社内の内部資金調達であるのに対し、貸付は他社から金銭を借りて資金を得る資金調達方法ですので、外部資金調達であることも、違いになります。

尚、一部買取がファクタリングに該当しない要因は、この債権譲渡契約の締結に際し、一社分の売掛債権を分割して一部を売却する、という契約を締結することが現実的ではないため、一部買取はファクタリングには該当しないということになります。

審査の対象

ファクタリングと貸付は、審査される対象にも違いがあります。

ファクタリングで審査される対象は、主に利用者自身ではなく、売掛先の信用力です。

基本的に、如何に利用者の信用力が高かったとしても、売掛先の信用力が非常に低い状況であれば、審査の通過は難しくなります。
ファクタリング会社が判断すべきポイントは売掛先の信用力であり、売掛債権が期日内に売掛金として回収できなければ、その分損害が発生してしまうからです。

ですので、売掛金の一部買取のようなケースは、ファクタリング会社として信用力の審査が難しく、結果として一部買取は不可となっています。

しかし、一方で貸付の場合は、貸したお金を返すことができるのかが最重要となるため、利用者自身の信用力が重要視されます。

返済義務の違い

ファクタリングは前述の通り、売掛債権の売買契約になりますので、返済義務はなく、一回のファクタリングに際して、回収後の売掛債権の満額を、利用者がファクタリング会社へ支払うことで、取引が完結します。

一方貸付の場合には、あらかじめ定められた返済期間の間で、総額を分割で返済する義務が生じます。

この、返済義務の有無は、ファクタリングと貸付の違いです。

信用情報への影響

前述の通り、ファクタリングは貸付ではありませんので、利用者の信用情報は関与されません。

一方で貸付の場合は、主に利用者の信用情報を重視します。
信用情報に傷があったりすると、返済能力が低いと判断されるため、利用は難しくなります。

ファクタリングではなく貸付と判断されるケース

さて、ここまではファクタリングと貸付の違いに関して、詳しく解説してきました。
冒頭でも解説している通り、一部買取はファクタリングとして認められにくい理由も、違いの解説の中で触れています。

本稿では、そんな一部買取のような、ファクタリングではなく貸付と認められてしまうケースに関して解説していきます。
主に解説するケースは下記になります。

・一部買取しかない
・一括で買い取らない
・担保や保証人が必要
・手数料が売掛債権の信用度と見合わない
・償還請求権がある

一部買取しかない

基本的に、ファクタリングが貸付とは異なる取引方法である、と認められている法的な理由は「売掛債権の未回収リスクを、ファクター(業者)が買取っているから」に他なりません。
裏を返せば、「売掛債権の未回収リスクを、ファクター(業者)が買取っていない」と判断される場合は、基本的に法的には貸付と判断されてしまう、ということです。

例えば冒頭からお話ししている一部買取に関しては、ファクタリングで売却した売掛債権を一括で買い取らない契約になりますので、これは売掛債権の未回収リスクをファクターが買取っていない、となります。
つまり、一部買取はファクタリングではなく、貸し付けに該当するということです。

一括で買い取らない

前述の通り、例えば売掛債権をファクターが一括で買い取らず、分割にて一部買取を複数回繰り返すようなケースも、売掛債権の未回収リスクをファクターが買取っていない、となります。
つまり、売掛債権を一括で買い取らない場合も、一部買取と同じくファクタリングではなく、貸付に該当するということです。

担保や保証人が必要

担保や保証人が必要な場合も、貸付に該当します。
これは、売掛債権をファクターが買い取ったにも関わらず、未回収リスクを担保や保証人からとろうとしている、という判断から、売掛債権の未回収リスクをファクターが買い取っていない、となります。
担保や保証人を立てる契約は、ファクタリングではなく貸付に該当します。

手数料が売掛債権の信用度と見合わない

例えば、売掛債権が官公庁など明らかに未回収にならない債権なのにも関わらず、ファクタリング会社側の手数料率があまりにも高く設定されているなど、ファクターがリスクを背負っていると言い難い状況に該当する取引も、ファクタリングではなく実質的な貸付として判断されます。

償還請求権がある

前述の通り、ファクタリングの定義は「売掛債権の未回収リスクを、ファクター(業者)が買い取っている」事にあります。
償還請求権とは簡単に言うと、売掛債権が未回収になった際に、ファクターが利用者に対して弁済させる権利になります。

償還請求権があるということは、売掛債権が未回収になったリスクをファクターではなく利用者が弁済することになりますので、これも貸付であると判断されます。

ファクタリングで一部買取は出来る?詳しく解説!のまとめ

結論、ファクタリングで一部買取はできません。
一部買取の場合はファクタリングではなく、法的に貸付となります。
この記事ではそんなファクタリングと貸付の違いに関して、詳しく解説してきました。

この記事をご一読頂いた事業者の方は、一部買取の依頼をファクタリング会社に出したとしても受け入れてもらえない理由や、分割で買取してもらうなどの方法も、結局一部買取を繰り返している状況になりますので、ファクタリングとして認められない理由など、ご理解いただけたかと思います。

ファクタリングのご利用の際は、一部買取ではなく、一社の売掛債権は総額で買い取ってもらわなければならないと、認識しておきましょう。

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