事業者の資金繰り改善、手元資金の調達ニーズに対して、決済前の売掛債権を最短即日でファクタリング会社と呼ばれる専門業者が買い取り対応し、事業者に手数料を差し引いた金額を現金化する、新しい資金調達方法をファクタリングといいます。
ファクタリングは、経済産業省も推奨している資金調達方法でもあるのですが、一般的な資金調達として多くの事業者が取り入れている銀行や金融機関からの借り入れではないため、ファクタリングで調達した資金は、どのように経費計上されるのでしょうか？
ファクタリングのご利用を現在ご検討されている事業者様、あるいは将来的に検討される可能性のある事業者様は是非、この記事をご一読頂き、資金調達の際の、経費計上の方法まで理解した上で、ファクタリングをご利用頂けましたら幸いです。
最短即日で資金調達できるファクタリング
昨今、事業者の資金繰りの悩みの解決や、手元資金の即日調達のニーズに最短即日で対応可能なため、多くの事業者様に広く活用されている資金調達方法を、ファクタリングと呼びます。
ファクタリングは、特にコロナ渦や、最近ですとロシアウクライナの紛争など、経済情勢や社会情勢の変化による、多くの事業者の経営状況の悪化に伴って、広く普及した資金調達方法です。
ファクタリング業界は、上記のような中、急激にニーズが増大してきたため、昨今次々とファクタリング業界に新規参入する形で会社が設立されており、今や多くのファクタリング業者が、それぞれ独自性のあるサービスを展開するに至っています。
そんなファクタリングですが、この記事をお読みいただいている事業者様の中で、ファクタリングによって、売掛債権を売買して調達した資金を、会社としてどのような流れで、どの勘定項目で経費計上すればよいのか、はっきりと把握されている方は少ないのではないでしょうか？
ファクタリングの経費計上はどうなる？
前述の通り、昨今、事業者の資金繰りの悩みや、手元資金の即日調達などのシーンで活躍している、新しい資金調達方法と呼ばれているのがファクタリングです。
そんなファクタリングなのですが、一般的な資金調達方法である銀行や金融機関からの融資とは違い、借り入れではありません。
借り入れの場合は負債として経費計上されるのが一般的かと思いますが、ファクタリングの売掛債権の譲渡による資金調達は、どのように経費計上されるのでしょうか？
本稿では、下記に項目分けして詳しく解説していきます。
・即日で入金される場合の経費計上
・翌日以降に入金される場合の経費計上
即日で入金される場合の経費計上
ファクタリングの利用に際して、多くの利用者は最短即日での資金調達を望まれるケースが多いかと存じます。
本稿では、売掛金100万円を手数料5％で即日で入金される場合の経費計上のパターンを解説いたします。
・売掛金の発生時の経費計上
・ファクタリングの契約時の経費計上
・売掛金回収時の経費計上
・売掛金支払時の経費計上
売掛金の発生時の経費計上
ファクタリングを利用するか否かは関係なく、商品やサービスの売買において、信用取引を行った際は、通常の会計処理と同じように、請求書を発行した際には以下の仕訳をします。
借方
売掛金：100万円
貸方
売上：100万円
ファクタリングの契約時の経費計上
ファクタリング会社と契約を締結した日に買取金額が支払われた場合、一旦「未収入金」で
処理することは不要となるため、次のような仕訳をすることになります。
借方
普通預金：95万円
売掛債権売却損：5万円
貸方
売掛金：100万円
売掛金回収時の経費計上
ファクタリングでは基本的に利用者が売掛先から売掛金を回収するものの、あくまでも利用者はファクタリング会社に回収業務を代行するのみになります。
ですので、売掛先から売掛金の入金があった際には、「預り金」の勘定科目を使って以下の仕訳をします。
借方
現金・預金：100万円
貸方
預り金：100万円
売掛金支払時の経費計上
売掛先から回収が完了した売掛金は、ファクタリング会社に譲渡されている預り金のため、回収後は期日内にファクタリング会社に対して支払いを実施します。
借方
預り金：100万円
貸方
現金・預金：100万円
翌日以降に入金される場合の経費計上
一般的に、資金調達の完了までに、時間的な猶予がある利用者は、翌日以降の入金での資金調達を実施されると思います。
本稿では、翌日以降に入金される場合の経費計上を、前項と同様に、パターンごとに解説いたします。
・売掛金の発生時の経費計上
・ファクタリングの契約時の経費計上
・口座入金時の経費計上
・売掛金回収時の経費計上
・売掛金支払時の経費計上
売掛金の発生時の経費計上
前述の通り、ファクタリングに限った話ではなく、商品やサービスの売買において、信用取引を行った際は、通常の請求書を発行するときの会計処理と同じように、以下の仕訳をします。
借方
売掛金：100万円
貸方
売上：100万円
ファクタリングの契約時の経費計上
事業者が保有する売掛債権をファクタリング会社に譲渡する契約締結の際は、保有する売掛債権がファクタリング会社へと移ります。
売掛債権をファクタリング会社に譲渡したとしても、その買取金額そのものを受け取っていない場合は、入金があるまでは、未収入金で処理をします。
借方
未収入金：100万円
貸方
売掛金：100万円
口座入金時の経費計上
ファクタリング契約締結後は、ファクタリング会社から利用者に対して買取金額が入金されます。
この際に、ファクタリング会社に対して手数料を支払いますが、その際の勘定科目は、売掛債権売却損になります。
たとえば100万円分の売掛債権をファクタリング会社に譲渡して、一旦は、未収入金で計上していた後に、買取金額が入金された際に、手数料5万円を差し引かれた場合は、次のような仕訳をします。
借方
現金・預金：95万円
売掛債権売却損：5万円
貸方
未収入金：100万円
売掛金回収時の経費計上
基本的に、ファクタリングでは、売掛先からの売掛金の回収に関しては、ファクタリング利用者が実施します。
しかしながら、回収した売掛金はすでにファクタリング会社に譲渡されたものになりますので、売掛先から入金があった際の、勘定科目としては、預り金を使います。
借方
現金・預金：100万円
貸方
預り金：100万円
売掛金支払時の経費計上
こちらは即日入金の際と変わらないのですが、売掛先から回収が完了した売掛金は、ファクタリング会社に譲渡されている預り金になりますので、回収後は期日内にファクタリング会社に対して速やかに支払いを実施します。
借方
預り金：100万円
貸方
現金・預金：100万円
ファクタリングの経費計上はどのように行われる？即日入金と、翌日以降の入金に分けて、想定されるケースをそれぞれ解説！のまとめ
即日で入金される場合の経費計上のパターン
・売掛金の発生時の経費計上
・ファクタリングの契約時の経費計上
・売掛金回収時の経費計上
・売掛金支払時の経費計上
翌日以降に入金される場合の経費計上のパターン
・売掛金の発生時の経費計上
・ファクタリングの契約時の経費計上
・口座入金時の経費計上
・売掛金回収時の経費計上
・売掛金支払時の経費計上
この記事では、事業者の売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、手数料を差し引いた買い取り代金が利用者の元に入金され、その後、売掛金を事業者が回収してファクタリング会社へ満額支払う、この一連の流れにおける経費計上の内容を詳しく解説しました。
非常に利便性が高く、新しい資金調達方法として人気があるファクタリングですが、この記事をご一読頂いた事業者様は、資金調達に際しての経費計上の面まで把握された上で、是非ともファクタリングのご利用をご検討頂けましたら幸いです。
